第1回 宮﨑喜美乃(プロウルトラトレイルランナー) 飲んだ翌日から“快腸”に!
野村乳業株式会社と株式会社スポーツコミュニケーションズのタイアップ企画第3弾のコーナータイトルは<二宮清純の「おなかを育てる」プロジェクト>です。毎回、ゲストをお招きし、コンディショニングなどについて語り合います。
過酷なレース
二宮清純 :記念すべき初回のゲストはプロウルトラトレイルランナーの宮﨑喜美乃選手です。よろしくお願いします。
宮﨑喜美乃:よろしくお願いします。
二宮 :トレイルランニングとは、川や岩山などの登山道を走る過酷なレースです。距離は10キロ前後のレースもあれば、宮﨑選手が専門とする160キロ前後のレースまであります。いつ頃からこの競技を始めたのですか。
宮﨑 :2015年から始めました。最初は80キロ前後のレースを主戦場にしていましたが、2018年の途中から160キロに転向しました。山によって若干距離は違いますが、私の最速タイムが18時間。最長はオマーンのレースでの53時間です。
二宮 :それはすごい! トレイルランニングの魅力は?
宮﨑 :自然を感じながら走れるのは、この競技の大きな魅力です。夜中、ヘッドライトを消すと星空がとても綺麗だし、月明りに照らされた山脈は驚くほど美しい。
二宮 :自然の中を走るのであれば、アクシデントも起こるのでは?
宮﨑 :オマーンでのレースでヘッドライトの充電が切れた時は最大のピンチでした。歩く時間が長くなり、ライトをつける時間も比例して長くなってしまった。仕方なしに、携帯電話のライトを頼りに前進したのですが……。
二宮 :真っ暗闇の山道で携帯のライトは、かなり心もとない。
宮﨑 :コースに設置されている目印はヘッドライトの光の強さに反射する仕組みになっています。携帯のライトだと光が弱くて目印が全然、反射しません。携帯の充電も切れそうになってしまった。たまたまコースにいた運営スタッフが警備用の光る誘導棒を持っていたのでそれを借りましたが、かなりのタイムロスを強いられました。
二宮 :時間がかかると、肝心の体力も奪われますね。
宮﨑 :その時は荷物を軽くするために食料を捨てたのが痛かった。体力も限界に近付いて、途中から頭がボーッとしました。夜中になると一気に気温が下がり、体が冷えて本当に大変でした。
「おいしいじゃないか!」
二宮 :かなり心身への負担が強い競技ですね。そうなると、日々の体調維持が大事です。
宮﨑 :実は、2年くらい前からマイ・フローラを飲んでいます。
二宮 :きっかけは?
宮﨑 :普段は便秘なのに、レース直前になると下痢になるのが大きな悩みでした。2年前にフランスのレースに出場した時、海外の選手の大半が「コンディション維持のために腸内環境を整える」と。それから私も腸活を意識するようになりました。
二宮 :具体的に、まずはどんなことを?
宮﨑 :いろんな乳酸菌のドリンクを試しましたが、甘すぎて私には合わなかった。海外の商品も取り寄せましたが、苦かったり、中には粉っぽいものもあり、“これじゃあ、続けられないよなぁ”と。そこでマイ・フローラを飲んでみると“おいしいじゃないか!”とびっくりしました。甘さが控えめで気に入っています。ご縁があり、昨年の秋からは野村乳業さんにサポートしていただいています。
二宮 :飲み始めてから、おなかの調子はいかがですか。
宮﨑 :私にはマイ・フローラが体質に合っていたようです。飲んだ翌日から“快腸”でした。
二宮 :レース前の下痢は?
宮﨑 :おなかの調子が安定してきて、良いコンディションでレースに臨めています。
二宮 :160キロも走るのに、下痢だと辛いでしょう?
宮﨑 :レースに集中したいのにトイレを探しながら走るのは、かなりのストレスでした。下り坂を走るときは体幹を使うのですが、下痢だとおなかに力が入らない。
二宮 :レースの結果にも響きますね。食事で気を付けていることは?
宮﨑 :体質的に、肉を摂取すると体が疲労するのでなるべく避けています。過去に1度、ヴィーガンを体験したので一定期間、肉を食べなかったんです。ヴィーガンをやめてから肉を食べたら、わかりやすく体が反応しました。
漬物にマイ・フローラ
二宮 :どのような反応が出たのでしょうか。
宮﨑 :久しぶりに肉を食べた翌朝、起きるのがつらく、しばらく倦怠感がありました。これは大きな発見でした。
二宮 :どんな食材でタンパク質を補っているのでしょうか。
宮﨑 :朝晩に魚を食べています。強度が高いトレーニングをこなした日は、鶏肉や豚肉を食べることもあります。牛肉を食べると翌日の疲労感が強いので、ほとんど食べないです。
二宮 :ほかに意識していることは?
宮﨑 :腸活をきっかけに、みそ汁や漬物も作るようになりました。漬物にほんの少量、マイ・フローラを入れると美味しいですよ。バランスよくいろんなものを食べた方が、腸内環境にも良いみたいです。
二宮 :栄養面に気を使っているようですが、栄養士にアドバイスをもらっているのですか。
宮﨑 :栄養士もいますが、基本は自分で考えて食事を作っています。体育大学(鹿屋体育大学、同大学院)出身なので、スポーツ栄養学を勉強していました。
二宮 :自分で考えていろいろ試すのも楽しいですよね。
宮﨑 :検証や分析をするのが好きなんです。どれくらいの強度で走れば、自分が長い距離を走れるのか、とか。トレーニングの段階から楽しいですよ。
二宮 :自分の体を使って実験しているみたい(笑)。
宮﨑 :おっしゃる通り! コンディション面に関してもそうです。
二宮 :と、いいますと?
宮﨑 :睡眠にもこだわっています。手首に時計をつけて睡眠中のHRV(心拍変動)のデータを取っています。心拍変動は心拍の揺らぎを評価しているものであり、揺らぎが大きいことが理想的です。逆に言えば「このデータの値が小さい」=「自律神経が乱れている」という証左でもあります。
二宮 :自分の行動をメモしておけば、HRVのふり幅がなぜ小さくなったかもわかる、ということですね。
宮﨑 :そうなんです。トレーニングの強度が高過ぎた、とか。私の場合だとお肉を食べた、とか。腸内環境と自律神経も関係していると学んだので、強度の高いトレーニングをしたあとにマイ・フローラを飲んでいます。それに加えて私の場合、腸内環境をよくすると寝入りも良いような気がしています。結果、疲労回復も早まる。
二宮 :次のレースは?
宮﨑 :12月にタイで行なわれるレースに出場予定です。
二宮 :日々、良いコンディションをキープしてトレーニングに励んでください。
宮﨑 :ありがとうございます。頑張ります!
<宮﨑喜美乃(みやざき・きみの)プロフィール>
1988年、山口県生まれ。小学1年生からランニングをはじめ、高校・大学と駅伝部に所属し全国駅伝に出場。大学・大学院は鹿児島の鹿屋体育大学にて過ごし、登山の運動生理学の研究に興味を持ち山の世界に入った。プロスキーヤー・冒険家の三浦雄一郎が代表を務めるミウラ・ドルフィンズの低酸素トレーナーとして登山者に向けた高山病予防のための低酸素トレーニング指導を行いながら、自らの実践データを収集・分析しながら世界の100マイルレースの頂点を目指す。直近では、2023年4月にクロアチアで開催されたIstria100 by UTMB(168km)にて優勝を果たす。
(文・写真/大木雄貴)