第65回国民体育大会「ゆめ半島千葉国体」が25日から本格的に開幕する。愛媛県勢は37競技に528人が出場。昨年は36位だった天皇杯順位(男女総合)を30位台前半に押し上げることを目標に掲げている。先行して実施された水泳では大塚一平(同志社大、松山北高出身)が成年男子100メートルバタフライで3位入賞。幸先のよいスタートを切った。
(写真:男子やり投げの第一人者・村上幸史も出場予定)
 出場種別は5増 実りつつある強化計画

 7年後の「えひめ国体」で天皇杯制覇を目指す愛媛県にとって、各競技の育成、強化の進捗状況をチェックする大事な大会がやってきた。今年の県選手団は昨年比で8人増。ダイキ弓道部が中心となった弓道の成年女子など、前年と比較して出場権を逃した種別は9つあったが、逆に新たに国体へのキップを手にしたものも14ある。

「特に武道で柔道、剣道が全種別(青年男女、少年男女)出られることは大きいですね。それぞれの団体の強化計画が実っている証拠でしょう」
 愛媛県体育協会の山本巌常務理事は、そう分析する。柔道も剣道も課題のひとつとなっていた成年女子が四国ブロック予選を勝ち抜き、国体へコマを進めた。愛媛県の柔道といえば先の世界選手権、女子48キロ級で浅見八瑠奈(山梨学院大、新田高出身)が初出場で金メダルを獲得した。浅見はこの国体には出場しないものの、少年男子では村上亮(宇和島東高)、少年女子では井上愛美(新田)と8月のインターハイ覇者がそろって代表入りしている。千葉の地でも強さを示し、上位進出を狙いたいところだ。

 また成年男子のバスケットボールでは、ブロック予選の決勝で高知の追い上げを振り切り、国体行きを決めた。出場権を得たのは20代の中学、高校教師が中心となった若いチーム。相手の高知はbjリーグでプレーするプロ選手も加わっていたが、休日を使って練習を重ね、チームワークで上回った。
「当然のことですが、団体競技は急造チームより、しっかり練習をしたところのほうが強い。核となるクラブチームづくりはもちろんですが、選抜チームであっても練習環境をいかに整えるかが重要ですね」(山本常務理事)

 やり投げ・村上、ボート・武田も出場

 国体で天皇杯の得点が高い競技は、水泳の552点を筆頭に、陸上、カヌー、スケート、バレーボール、ウエイトリフティング、ホッケー、ソフトボール、ボート、レスリングの順。全競技で2番目の比重を占める陸上では昨年、愛媛は47都道府県中、最下位に沈んだ。しかし、8月のインターハイでは女子七種競技で高須賀真子(聖カタリナ)が優勝をおさめるなど、入賞が2から5に増加。さらには成年男子では男子やり投げで日本選手権11連覇中の村上幸史(スズキ浜松AC、今治明徳高出身)も出場する。前回より大幅に得点を上積みし、順位アップに貢献したいところだ。

 同じく多くの得点が稼げるボートでも成年男子で36歳の武田大作(ダイキ)が参戦する。先日、行われた全日本選手権では男子シングルスカルで史上最多となる12回目の優勝を飾った。今季は左ひざ痛の影響により、世界の舞台では苦戦しているが、国内では未だに敵なし。「(10月31日からの)世界選手権(ニューシーランド)に向けて、弾みをつけるレースにしたい」と本人も意気込んでいる。
(写真:武田は国体終了後も千葉に残り、世界選手権への最終調整を行う)

 その他の競技では昨年、成年男子が近的で準優勝をおさめた弓道は引き続き注目だ。今年は前回出場を逃した少年男女も千葉行きを決めており、そろっての躍進に期待したい。さらには、なぎなたもお家芸復活にかけている。昨年はまさかの入賞ゼロ。その後、エースの池見敬子(松山東雲中学、高校教)が12月の全日本選手権で4年ぶり7度目の優勝をおさめており、この女王を中心に雪辱を期す。

 カギ握る団体競技

 ただ、なんといっても30位台前半の目標達成には、高得点を得られる団体競技での活躍が不可欠だ。昨年もバスケットボールの少年女子、サッカー少年男子がいずれもベスト8に入り、天皇杯30位台入りを下支えした。
「その点ではソフトボールは今年、成年男子、少年女子が出場権を逃してしまった。これはちょっと痛いですね。一方でバレーボールでは9人制で成年男女がともに出場権を得ましたから、1つでも勝ってほしいと期待しています」
 山本常務理事も団体競技の成績が愛媛の順位を大きく左右すると占う。

 急に成績が向上する特効薬はどこにもない。各競技、各種別で少しでも上位に入り、得点を積み重ねることが、最終的な順位につながる。出場する全選手が、県の代表として最後の最後まで気持ちを切らさず、戦いぬいてほしい――。それが愛媛のスポーツ関係者すべての願いである。 

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(石田洋之)
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