ジャパン、2連勝で準決勝へ ~PNC~
7日、ラグビーの環太平洋6カ国が参加する「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2024」(PNC)のプールBの試合が埼玉・熊谷ラグビー場で行われ、世界ランキング14位の日本代表(ジャパン)が同19位のアメリカ代表を41-24で破った。ジャパンは2連勝でプールBを1位通過。準決勝はプールA2位のサモア代表(世界ランキング11位)と15日に東京・秩父宮ラグビー場で対戦する。
5分にSO李承信のPGで先制したジャパンは15分、ラインアウトからのアタックでトライを奪う。李のショートパントをCTBディラン・ライリーが相手を競り合いながらジャンプしてキャッチ。すぐさまサポートに入っていたCTBニコラス・マクカランにボールが渡る。抜け出したマクカランがインゴール中央にボールを置いた。李のコンバージョンキックが決まり、10ー0とリードを広げた。
17分に3点を返されたが、23分にはLOサナイラ・ワクァがねじ込んで突き放す。終了間際にもSO藤原忍のリスタートからHO原田衛がインゴール右隅に飛び込んだ。いずれも李がコンバージョンキックを決め、前半を24ー10で終えた。
埼玉パナソニックワイルドナイツでプレーするライリーが“地元”で魅せる。後半5分、自陣から突破。相手のタックルをかわし、3人抜き。インゴール中央へダイブして29-10。エディー・ジョーンズHCも「スピードはWTBのようで、ストレングスはCTBのよう。希有な能力を持っている。自分としては世界一の13番になれる可能性を持っていると思う」と高く評価する27歳が、1万人超の観衆を沸かせた。直後のコンバージョンキックを李が成功し、31-10とリードをさらに広げた。
ところが、ここからペナルティーがかさみ、アメリカの反撃を許す。ラインアウトモールから押し込まれ、最後は左サイドで待つWTBネイト・オウグスバーガーのインゴールに飛び込まれた。SOルーク・カーティーにコンバージョンキックを決められて31-24と7点差まで迫られた。
ジャパンは22分にPGを決め、リードを10点差に広げる。その4分後には途中出場の立川理道が鋭い突破からチャンスメイクし、最後はWTBマロ・ツイタマが2試合連続トライ。李がこの日7本目のプレースキックを成功して、41-24のスコアで試合を終えた。
試合後、ジョーンズHCは「本日は相手にボールを簡単に渡し過ぎていた。ただプレーヤーが試合中に適応できていた点は評価したい。汗でボールが滑りやすい中、ハードなボールキャリーやダイレクトプレーなどシンプルにプレーし、順応できていたと思う。課題を挙げるとすればモールディフェンス。簡単に失点してしまっていた。次回はここをキーポイントとして取り組んでいきたい」と総括した。キャプテンの立川も「フィジカルの強いアメリカに対して、受けるのではなく自分たちから仕掛けるメンタリティーで80分戦いました。ホームのテストマッチで勝つことには意義があり、うれしく思います」と振り返った。
またジョーンズHCは「まだ課題はあるが、9番の藤原、10番の李がとてもいいプレーをして我々を前に進めてくれた」とハーフ団を褒めた。常に速いテンポで攻めるのではなく、キックも駆使したエリアマネジメントが光った。次戦のサモア戦も当然、カギを握る存在だ。李は「80分通してどう勝ち切るかが、チームとしてクリアになってきている。次のサモア戦もしっかりコントロールしていきたいです」と前を見据えた。
サモア代表とは昨年のW杯フランス大会で対戦し、28-22で勝利しているものの、昨年のPNCでは22-24で敗れており、実力は伯仲していると言っていい。ツボにはまった時の破壊力は十分。“超速ラグビー”の浸透具合はもちろんのこと、ジャパンの成長ぶりが問われる戦いとなりそうだ。
(文/杉浦泰介)