今シーズンも全日程が終了しました。新潟アルビレックスBCは前期は10勝22敗4分と上信越地区最下位に陥りましたが、後期は18勝16敗2分と盛り返しました。しかし、あと一歩のところで優勝することができませんでした。前期に続いて優勝した群馬ダイヤモンドペガサスとの差はわずか1ゲーム差だっただけに、残念でなりません。続いて行なわれた群馬との地区チャンピオンマッチでも初戦で敗れてしまいました。これで2008年からのプレーオフでは群馬に4連敗。一度も白星を挙げることができていません。来シーズンではその壁を破ってリーグ王者の座をつかみたいと思っています。
 今シーズン、不本意な結果に終わってしまった要因のひとつには、やはり打撃陣が不振に陥ってしまったということが挙げられます。チーム打撃成績を見ても打率2割4分6厘は富山サンダーバーズと並んでリーグワースト。これが最大の敗因といっても過言ではありません。

 打率だけでなく、得点、本塁打なども昨シーズンより落ちてしまいました。とはいえ、練習量が減ったということは決してありません。では、何が昨シーズンと違ったのかといえば、チャンスで力が出せない打者が増えてしまったことだと思います。地区連覇を果たした群馬との差も、勝負どころで甘い球を見逃さず、一球でとらえる技術にあったと感じています。

 唯一、プラスだったのは盗塁です。昨シーズンはチーム最少の20だった盗塁数が、今シーズンは倍以上の46にまで増えました。芦沢真矢前監督は今シーズンの目標として、足を使った野球を掲げていましたから、チームとしての成長の一つといっていいでしょう。一人ひとりが練習時から常に一つ先の塁を狙おうという高い意識をもったことが結果となって表れたのだと思います。しかし、まだまだ足りません。石川ミリオンスターズは131、福井ミラクルエレファンツは115、群馬は100と上位3チームはいずれも3ケタをマークしているのです。来シーズンはさらなるアップが必要ということは言うまでもありません。

 さて、私自身については、今シーズンは5月にヒジを故障し、手術をしたこともあり、苦しいシーズンとなりました。ヒジが万全でない中、どういうかたちで打てばいいのか、試行錯誤の日々が続きました。これまで私は遠くへ飛ばそうと、テイクバックをあまり取らずにフルスイングをしてきました。しかし、これではヒジへの負担が大きい。そこでテイクバックをとった状態からコンパクトにスイングする方法にかえたのです。後期はようやくこの打ち方にたどり着き、バッティングも安定させることができました。

 しかし、私の役割は打点を稼ぐこと。自身3年目の今シーズンは、これまでで最も少ない33打点に終わりました。自分がチャンスで稼ぐことができなかった責任は非常に大きかったと思います。

 来シーズンは新指揮官に就任された橋上秀樹監督の下、チーム初のリーグ優勝を目指したいと思います。そのためには、選手一人ひとりが「これだけは誰にも負けない」と自信をもって言える“一番”をもつこと。そうした選手が集まることによって、優勝という結果につながるのだと思います。私自身は、前述したように打点を稼ぐことなら誰にも負けない自信を、このオフで身につけたいと思っています。

 橋上新監督とは一度しかお会いしていませんが、豊富な知識をもっていること、そして野球に非常に誠実な方であるという印象をもちました。私自身、指導者として芦沢前監督に教わったことをいかし、そして橋上新監督にいろいろと教わりながら、選手個々の力を伸ばしていきたいと思っています。


青木智史(あおき・ともし)プロフィール>:新潟アルビレックスBCプレーイングコーチ
1979年9月10日、神奈川県出身。98年、ドラフト6位で広島に入団したが、2000年オフに自由契約の身となる。その後渡米し、トライアウトを受け続けた結果、03年にシアトル・マリナーズ1Aと契約。しかし、同年に解雇。翌年には豪州のセミプロチームに所属し、05年には豪州選手主体のウェルネス魚沼に唯一の日本人選手として入団した。同年夏にはセガサミーに入社。08年、新潟アルビレックスBCに入団し、本塁打王に輝く。昨季はプレーイングコーチに就任し、本塁打、打点の2冠に輝いた。187センチ、100キロ。右投右打。
◎バックナンバーはこちらから