福岡ソフトバンクホークスの西山道隆(元愛媛)が8日、対西武ライオンズ14回戦で今季3度目の先発登板を果たした。西山は2回に中村剛也からソロ本塁打を打たれるなど、3イニング連続で得点を与え、5回3失点で降板した。試合は2−6で西武が勝利し、西山は2敗目を喫した。

▼7月の月間MVPは小山内(愛媛)、智勝(香川)
 3度目の正直とはならなかった。アイランドリーグ出身選手として初勝利を目指したマウンドは前回に引き続き、黒星がついた。
 
 結果を求めようとするあまり、初回からピッチングには力みが感じられた。体重移動が行われないまま、上体だけで投げるボールは制球もままならず、キレもなかった。
「前に踏み出す左ひざが外側に突っ張っていましたよね。これは体重がきちんと前に乗っていない証拠。肩の開きも早くなっていて、打者としてはボールが見やすいイメージがあると思います」
 球場で解説を行っていた橋本清氏(元巨人)も西山のピッチングをこう分析する。

 初回の1死満塁こそ、なんとか切り抜けたが、2回は高く浮いたストレートを中村剛也にレフトスタンドに運ばれた。続く3回もヒットと四球で1死満塁と大ピンチ。ランナーのカブレラが飛び出すボーンヘッドのおかげで1失点で収まったが、投球にリズムがなく、苦しい内容であることに変わりはなかった。

「力むこと自体が悪いのではない。力を入れてもいいボールがいくように、腕が振れるように、いかにコントロールするかでしょうね」
 今後の課題を指摘する橋本氏が評価したのは5回のピッチングだ。先頭のカブレラをカウント2−2から143キロのストレートでバットに空を切らせた。「143キロでもカブレラから三振を取れる。球の質は悪くないわけだから、スピードよりも、この部分を高めてほしい」。1軍の中でも平均点をとれる力は既にあると橋本氏は断言する。

 西山自身もつねづね「ボールのスピードより、キレで勝負したい」と語っていた。それだけに初回からこの投球を見せてほしかった。西山の投球で目立つのは被本塁打の多さ。昨年の先発デビュー戦を含め、登板ごとに必ずホームランを打たれている。それだけバッターに確実に投球を捉えられているというわけだ。

「まだ残念ながら、これといったボールがない。変化球でも直球でも相手バッターにプレッシャーを与えるボールを1つ完成させてほしいですね」
 橋本氏が語るように相手に手ごわいと思わせるものがなければ、1軍で結果を出し続けることは難しい。ただ、カブレラを三振にとったボールのようにひとつひとつを見れば、西山はルーキーイヤーより明らかにステップアップしている。

 ソフトバンク先発陣が手薄な状態は変わらない。背番号94にまたチャンスが巡ってくるだろう。2つ並んだ黒星を、ぜひ次回の白星の糧にしてほしい。


<7月の月間MVPは小山内(愛媛)、智勝(香川)>

 IBLJは8日、7月度の月間MVP選手を発表した。
【投手部門】
愛媛マンダリンパイレーツ 小山内 大和
 7月成績 4試合 2勝0敗 防御率0.52
【野手部門】
香川オリーブガイナーズ  智勝
 7月成績 33打数15安打 打率.455 打点7 本塁打1 盗塁4

 投手部門の小山内は故障で離脱した近平省悟の代わり、後期から先発に復帰。先発した2試合でそろって勝ち投手になるなど、前期の不振を払拭した。ここまでの成績は21試合に登板して2勝6敗1セーブ、防御率2.72(リーグ2位)。月間MVPは初受賞となる。

 野手部門の智勝はリーグ初の2ヵ月連続受賞。7月も試合数は少なかったが4割を超える打率をマークした。7月7日の巨人との交流戦では先頭打者アーチを描き、スカウトに長打力もアピールできた。ここまでの成績は56試合に出場して打率.352(リーグ2位)、本塁打1、打点28、盗塁27(リーグ1位)。

 月間MVPはFAX、メールでのファンによる投票で決定される。小山内投手には11日(土)の愛媛−香川戦(東予球場)の前、智勝選手には10日(金)の香川−高知戦(サーパススタジアム)の前にスポンサーのミズノ株式会社と読売新聞社より、トロフィーとミズノ製品、および賞金が贈られる。

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