明大遊撃手・宗山、最多の5チーム競合 青学大は2年連続“ドラ1”2人 ~NPBドラフト会議2024~
新人選手選択会議「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が24日、都内のホテルで開催された。1巡目は明治大遊撃手・宗山塁に最多の5チーム(広島、福岡ソフトバンク、北海道日本ハム、東北楽天、埼玉西武)が競合。抽選の結果、楽天が交渉権を得た。注目度の高かった投手・金丸夢斗(関西大)に4球団(巨人、阪神、横浜DeNA、中日)が競合し、中日が交渉権を得た。千葉ロッテとオリックスが競合した青山学院大外野手の西川史礁は、ロッテが当たりくじを引いた。その他、東京ヤクルトは右腕投手の中村優斗(愛知工業大)を単独指名した。
外れ1位で、巨人が石塚裕惺(花咲徳栄高/内野手)、阪神が伊原陵人(NTT西日本/投手)、DeNAが竹田祐(三菱重工West/投手)、広島が佐々木泰(青山学院大/内野手)、日本ハムが柴田獅子(福岡大大濠高/投手)、オリックスが麦谷祐介(富士大/外野手)の交渉権を獲得。
外れ外れ1位で、ソフトバンクが村上泰斗(神戸弘陵高/投手)、西武が齋藤大翔(石川・金沢高/内野手)の交渉権を得た。
17時に開始したドラフト会議。西川と佐々木は野球部の仲間たちと青学大青山キャンパスの食堂で中継を見つめていた。12球団の1巡目指名が読み上げられ、西川は3番目のオリックスから指名を受けると笑顔を見せた。12球団の指名が終わり、重複は宗山5、金丸4、西川2。西川への交渉権はオリックスとロッテが争うこととなった。
オリックスは岸田護新監督、ロッテは玉塚元一オーナー代行がくじ引きに参加した。ラグビー・リーグワンのチェアマンを務める玉塚氏が交渉権を引き当てた。西川は「率直にうれしい気持ちでいっぱいです。野球を始めた頃からプロ野球選手になることを目指していました。その夢が叶ってうれしい」と指名を喜んだ。
和歌山県出身で京都の龍谷大平安高を経て、青学大に入学。3年時にレギュラーを掴み、4番を任された。大学日本代表でも4番を務めた大学野球界屈指のスラッガーだ。今年3月の侍ジャパンの欧州代表戦にも大学生ながら2試合出場した。フルスイングが持ち味だが、安藤寧則監督によれば「コンタクト率も高い」という。「バッティングがセールスポイント。守備も自信を持っている。バッティングと守備、それを存分に発揮したいと思っています」と西川。将来の目標に「誰もが知っているような日本の4番になりたい。本塁打王や首位打者を獲りたいです」と意気込んだ。
ドラフト会場から青山キャンパスまで足を運んだロッテの吉井理人監督は「オーナー代行が引いてくれて助かりました」と報道陣を笑わせた。昨年は抽選を任されたが、当たりくじを引けなかったからだ。「マリーンズは右の大砲がいないのが弱点。そこを補ってほしいと思って指名しました」と1位指名に至った理由を述べた。西川に対し、「走攻守揃っている選手。外野を守っていますが、可能性はいろいろある。いい野手、いいホームランバッターになったほしいと思っています」と期待値は高い。
指名の瞬間、少し驚いた表情を見せたのが佐々木だ。「まさかこんなに高く評価していただけるとは……指名をいただいた時はびっくりという気持ちが一番でした」。広島に対する印象は「実力のある人が多く、早く一緒に野球がしたい」と話した。岐阜県出身で、県岐阜商業高から青学大に進んだ。大学では1年時から出場機会を得て、春季リーグで4本塁打を挙げた。伸び悩んだ時期もあったというが、東都大学野球リーグで通算12本塁打を記録。長打力が魅力のスラッガーだ。
広島の新井貴浩監督は昨年同様、いち早く指名挨拶に訪れた。「今でも十分素晴らしい選手ですが、まだまだのびしろがある。ゆくゆくは中軸、そして侍(ジャパン)の方にも呼ばれる選手になってもらいたい」と潜在能力を高く評価。指名直後の心境は「競合しないか不安だったので“頼む!”という思いだった」と明かす。「ホームラン王を獲りたい。チームの核となり、息が長い選手になりたいです」と佐々木。理想は広島OBの鈴木誠也だ。
西川と佐々木は1年前、同じ青山キャンパス内で先輩の常廣羽也斗(広島)、下村海翔(阪神)のドラフト1位指名を見守った。「自分がドラフト1位でプロに行きたいという気持ちがさらに強くなった1日」と佐々木。西川は「来年は自分がという気持ちで、この1年やってきた。その夢が叶ってうれしい」と続いた。
