まさに夢のようなひとときだった。
 11月1日、横浜カントリークラブ。スカパー!のゴルフ特別番組「タイガー・ウッズ×石川遼 〜everyone meets the dream〜」の収録に参加した。ラウンド後に実施されたタイガーと石川の対談のインタビュアーを務めさせてもらった。

 番組サブタイトルになっている「everyone meets the dream」は石川が大好きな言葉である。なぜなら、「everyone」の単語のつづりには「ryo」と彼のファーストネームが含まれているからだ。
「単語の中に僕の名前が入っているのは、どういうことなんだろうと考えました。高校の先生からは、“まさに今の石川を物語っているんじゃないか”と言われましたね。やっぱり支えてくれるみんなの存在なくして自分の存在はない。とても大切にしているフレーズです」

 タイガーのドライバーに脱帽
 
 15歳でアマチュアながらツアー史上最年少優勝。プロ転向2年目で史上最年少の賞金王。今や日本を代表するプロゴルファーとなった石川が最も憧れ、最も影響を受けたのが、言うまでもなくタイガーである。
「僕らはタイガー・ウッズ選手を見て育ったといっても過言ではない世代です。本当に憧れの選手って言葉だけでは片づけられないような存在なんです」
 2008年1月のプロ転向表明会見では「I want to play with TIGER.(タイガーとプレーしたい)」と英語で抑えきれない思いを表現した。

 それから約3年、タイガーと石川は過去に2度、同じ組でプレーした。昨年の全英オープンとプレジデンツカップだ。“初対決”となった全英では、タイガーの不調もあったが、石川が3打上回ってホールアウトしている。今回の特別番組で実施されたテレビマッチは、ともにラウンドする3度目の機会となった。
「練習から見入ってしまった。一緒にプレーできて最高の気分。試合でも彼のプレーは見られるが、今日は試合以上に彼のプレーを見たい」
 前日までマイナビABCチャンピオンシップ(兵庫県・ABCゴルフ倶楽部)で激闘を演じていた疲れもみせず、石川の目は早朝からキラキラと輝いていた。

 9ホールに渡って繰り広げられた“夢の対決”で、まず印象に残ったのはタイガーのドライバーの素晴らしさである。力みのないフォームから鋭くドライバー振り抜くと、「スパッ」という心地よい音とともに、ゴルフボールが矢のように加速し、空へ消える。テレビでは何度も彼のショットを見てきたが、間近で見るとそのままピンで止めて額に保存したいくらいに美しかった。

 もちろん飛距離も人並み外れている。
「(タイガーのドライバーは)常に15から20ヤード、先をいっていた。僕も今日はいいプレーができていたし、昨日まで試合を戦っていた体だったので、ドライバーもよく飛んでいた。自分なりにいいショットを打っても、それより先に彼のボールが常にあった。やっぱりすごいなと感じましたね」
 日本では有数の飛ばし屋である石川も脱帽だ。

 パワーだけではない。テクニックでもタイガーは十二分に関係者やギャラリーを堪能させてくれた。ピンがまったく見えない状況からスライスしてグリーン付近まで運んだり、バンカーに奥深く入ったボールを柔らかく手首を返したショットで、グリーン上に乗せたり……。これぞ世界のトッププロと呼べるプレーが随所に見受けられた。力と技、柔と剛、静と動――。一流のアスリートは、こういった2つの異なる要素を兼ね備えているものだ。

 タイガー、石川が与える好影響

 ラウンド途中には、ジュニアの有望株である浅地洋佑(杉並学院高)、小西健太(広島県瀬戸内高)を交えて争うホールも用意されていた。浅地は石川の高校の後輩にあたり、5月のダイヤモンドカップでは予選を2位で通過。最終的には9位に入る健闘をみせた。小西は今年7月、スコットランドで開催されたジュニアオープンチャンピオンシップで日本勢初優勝の快挙を収めた。

 このところ、日本では彼らのような若き男子ゴルファーの躍進が目立ってきている。石川の活躍が彼らの台頭につながっているのは間違いない。石川が小さい頃、タイガーに憧れたように、今、10代のゴルファーたちは石川の背中を追いかけている。ゴルフを志すジュニアが増えれば、それだけ優秀な人材も次々と現れ、競技力の底上げにつながる。

「非常にうれしい。身が引き締まる思いです。自分が今までやってきたゴルフ、プレーに関して影響を受けてくれていることにワクワクする。一緒にプレーする中で、将来性のある彼らがどんどん成長していく姿を今後、見られるのを楽しみにしている」
 タイガーに日本のゴルフ界の現状を説明すると、彼は笑みを浮かべながらこう答えた。若手からの突き上げが、また自らを更なる高みへと押し上げる。世界の頂点に長く君臨し続けてきた男は、そう考えているのではないだろうか。

 浅地と小西が一緒にラウンドしたのは、わずかな時間だったが、トッププロを相手に堂々としたプレーぶりを見せてくれた。学校では得られない貴重な経験が積めたはずだ。2選手がタッグを組み、タイガー・石川組に挑戦したホールは予想以上に白熱した。結果はぜひ、みなさんが番組で確かめてほしい。

 今回の番組のテーマは「夢」である。おそらく浅地、小西両選手は「またタイガー選手、石川選手と同じ舞台で真剣勝負をしてみたい」と夢をさらに膨らませたはずだ。では、タイガーと石川は今、どんな夢を抱いているのか。

 タイガー「ちょっといろいろあったので、また前を向いて頑張っていきたい。それが今の夢です」
 石川「やはりマスターズ優勝です。自分の夢をタイガー・ウッズ選手はもう何度も叶えている。彼のように世界中の人々を魅了するプレーヤーになりたい」
 
 夢の対談の内容は見てのお楽しみ。これはスカパー!からの視聴者への最高のクリスマスプレゼントである。

  ゴルフの歴史を変え世界の頂点に君臨する王者、タイガー・ウッズと、彼を敬愛し日本人初のメジャー制覇を目指す石川遼がついに日本で激突!!

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<放送概要>
◆出演者
タイガー・ウッズ、石川遼
番組ナビゲーター:青木功、小川光明
対談インタビュアー:二宮清純
実況:田中雄介/解説:牧野裕
◆放送日時
第1部:12/5(日)19:00〜他
第2部:1/3(月)19:00〜他
◆放送チャンネル
スカパー!HD:Ch.190/スカパー!:Ch.180/スカパー!e2:Ch.800
◆視聴条件
チャンネルまたはパック・セット等のご契約により、無料でお楽しみいただけます。

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