東北楽天の最大のウィークポイントはブルペンである。これまで、どれだけの勝ちゲームをフイにしたことか。

 典型的なゲームが昨季のクライマックスシリーズ第2ステージの北海道日本ハム戦だ。
 初戦、7回が終了した時点で6対1.8回裏に3点を返されたものの、9回に3番・鉄平の2ランホームランが飛び出し、8対4。いくらブルペンが頼りないとはいえ、4点リードがあれば、まずひっくり返されることはない。
 ところが、あろうことかクローザーの福盛和男が1点を返され、さらにターメル・スレッジ(現横浜)にサヨナラ満塁ホームランを浴びてしまったのだ。

 後日、呆れるような口ぶりで監督の野村克也はこう語ったものだ。
「もちろん福盛を全面的に信頼していたわけではない。しかし4点もリードしているわけですよ。ヘッドコーチの橋上(秀樹)も、投手コーチもの佐藤(義則)も“4点あれば大丈夫ですよ”と口を揃えました。
 ところが、あれよあれよという間にヒットを重ねられ、控え投手を見ると、長谷部康平ひとりしか残っていない。ブルペンを見たら、誰も投げていない。
 最後は、もう本当に“アア〜、アア〜”という感じでしたね」

 今季、開幕第2戦で早くも“アア〜、アア〜”という場面があった。
 オリックス戦。7回が終了し、楽天が4対2と2点のリード。ところが8回裏に1点を返されると、9回裏、クローザーの福盛が後藤光尊に同点ホームランを浴びてしまう。
 2死1、2塁で急遽、リリーフに立った小山伸一郎は満塁のピンチを招き、あろうことか暴投でサヨナラ負け。新監督のマーティー・ブラウンも頭を抱えていた。

 ちなみにノムさんの開幕前の予想は5位・楽天。本人にすれば「ほら、見たことか」ということなのか。気持ちはわかるが、知将ならではのアドバイスも忘れないでもらいたい。何しろ名誉監督なのだから。

<この原稿は2010年4月12日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

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