イチロー(マリナーズ)がさる9月13日、メジャーリーグ(MLB)史上初となる9年連続の200安打を達成した。
それまでの記録は1894から1901年にウィリー・キーラーによる8年連続。ただし、当時はファールをストライクとカウントしないルールだったため、打者ははるかに優位な立場だった。70年代を中心に活躍し、通算10度の200安打をマークしているピート・ローズでさえ3年連続が最高である。この連続記録がいかに偉業であるかが理解できよう。
ここから先は仮定の話だが、もしイチローが94年からアメリカでプレーしていたら、16年連続で200安打を達成していた可能性が高い。
94年はオリックス時代のイチローが仰木彬監督に見込まれ、初めてレギュラーになったシーズン。プロ入り3年目のことだ。
この年、いきなり210安打を放ち、これまで藤村富美男が保持していたNPB(日本プロ野球組織)のシーズン最多安打記録(191安打)をあっさりと更新した。以来、海を渡るまで7年連続で首位打者に輝いている。
イチローがレギュラーになった94年当時、NPBのレギュラーシーズンは130試合制だった。現在は144試合制である。
翻ってMLBは60年代初めに162試合制になり、今に至っている。これがイチローには幸いだった。MLB通算2000本安打を達成した際には、こんなコメントを残している。
「こっちは試合数が多いですから。日本で打つよりずっと楽」
昨季までイチローはMLBで年平均225.6本のヒットを放っている。これを単純に16倍すれば、今季終了時点で3610安打ということになる。
MLBの通算最多安打記録は先のピート・ローズが持つ4256本。もしイチローが94年からMLBでプレーしていたら、2012年には抜き去る計算になる。あくまでも“たられば話”ではあるが……。
<この原稿は『週刊ダイヤモンド』09年10月3日号に掲載されたものです>
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