森保J、今後の“対策の対策”のために検討すべきことは? ~26年北中米W杯アジア最終予選~

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 サッカー2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第4節、日本代表(FIFAランキング16位)対オーストラリア代表(同25位)の一戦が15日、埼玉スタジアムで行なわれ、日本が1対1で引き分けた。試合は後半13分、DF谷口彰悟(シントトロイデン)のオウンゴールで日本が失点したものの、31分にMF中村敬斗(ランス)が相手オウンゴールを誘発し、追いついたが逆転には至らなかった。森保ジャパンにとってはこの試合で、他チームに対策としての“攻略本”を手渡したような展開となってしまった。

 

SB兼CBができる人材はいるはず(埼玉)

日本代表 1-1 オーストラリア代表

【得点】

[日] オウンゴール(76分)

[オ] オウンゴール(58分)

 

 この試合の選手入場時、日本のゴール裏のサポーターは白と赤のビニール袋で日の丸の巨大コレオを作成し、選手たちの気持ちを高ぶらせた。しかし、日本代表は会場に詰め掛けた5万8730人に勝利を届けることができなかった。

 

 日本のメインシステムは3-4-2-1だった。対するオーストラリアは5-4-1。相手の「1」トップが日本のDFラインに仕掛けてくるプレス回避のため、前半はMF守田英正(スポルティング)かMF田中碧(リーズ)のボランチのどちらかがDFラインのセンターに下がって4バックに可変した。後半はボランチのどちらかが、左サイドバック化して4-1-4-1を形成した。

 

 6分、流れの中からMF久保建英(レアルソシエダ)に、15分にはMF堂安律(フライブルク)に右CKから好機が訪れるが先制点には至らない。22分には日本のDFラインからのロングボールに抜け出した久保が右サイドからゴール前に侵入したが相手DFに阻まれた。

 

 相手を敵陣に押し込むことはできたものの、DF5枚と中盤4枚で守るオーストラリアの守備陣を分散させることができなかった。5人と4人でピッチの横幅をカバーする守備網を広げることは容易ではないが、もうひと押しが足りなかった。

 

 3バックながら流れの中で右サイドバックの位置を取るDF板倉滉(ボルシアMG)は、もっと高いポジションを取るなどの工夫がほしかった。このポジションに、ベンチに座る本職サイドバックのDF菅原由勢(サウサンプトン)や、身長192センチと高さが売りのDF望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)を起用し、相手の守備陣形を広げる動きも必要だっただろう。まずは相手の5枚のDFの前にいる中盤4枚を動かして、ずれを作る手立てが見られたら尚よかった。

 

 中盤4枚に揺さぶりをかけるためにもこちらの右ストッパーの位置取りがカギだったように映った。

 

 

「3バックの右ストッパーに本職がサイドバックの選手を使う選択はあったか? 仮に選択肢にあった場合、採用しなかった理由は?」と試合後会見で森保一監督に水を向けるとこう返ってきた。

 

「(右ストッパーにサイドバックの選手を使ったり、4バックにする考えは)選択肢としてありました。1枚交代枠を残したが今日、起用した選手たちを送り出すことがベストだと思いました。DFを4枚にするなど、いろいろな形を考えましたが、相手を押し込めていたし、バランス的には同じ形で前に圧力をかけることが同点、逆転するためにはベストだと思いそのままの形で戦いを進めました」

 

 このオーストラリア戦は他チームにとって最高の教材となり得てしまう危険性がある。“対策の対策”には3バックの左右のどちらかにサイドバックの選手を起用することも検討すべきだろう。

 

(文/大木雄貴)

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