世界最高峰のプロリーグ、リーガ・エスパニョーラ。といってもサッカーの話ではない。今回はハンドボールの話である。
 日本のエース宮大輔がスペインから帰国した。今季は古巣の大崎電気でプレーする。
 昨年9月から1シーズン、1部リーグのアルコベンダスでプレーした。目標としていた100得点を上回る104得点を記録した。
 大男たちを手玉に取ったのがドッジボールの技術を応用したステップシュート。高い壁を避けるためにサイドに踏み出し、ディフェンダーの横をすり抜けるようにしてリリースするのだ。

「監督からは“オマエが攻めるからこそ横にスペースが空く。だからまずパスを考えるんじゃなくて、オマエの鋭いフェイント、シュートを出すんだ”と言われました。当たり前のことだけど、今までそれができていなかった自分がいたことに気付きました」

 それが175センチとこの競技では小柄な宮をハンドボール界の第一人者たらしめたのは、どんな国からも、どんな競技からも、どんな人物からでも貪欲に上達のためのエキスを吸収する。これが秘密ではないかとワタシは考える。

<この原稿は「ビッグトゥモロー」2010年9月号に掲載されました>
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