第83回 徳島・堀江賢治「後期の秘密兵器、右腕の弦本」

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 後期もスタートでつまづき、ここまで3勝6敗2分。前期シーズンは4連勝で締めくくるなど勢いがついてきただけに、この結果は残念です。それでもミスから守りが崩壊した前期と比べれば、野球の内容は良くなっています。あとは、チャンスにあと一本出るかどうか。打線のつながりが浮上のポイントです。
 そこで、後期の開幕直後より打順を思い切って入れ替えることにしました。ずっと4番を任せていた山本健士をトップバッターに、2番には機動力のある神谷厚毅を入れ、4番に地元出身の斎藤雅俊を入れる新オーダーです。

 山本はこのリーグで過去に本塁打、打点のタイトルを獲得した選手。前期は彼の考えを尊重して自由にやらせていました。ただ、4番として長距離砲として、大きな当たりを求めるあまり、ややタイミングの取り方やスイングが大きくなりすぎている面がありました。結果、打率は2割前後、本塁打もわずか2本。本人もこの成績は不本意だったでしょう。

「後期はアベレージと打点にこだわりたい。チームの勝利に貢献したい」
 本人から相談を受け、後期は後ろを小さくしてコンパクトに振りぬくバッティングに取り組んでいます。「それなら気分的にも楽に打たせよう」。これが山本を1番にした意図です。早速、7月末には2試合連続ホームランを放つなど、調子は上向いてきました。現時点では、打撃改造と打順の変更をいい方向に出ています。

 新4番に据えた斎藤もスラッガータイプではないものの、いい働きをしています。彼の良さは気持ちが全面に出るところ。チャンスが巡ってきやすい打順にしたことで、その長所がいい方向に機能しています。本来は山本が復調すれば、4番に戻したいところですが、しばらくはこのままでいくかもしれません。

 6月に獲得した2人の韓国人野手、鄭光燮(チョン・クァンス)と金ハラムの加入も大きいですね。特にハラムはショートの守備を買ったにもかかわらず、打撃でも右に左に快音を響かせています。ここまで3割を超える打率を残すとはうれしい誤算でした。彼が何より素晴らしいのは安定したスローイング。徳島に来て少し足を痛めたため、一歩目のスタートが出遅れる場面はあるものの、守備だけなら既にNPBレベルです。センターラインに彼のような選手がいれば、ゲームは自ずと締まってきます。

 投手陣は5勝をあげている光安祐輝、4勝の平野誠、先日完投で初勝利をあげた大川学史、香川から移籍した金子圭太、カープドミニカアカデミーからやってきたゲレロと先発可能な人間がゾロゾロいます。8月は連戦が続きますが、この中でローテーションを組めば、充分乗り切れるはずです。

 ならば、カギを握るのは抑えの竹原俊介につなぐ中継ぎ陣。ここでも楽しみな選手が出てきました。右腕の弦本悠希です。20歳と若く体ができていなかったこともあり、前期はあまり登板機会がありませんでしたが、練習を重ねるうちにボールに勢いが増してきました。ストレートでバッターをねじ伏せるタイプはリリーフに最適です。今後は勝ちゲームのワンポイントや、負けゲームでのロングリリーフなど、いろいろな場面で使ってみようと考えています。

 徳島は最下位が続き、チームに勝ち癖がついていません。「打てなかったらどうしよう」「勝てなかったらどうしよう」。知らず知らずのうちに選手たちはマイナス思考に陥っているようです。この精神構造は試合に勝って自信をつけることでしか改善しません。ただ、2日の長崎戦の最終回、一打勝ち越しのピンチをサードのファインプレーで切り抜けたように、接戦に負けないメンタリティは芽生えつつあります。

 他チームと互角以上に渡り合える戦力は充分整いました。残すは、接戦を勝ちきる経験と精神力を身につけること。そのためにも連戦続きの8月で結果を残し、上位にくらいつく展開に持ち込みたいと考えています。夏休み、たくさんのみなさんの応援をお待ちしています。
 

堀江賢治(ほりえ・けんじ)プロフィール>:徳島インディゴソックス監督
1970年8月8日、広島県出身。広陵高から89年、ドラフト4位で大洋(現横浜)に入団。3年目に1軍昇格を果たし、ショートを中心に61試合に出場する。95年、水尾嘉孝、渡部高史とともに、飯塚富司、伊藤敦規とのトレードでオリックスへ移籍。2軍で首位打者を獲得したが、翌年には高嶋徹とともに大島公一、久保充広とのトレードで近鉄へ。98年限りで引退後、地元で少年野球の指導をしていた。現役時代の通算成績は172試合、打率.250、4本塁打、29打点。09年より徳島の監督に就任。



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 今回は堀江監督のコラムです。「桑田真澄さんから学ぶこと」。ぜひ携帯サイトもあわせてお楽しみください。
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