昨季、メジャーリーグ史上初となる10年連続シーズン200安打を達成したイチロー(マリナーズ)は来季限りで球団との契約が切れる。
 周知のようにマリナーズは2001年にメジャーリーグ史上最多タイのシーズン116勝(46敗)をあげ、ア・リーグ西地区を制したものの、それ以降は低迷が続き、昨季も地区最下位に沈んだ。

 ワールドシリーズ出場の夢をかなえるため、金満球団であるヤンキースやレッドソックスなどに移籍する選手は後を絶たないが、果たしてイチローはどうなのか?
 イチローファンならずとも気になるところだが、『イチロー10年物語』(集英社)で本人はこう語っている。

「(ワールドチャンピオンは)ここでしかなりたくない、くらいです。まあ、それは言いすぎかもしれませんが、気持ち的にはそう。戦力として必要とされて、というのはもちろん大前提ですが、時間をかけてきたものに愛情が生まれるのは当然です。
 チームメイトは変わっていきますが、ここのファンはいつも一緒でした。シアトルのファンと僕の関係は時間が経てば経つほど緊密になっていると感じているので、そこで(シーズン最多タイとなる116勝を記録した)2001年みたいにみんなで盛り上がりたい、と考えるのは自然なことでしょう」

 この中で、とりわけ注目に値するのが「時間をかけてきたものに愛情が生まれるのは当然」というコメントである。これはイチローイズムの根源をなすものだ。
 それは、イチローのこれまでの歩みを見ればよくわかる。日本での球団はオリックス1球団だけ。メジャーリーグではマリナーズ一筋。プライベート面でも、愛妻家ぶりはつとに有名だ。

 メジャーリーグでひとつのユニホームで野球人生を全うする選手のことを「ワンチーム・プレーヤー」と呼ぶが、最近ではデレク・ジーター(ヤンキース)とイチローが双璧だろう。

<この原稿は2011年1月24日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

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