点が取れるボランチ 谷川萌々子、レギュラー奪取へ ~親善試合~
サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)は26日、韓国女子代表と国立競技場で親善試合を行ない、4対0で勝利した。試合は前半にDF北川ひかる(BKヘッケン)、MF藤野あおば(マンチェスター・シティウィメン)、FW田中美南(ユタ・ロイヤルズ)が得点した。後半には途中からピッチに立ったMF谷川萌々子(ローゼンゴード)がゴールを決めた。
谷川、果敢な走り込みが奏功(国立)
なでしこジャパン 4-0 韓国女子代表
【得点】
[な] 北川ひかる(33分)、藤野あおば(34分)、田中美南(37分)、谷川萌々子(56分)
今夏に行なわれたオリンピックのグループリーグ第2節・ブラジル代表戦で、30メートルのロングシュートを決めるなど、パリで才能の片りんを見せた谷川。彼女はダブルボランチの一角として後半開始から出場すると、この日もゴールを決めて自身の存在をアピールした。
3対0となでしこジャパンのリードで迎えた後半11分。もう1人のボランチでありチームの司令塔を担うMF長谷川唯(マンチェスター・シティーウィメン)が右サイドに開くDF守屋都弥(INAC神戸レオネッサ)にスルーパスを通した。アタッカー陣がペナルティーエリア内に走り込む。韓国のDF陣がボールを見過ぎてしまい、ペナルティーアーク付近にぽっかりとスペースを空けてしまった。
ボランチの位置にいた谷川はその一瞬のスキを見逃さなかった。「都弥さんにボールが入ったときに、自分がフリーだと思った。左手を挙げながら都弥さんを見て、自分に気が付いてもらえるように走り込みました」と谷川。
フリーで走り込む谷川をしっかり確認した守屋は右足インサイドで丁寧なクロスを送った。これを19歳が右足で流し込み、勝負を決定づけた。
谷川は、試合後の囲み会見でこう語った。
「(ベンチで試合を見ていたときから)クロスに対して、自分もペナルティーエリア内に入りたい、と思っていました。(シュートは)ふかさないように意識しました」
なでしこジャパンの中盤の底は長谷川とMF長野風花(リバプール・ウィメン)が支えている。このふたりの持ち味は足元のテクニックと視野の広さだ。このコンビが世界屈指なのは疑いようのない事実だ。しかし、試合が膠着した展開になると崩すのは容易ではない。そこで後方からのランニングで「点が取れるボランチ」の谷川は、貴重なカードといえる。
「代表だと、かなり強烈なダブルボランチが先輩にいますね」と水を向けると、谷川は「そうですね」と苦笑を浮かべつつ、続けた。
「ロングシュートやパワーは自分の良いところかなと思います。相手のゴールキックなどロングボールに対しての競り合いも自分の武器だと思っています」
ゲームをつくれるボランチが長谷川と長野ならば、点が取れるボランチは谷川である。状況に応じて長谷川を1列前で起用し、パワーとダイナミックなランニングが持ち味の谷川をボランチで起用しても面白いのではないか。
(文/大木雄貴)