新潟アルビレックスBCは今シーズンも地区優勝することができず、リーグの王座に就くことはできませんでした。今週から来シーズンに向けて始動したものの、やはりまだ無念さが色濃く残っている状態です。
 今シーズン、指導者としては1年目だったわけですが、やはり経験がないだけに自分の未熟さを痛感した1年でもありました。自分自身が先頭に立って見本となったという点においてはそこそこやれたのではないかと思いますが、指導という点では選手に迷惑をかけてしまったことも否めません。もっと選手個人個人にピンポイントで指導することができれば、個性を引き出せたのではないかと思っています。

 しかし、プレーイングコーチを引き受けてよかったと思っています。確かに自分自身がプレーをしながら、他の選手に指導するということは大変です。しかし、その分メリットもあるのです。まず一つは、人に指導する立場になったことで、これまでよりもさらにバッティングについて深く考えるようになったこと。そして選手に指摘することで、自分自身を振り返り、「果たして自分はできているのか?」という再確認ができるのです。プレーヤーでもあり指導者でもあるプレーイングコーチは、本当にさまざまな角度からものごとを見るようになり、多くのことを学ぶことができる。それが自分自身に非常にプラスになりました。

 実際に自分自身の技術も昨シーズン以上に上がったと感じています。個人タイトルも本塁打と打点の2部門でとることができました。特に今シーズンは打点にこだわっていきたいと思っていたので、それが達成できたことには嬉しく思っています。しかし、51打点という数字は決して満足いくものではありません。目標は70〜80、つまり1試合に1点は取りたいと思っていたのです。自分自身、まだまだのびしろはあると感じています。球団もプレーヤーとしての自分に期待してくれていますので、来シーズンはよりチームの勝利に貢献できる活躍をしたいと思っています。

 今シーズンのチームは純粋に野球に打ち込む選手が多く、「やらされる」のではなく、自ら「やる」練習量が増えました。例えば、野手であれば1日1000スイングと決めたら、それが終わるまでは帰ろうとしませんでした。これはシーズン最初にバットを多く振らせるクセをつけさせるようにしたのですが、そのことで結果が出るようになり、選手自身もやる意味がわかってきたことが大きかったのではないかと思います。

 来シーズンへの課題としては、今シーズンに引き続き基礎体力の向上は欠かせないと思っています。昨シーズンの反省点として体力づくりをあげて取り組んできましたが、振り返ると、やり切ったとまでは言えません。選手たちの疲労の色が濃くなると、情から甘くなり、走る量にしてもバットを振る量にしても落ちてしまっていました。しかし、一度下げてしまうと、それが基準となり、それを上げることはなかなか難しいものです。

 選手たちは皆、NPBを目指しています。となれば、彼らが上に上がったときに140試合以上をこなせる体力を今から養っていく必要があるわけです。そして、それも僕たち指導者の仕事の一つ。さらに厳しいメニューで体力強化を図っていきたいと思っています。

 もう一つは機動力です。チームには俊足の選手がいたにもかかわらず、走塁技術がないために機動力を使うことができませんでした。これは非常に反省している点です。戦力補強の段階でのテーマともなりますが、来シーズンは足でかきまわす野球ができるようにオフの間からしっかりと準備をしていきたいと思っています。


青木智史(あおき・ともし)プロフィール>:新潟アルビレックスBCプレーイングコーチ
1979年9月10日、神奈川県出身。98年、ドラフト6位で広島に入団したが、2000年オフに自由契約の身となる。その後渡米し、トライアウトを受け続けた結果、03年にシアトル・マリナーズ1Aと契約。しかし、同年に解雇。翌年には豪州のセミプロチームに所属し、05年には豪州選手主体のウェルネス魚沼に唯一の日本人選手として入団した。同年夏にはセガサミーに入社。08年、新潟アルビレックスBCに入団し、昨シーズンは本塁打王に輝く。今季よりプレーイングコーチに就任し、本塁打、打点の2冠に輝いた。187センチ、100キロ。右投右打。

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 今回は新潟・青木智史プレーイングコーチのコラムです。「大化けの可能性を秘めた木ノ内」。ぜひ携帯サイトもあわせてお楽しみください。
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