2年連続最下位、しかも09年は勝率3割5分4厘と“底割れ”状態の横浜がオフは奮闘している。

 FAで千葉ロッテの捕手・橋本将を、トレードでは同じく千葉ロッテ清水直行、早川大輔(金銭)、北海道日本ハムの坂元弥太郎、松山傑、稲田直人を獲得した。
 また外国人では北海道日本ハムのターメル・スレッジ、台湾プロ野球の強打者ホセ・カスティーヨの入団が決定した。球団の来季に懸ける強い意気込みが見てとれる。
 過日、新監督の尾花高夫に会った際「“火中の栗を拾うとヤケドをする”という声もありますよ」と水を向けると、彼は「いや、球団が本気だから僕は監督を引き受けたんです」と真顔で語った。

 巨人の投手コーチ時代、尾花は横浜を「おいしい球団」だと見ていた。球団のイメージも良くなかった。
「いろんなウワサが耳に入っていたんです。現場とフロントが一本化していないとか、親会社が本気じゃないとか……。ところが加地隆雄新社長と会って、本当に勝ちたいんだという気持ちが伝わってきたんです」

 尾花は投手コーチとして千葉ロッテ、ヤクルト、福岡ダイエー(現ソフトバンク)、巨人とこれまで4つの球団を渡り歩いてきた。
 チームを強くするためには、何が必要か。痛感したのがフロントの本気度だった。
「いくら僕たち現場が勝ちたいと思っても、フロントが本気になって僕たちをバックアップしてくれないと結果は出てこない」
 その意味で巨人は理想のチームだった。
「巨人はオーナー以下全員が勝ちたいと思っている。いや、勝たなきゃいけないと思っている。そうした雰囲気がひしひしと現場に伝わってくる。それがプロのチームだと思うんです」

 オフの補強を見る限り、横浜は「本気」である。まだ10年を占うには早いが、尾花横浜はセ・リーグの台風の目になりそうな予感がある。

<この原稿は2010年1月4日、10日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

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