森保J、右サイドの円滑さは久保の「余裕」から ~2026年北中米W杯アジア最終予選~
サッカー2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の初戦、日本代表(FIFAランキング18位)対中国代表(同87位)の一戦が5日、埼玉スタジアムで行なわれ、日本が7対0で中国に勝利した。日本は前半12分にMF遠藤航(リバプール)が左CKからヘディングで合わせて先制した。前半アディショナルタイムには、MF三笘薫(ブライトン)が頭で合わせてリードを広げた。後半7分、13分にMF南野拓実(モナコ)が連続得点した。7カ月ぶりに代表復帰をしたMF伊東純也(ランス)が途中出場し、5点目を決めた。さらに、42分にFW前田大然(セルティック)が頭で押し込んだ。後半アディショナルタイムにはMF久保建英(レアルソシエダ)が豪快に蹴り込み、日本が大勝した。日本は次節、11日1:00(日本時間)にアウェーでバーレーン代表と対戦する。
復帰の伊東、1G2A(埼玉)
日本代表 7-0中国代表
【得点】
[日] 遠藤航(12分)、三笘薫(45+2分)、南野拓実(52分、58分)、伊東純也(77分)前田大然(87分)、久保建英(90+5分)
3-4-2-1のシステムでスタートした森保ジャパン。この中国戦では、右シャドーの久保と右ウイングバックの堂安の連係がいつもより一層、見事だった。前半は4バック、後半は5バックの布陣を敷いた中国を混乱に陥れていた。
久保は主に右シャドーの位置にいながら、ボールを受ける直前には右サイドタッチラインの目いっぱいに開く堂安の近くにスルスルと寄っていく動きを頻繁に見せた。これにより相手ペナルティーエリア手前右サイドが空いた。ここにウイングバックの堂安がタイミングよく入り込み、チャンスの演出、または攻撃の起点となっていた。
自らがゴールを狙う位置取りばかりではなく、スペースメイクの動きを見せた久保は、試合後にこう語った。
「前半15分から30分くらい、ボランチのふたりが少し左に流れがちだったので、できるだけ堂安選手をひとりにしないように。ボールに関わりたかったですけど、右サイドでボールを待っていた。ボールが来た時に堂安選手をひとりにしないことを意識していました」
右サイドでコンビを組む、堂安律(フライブルク)も久保との連係について、述べた。
「彼の良さも生かしてあげつつ、自分はゴール前でのポジションを探すのが得意。彼の良さと自分の良さを出し合いながらのポジショニングでした。左サイドは(三笘)薫くんという強力な個がある。右サイドは連係しながら、左とは違うかたちで攻めていく。これはチームの戦術でもある。(久保とのコンビは)感触はいいですよ。タケとはプレーして長いので、彼のやりたいこともわかります」
自分はゴールからは遠ざかるものの、この日のビルドアップがスムーズだったのは久保の貢献が大きい。ビルドアップは選手個々の足元の技術だけでなく、ポジショニングが極めて重要だ。彼は試合前日、黒衣(または黒子)に徹することを口にしていた。最終予選の初戦の重要性を理解していた久保はこう、振り返った。
「大人になったというのがひとつ。あとは、代表に慣れてきたから、余裕もあります。特に“オレが、オレが”というプレーが全てではないです。チームスポーツなので、僕がいろんな選手の良さをだそう、というのは、今日の試合に限ってですが意識していました」
初戦で勝ち点3を取ることの意味を、誰よりも理解し、行動していたのはこの23歳だった。
(文/大木雄貴)