二宮: レギュラーラウンド終盤に入っても、JTマーヴェラスの勢いは止まりませんね。開幕から連勝が続くと、途中で息切れをしてしまうものなのですが……。

位田: 確かに25連勝はしましたが、結果的にそうなっているだけで、内容的には楽な試合はひとつもないんです。


 自信への源はフルセットでの勝利

二宮: それでも、試合をやっていて負ける気がしないのでは?

位田: 苦しい展開からの逆転勝ちが結構たくさんあるんです。そういう意味では、劣勢になっても、自分たちのやるべきことをしっかりとやりさえすれば、負けないという気持ちはありますね。

二宮: 確かに結構、フルセットの試合もありますね。特に東レアローズやNECレッドロケッツとは最後まで競っている。なかでも一番苦しかった試合は?

位田: 自分たちにとっては今シーズン初めてのフルセットの試合となった1月17日の東レ戦です。この試合、1、2セットを取られて、窮地に立たされました。自分たちのスパイク決定率が低かったとか、コンビがうまくいかなかったとか、特にそういった問題はありませんでした。実際、取られたとはいえ、1、2セットも競ってはいたんです。でも、連続で競り負けたからこそ、そこから気持ちを切り換えて挽回するのは大変でした。

二宮: 逆に1月24日のNEC戦は、JTが1、2セットを取りながら、3セット以降、相手に追い上げられた試合でしたね。

位田: これも本当に苦しい試合でした。自分自身の調子がよくなったこともあって、鮮明に覚えています。チームとしては2セット目までは自分たちのバレーができていたんです。ところが、3セット目以降、突如かみ合わなくなってしまった。何をやってもうまくいかず、自分たちのペースに戻すことがなかなかできなかったんです。セットカウント2−2と並ばれた後の最終セットも途中までは相手にリードされている展開でした。そんな中で勝利をもぎとった試合だったので、内容がどうとかというよりも、とにかく勝ててよかったなと思いました。

二宮: NECとは次の試合はストレート勝ちしていますが、その次にまたフルセットをやっているんですね。

位田: はい。その試合も2セットを先に取られてから、3、4、5と取って逆転勝ちを収めたんです。そういう試合が増えてきていますね。

 新加入選手が起爆剤に

二宮: 昨シーズンまでは1、2セットを取られたら、そのままズルズルと負けてしまうような脆さがありました。ところが、今シーズンは全く違います。どんなに劣勢になっても、それに耐えて最後には勝ち切ってしまう強さがある。チーム全体が精神的にたくましくなりましたよね。

位田: そうですね。やっぱり1月17日の東レ戦に勝てたことが大きかったと思います。あの試合で2セットを取られてからでも、自分たちには挽回できる力があるんだということが証明できたし、自分たちの自信にもつながっているのだと思います。

二宮: 今シーズンは元全日本の山本愛(旧姓・大友)選手と石川友紀選手が移籍をしてきました。さらに22歳という若さでアジアNo.1アタッカーと言われている韓国のキム・ヨンギョン選手も加入しました。特にヨンギョン選手が入ったことでチームの攻撃力が増しましたね。

位田: はい、本当に頼りがいのある選手です。こちらが予想しないところにスパイクを打っていくので、味方ですらビックリしています(笑)。

二宮: 彼女の最大の長所はどこですか?

位田: アタッカーなので攻撃面が注目されがちですが、彼女は実はレシーブもうまいんです。ディフェンスがしっかりしているので、つなぎの面でもチームは彼女に助けられています。

(Vol.3につづく)

位田愛(いんでん・あい)プロフィール>
1987年4月3日、三重県生まれ。ウイングスパイカー。母親の影響を受け、中学からパレーを始める。津商業高校ではインターハイ、国体、春高バレーに出場。2006年、JTマーヴェラスに入団した。昨シーズン、レギュラーを獲得し、正確なレシーブで守りの要として活躍。プレミアリーグではサーブレシーブ成功率5位に入った。今季より新キャプテンに就任。チームの飛躍を支えている。


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