前期も残り4試合となりました。昨日(23日)の福井ミラクルエレファンツ戦を接戦で制した石川ミリオンスターズは首位・富山サンダーバーズとゲーム差なしで並びました。しかし、ここからが正念場。残り4試合のうち実に2試合が富山との直接対決なのです。ここまでの対戦成績は7勝3敗と石川が勝ち越していますし、富山は残り3試合。とはいえ、先週の富山との2連戦では連敗を喫していますから、最後まで決して気を抜くことはできません。
 石川は昨季、前後期ともに優勝を富山に奪われ、チャンピオンシップ進出をかけたプレーオフでも富山に負けを喫しました。シーズンを通して感じたのは、パワー不足でした。そこでキャンプまでに、私は選手たちにとにかく体を大きくしてくることを課題に挙げたのです。

 その成果もあって、昨季は19本だった本塁打も今季は既に20本。リーグ内でも新潟アルビレックスBCの24本に次ぐ数字です。また、打点(128)、残塁(217)もリーグ2番目の数字。昨年や一昨年のことを考えれば、少しは打てるようになってきたかなと感じています。

 とはいえ、まだまだ足りない部分はたくさんあります。前にも述べましたが、私のバッティングに対する考えは非常にシンプル。ボール球には手を出さず、ストライクゾーンにきた球をしっかりと狙って打つこと。つまり、自分にとって易しいボールを打つのです。この精度を上げていけば、チャンスの場面での1本がさらに出てくるようになるでしょう。

 調子を落としているのが開幕からスタメン入りを果たしてきた座親孝一(福岡工大城東高−専修大)と平泉悠(大森学園高−ものつくり大−東京L.B.C−信濃グランセローズ)です。座親は少々守備に難があるものの、打つ方ではチームに貢献し、5月初め頃までは1番や3番を任せるほどでした。しかし、5月中旬から調子を落とし、最近では打順も下位に落ちていたのです。

 一方、身長180センチ、体重107キロという体格の平泉はパワーがあり、昨季は後期から4番に座りました。今季も打順こそ6番でしたが、DHとして打撃に期待していたのですが……。29試合に出場し、打率.220と上がる気配がありません。

 座親も今泉も19日の信濃グランセローズ戦からスタメンを外しました。もちろん、2人とも努力はしています。特に座親は昨季、内野から外野にコンバートし、努力の末にレギュラーを掴み取った選手です。しかし、他の選手だってみんな努力しているわけです。これを機にもっともっと努力していってほしいと思います。

 残り4試合は全てが重要な試合となりますが、なかでもやはり富山との直接対決は絶対に負けられません。今季の富山も打線がいい。チーム打率.283はリーグトップを誇っています。それだけに、投手陣が富山打線を抑えることができるかがポイントの一つとなってくるでしょう。これまでの試合を見ても、石川が勝った7試合のうち6試合が富山を3点に抑えています。もちろん無失点に抑えてくれることが理想ですが、3点というのがボーダーラインとなりそうです。あとは打線がつながってくれれば……。

 泣いても笑っても、あと4試合。昨季の雪辱を果たすためにも、富山から優勝を奪いたいと思います。石川の皆さん、最後まで熱い応援をよろしくお願いします!

金森栄治(かなもり・えいじ)プロフィール>: 石川ミリオンスターズ監督
石川県金沢市出身。PL学園(大阪)、早稲田大学、プリンスホテルを経て、81年ドラフトで西武に2位で指名され、翌年入団。85年には打率3割1分2厘をマークし、ベストナイン、ゴールデングラブ賞を獲得。88年のシーズン途中に交換トレードで阪神に移籍。93年にはヤクルトに移籍し、代打の切り札として活躍した。96年に現役を引退後は、ヤクルト、西武、阪神、ソフトバンクの打撃コーチに。07年より石川ミリオンスターズの監督に就任し、同年チームを初代チャンピオンに導いた。


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