明けましておめでとうございます。昨年は独立リーグ日本一となり、監督としてひとつの目標を達成できました。新年は18日から合同自主トレがスタートし、2月1日より土佐清水市でキャンプを張る予定です。
 昨年12月のドラフト会議と球団トライアウトでは7名の新人を獲得しました。高知は昨季、リーグを制した半面、NPB入りした選手はゼロ。そのためリーグのドラフトでの指名順は一番最後になってしまいました。思うように人材が確保できるか心配でしたが、2番手、3番手として評価していた選手の指名に成功し、まずまずの補強ができたのではないでしょうか。

 その中で今季、即戦力として楽しみなのは別府大の安田圭佑です。昨年、1年目でショートのレギュラーとして全試合に出場した西本泰承のようにチームの主力になってほしいと期待しています。安田は左打ちで機動力の使える選手。2年連続盗塁王だったYAMASHINが抜けた穴を埋め、西本ともに足でかき回す野球を率先してほしいものです。

 投手では地元出身の左腕、濱田兼信(須崎工高)が将来的に楽しみな存在です。腕の振りが柔らかく、フォームにムリがありません。まだ線が細いにもかかわらず、130キロ台のボールが投げられるのですから、センスがあります。しっかり鍛えて体力がつけば、2年後には昨季、最多勝をあげた吉川岳並みの左腕になるでしょう。

 このオフはどの球団もいい素材を獲得し、戦力的には横一線になったとみています。特に徳島に入団した東弘明(八日市南高)は18歳ながら内野守備に光るものを感じました。守ることができれば、試合出場のチャンスは増えます。打撃は経験をつみ、力をつければ向上します。こちらも濱田同様、2、3年じっくり育成すれば、NPBでも即戦力で使える内野手として期待が持てます。

 今季は連覇を目指すことはもちろん、育成面でもぜひ実績を残したいと考えています。残念ながら一昨年、昨年と高知はNPBドラフトでの指名なし。とはいえ、可能性のある選手がいないわけではありません。左腕の吉川や右腕の野原慎二郎、西本などは、もう一皮むければ本指名でNPB入りできる素材になるはずです。

 彼らにはもうワンランク上のレベルを求めつつ、同時進行で2、3年後、NPBを狙える若手の底上げも図ります。まずはキャンプで原点に返ってのスタートです。2010年も熱いご声援、よろしくお願いします。


定岡智秋 (さだおか・ちあき)プロフィール>: 高知ファイティングドッグス監督
 1953年6月17日、鹿児島県出身。定岡三兄弟(次男・正二=元巨人、三男・徹久=元広島)の長男として、鹿児島実業から72年、ドラフト3位で南海(現ソフトバンク)に入団。強肩の遊撃手として河埜敬幸(元長崎監督)と二遊間コンビを形成した。オールスターにも3回出場し、87年限りで現役を引退。その後、ホークス一筋でスカウトや守備走塁コーチ、二軍監督などを歴任。小久保裕紀、松中信彦、川崎宗則などを指導し、現在の強いソフトバンクの礎づくりに貢献した。息子の卓摩は千葉ロッテの内野手。08年より高知の監督に就任。現役時代の通算成績は1216試合、打率.232、88本塁打、370打点。





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