監督就任1年目のシーズンは前期2位、後期は最下位という成績に終わりました。今シーズンは投手を中心に守れるチームづくりをするため、センターラインの強化を最重要課題としてやってきましたが、残念ながら目指していたことの半分も達成することができませんでした。コーチ陣をはじめ、既に11人の選手の退団が決定しています。来シーズンはそれこそ一からのスタート。バッテリーと内野の強化を図っていくつもりです。
 投手陣は抑えの切り札として考えていた大竹秀義(春日部共栄高)が開幕前にヒジを故障し、治療のために退団してしまったのが何よりも痛かったですね。治れば、復帰も十分にあり得ると思いますが、現在もボールを投げられるような状態にはいたっておらず、来シーズンに間に合わせることは難しいかもしません。その他の投手についても、キャンプ前から課題としていた球種を増やすということができず、苦しいピッチングを強いられました。

 ただ、素晴らしい素質をもちながら、昨シーズンまでケガなどもあって力を発揮できていなかった給前信吾(横浜商大高)が、今シーズンは先発の柱として活躍してくれました。4年目にしてようやく開花してくれたようで、来シーズンはさらなる飛躍を期待したいと思います。

 来月からは合同トライアウトが開催されます。来シーズンに向けての補強どころは。バッテリーと内野手です。ピッチャーは即戦力となる選手が3〜4人欲しいところ。BCリーグでは少ない人数でやり繰りしていかなければいけませんから、連投のきくピッチャーが欲しいですね。

 キャッチャーは今シーズン在籍した選手が全員退団してしまいました。なかには、スローイングが巧くなり、後期には盗塁も刺せるようになってきていた選手もいたのです。来シーズンが楽しみだったのですが、退団ということになり、非常に残念です。とにかく現在はキャッチャー不在の状態ですから、また一から育成していかなければいけません。補強ポイントとしてはインサイドワークとスローイングがしっかりできること。そして考えてリードできる選手がいいですね。バッティングに関してはもちろん打てるに越したことはありませんが、やはり司令塔としての役割の方が重要です。

 内野手はというと、今シーズンはエラーが多く、リーグ最多の104を記録してしまいました。リーグ最少の新潟アルビレックスBC(57)とは倍近くも差があります。特にセカンドとショートという重要なセンターラインにミスが多く、これで投手が崩れたり、試合の敗因となることも少なくありませんでした。それでも後期には、前期と比べればミスも減り、だんだんと上達している選手もいました。ところが、その選手も自ら引退を決めてしまったのですから、ここもやはり来シーズンに向けて一から育成していく必要があります。

 今シーズンもたくさんの方に応援をしていただき、本当に感謝しています。いつも練習を見に来てくれたり、ビジターの試合にも駆けつけてくれたりと、長野県には野球に熱い人が多いということを改めて実感させられることもしばしばでした。チームの成績が上がれば、さらにファン層が拡大するはずです。ですから、来シーズンこそは優勝というかたちで、ファンに恩返しをしたいと思っています。

 
佐野嘉幸(さの・よしゆき)プロフィール>:信濃グランセローズ監督
1944年4月1日、山梨県出身。甲府工業高から1962年、東映フライヤーズ(現・北海道日本ハム)に入団。72年に南海へ移籍し、レギュラーに定着した。73年にはリーグ優勝に貢献する。75年のシーズン途中で広島に移籍し、同年チーム初のリーグ優勝に貢献。79年に現役を引退し、翌年から国内外の球団でコーチや二軍監督を務める。2001年〜03年にはMLBパドレスのスカウトに就任。04年〜08年は千葉ロッテのコーチを務めた。今季より信濃の監督に就任した。

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