巨人の高橋由伸といえばゴールデングラブ賞7度受賞の名外野手だが、1塁へのコンバートプランが持ち上がっている。「今のジャイアンツは1塁で大いに苦労している。チーム状況と腰への負担を考えて、1塁をやってみてはどうか」と伝えた原辰徳監督。早ければシーズン中にも「ファースト高橋由伸」が実現しそうな見通し。

 高橋は2006年4月、センターの守備でダイビングキャッチした際、左脇腹を痛め1カ月の離脱を余儀なくされた。復帰後、再びダイビングキャッチを試みて今度は左肩を負傷した。ケガをした球場はいずれも人口芝の東京ドーム。

 高橋の巨人での先輩に当たる松井秀喜(ヤンキース)も両ヒザのケガに悩まされ、現在はDHでのプレーを余儀なくされている。巨人時代、松井がいつもこぼしていた不満――それが人工芝グラウンドだった。言うまでもなく人工芝の下はコンクリートである。
「オレみたいな100kgもある体の人間がスライディングキャッチを試みたら、間違いなくケガをしますよ。ケガをしたらチームに迷惑がかかる。だからメジャーリーグのようなハッスルプレーはやりたくてもできないんですよ」
 2年前、巨人復帰の可能性について聞かれた際も人工芝の問題を持ち出している。
「もし、そういう声があったとしても難しいだろうなぁ。もう東京ドームでは無理なんじゃないかな。人工芝は難しいよ。人工芝でプレーすると本当に(ヒザが)痛むんだもん」

 東京ドームは2年前に人工芝を全面的に張り替えた。これによりパイル(芝部分)の暑さが25%増したといわれているが、松井によれば「人工芝は人工芝」。東京ドームがモデルにしたツインズの本拠地メトロドームは今季限りで、新たに天然芝の屋根なし球場へと移転する。東京ドームも開閉式にして、そろそろ夜空と天然芝を取り戻したらどうか。

<この原稿は2009年8月29日号『週刊ダイヤモンド』に掲載されたものです>

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