次はオレたちが――。Wエースとして切磋琢磨してきた先輩同様、西川と佐々木も主軸として競い合い、高め合ってきた。佐々木が「史礁が試合に出ていた3年生の頃、自分は落ちていた。“負けたくない”という気持ちで、また頑張れた。史礁に感謝しています」と口にすれば、西川も佐々木を「いいライバル」と言う。「1、2年の時はなかなか試合に出ることができなかった。その中で泰は1年生からチームの中心選手と活躍していました。悔しい気持ちがあったんですが、3年生で一緒に自主練習をした。同じ右で似ているバッター。ここまで2人で成長してこれた。共にドラフト1位で入団できるのはうれしい」
これで2年連続1巡目複数指名となった青学大。同一大学から野手2人の1位指名は青学大OBで、1996年の内野手・井口忠仁(ダイエー)、捕手・清水将海(ロッテ)以来である。戦国東都で4季連続優勝、全日本大学選手権でも2連覇中と大学野球界を牽引する存在だ。安藤監督は「評価していただけて本当にうれしい。なかなかドラフト1位にはなれない。選手がよく頑張ってくれた」と教え子2人を称えた。
(文・写真/杉浦泰介)
各球団の指名選手は以下のとおり。
◎セ・リーグ
◆巨人
順位 氏名 所属 ポジション
1位 石塚裕惺 花咲徳栄高 内野手
2位 浦田俊輔 九州産業大 内野手
3位 荒巻悠 上武大 内野手
4位 石田充冴 北星大付高 投手
5位 宮原駿介 東海大静岡キャンパス 投手
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育成1位 坂本達也 富士大 捕手
育成2位 堀江正太郎 文星芸大付高 投手
育成3位 鈴木圭晋 横浜創学館高 投手
育成4位 吹田志道 広前学院聖愛高 投手
育成5位 西川歩 山村学園高 投手
育成6位 竹下徠空 明徳義塾高 内野手
――選択終了
◆阪神
1位 伊原陵人 NTT西日本 投手
2位 今朝丸裕喜 報徳学園高 投手
3位 木下里都 KMGホールディングス 投手
4位 町田隼乙 埼玉武蔵ヒートベアーズ 捕手
5位 佐野大陽 富山GRNサンダーバーズ 内野手
――選択終了
育成1位 工藤泰成 徳島インディゴソックス 投手
育成2位 嶋村麟士朗 徳島インディゴソックス 捕手
育成3位 早川太貴 くふうハヤテベンチャーズ静岡 投手
育成4位 川﨑俊哲 石川ミリオンスターズ 内野手
――選択終了
◆DeNA
1位 竹田祐 三菱重工West 投手
2位 篠木健太郎 法政大 投手
3位 加藤響 徳島インディゴソックス 内野手
4位 若松尚輝 高知ファイティングドッグス 投手
5位 田内真翔 おかやま山陽高 内野手
6位 坂口翔颯 國學院大 投手
――選択終了
育成1位 小針大輝 日大鶴ケ丘高 外野手
育成2位 吉岡暖 阿南光高 投手
育成3位 金渕光希 八戸工大一高 投手
――選択終了
◆広島
1位 佐々木泰 青山学院大 内野手
2位 佐藤柳之介 富士大 投手
3位 岡本駿 甲南大 投手
4位 渡邉悠斗 富士大 捕/内野手
5位 菊池ハルン 千葉学芸高 投手
――選択終了
育成1位 小船翼 知徳高 投手
育成2位 竹下海斗 敦賀気比高 投手
育成3位 安竹俊喜 静岡大 捕手
――選択終了
◆ヤクルト
1位 中村優斗 愛知工業大 投手
2位 モイセエフ ニキータ 豊川高 外野手
3位 荘司宏太 セガサミー 投手
4位 田中陽翔 健大高崎高 内野手
5位 矢野泰二郎 愛媛マンダリンパイレーツ 捕手
――選択終了
育成1位 根岸辰昇 ノースカロライナA&T州立大 内/外野手
育成2位 廣澤優 愛媛マンダリンパイレーツ 投手
育成3位 下川隼佑 オイシックス新潟アルビレックス新潟BC 投手
育成4位 松本龍之介 堺シュライクス 捕手
――選択終了
◆中日
1位 金丸夢斗 関西大 投手
2位 吉田聖弥 西濃運輸 投手
3位 森駿汰 桐光学園高 内野手
4位 石伊雄太 日本生命 捕手
5位 高橋幸佑 北照高 投手
6位 有馬恵叶 聖カタリナ高 投手
――選択終了
育成1位 中村奈一輝 宮崎商高 内野手
育成2位 井上剣也 鹿児島実高 投手
――選択終了
◎パ・リーグ
◆ソフトバンク
1位 村上泰斗 神戸弘陵高 投手
2位 庄子雄大 神奈川大 内野手
3位 安徳駿 富士大 投手
4位 宇野真仁朗 早稲田実業高 内野手
5位 石見颯馬愛工大名電高 内/外野手
6位 岩崎峻典 東海大 投手
――選択終了
育成1位 古川遼 日本学園高 投手
育成2位 曽布川ザイレン 浜松商高 内野手
育成3位 大友宗 茨城アストロプラネッツ 捕手
育成4位 広瀬結煌 市立松戸高 投手
育成5位 河野伸一朗 宮崎学園高 投手
育成6位 川口冬弥 徳島インディゴソックス 投手
育成7位 津嘉山憲志郎 神戸国際大付高 投手
育成8位 相原雄太 仙台大 投手
育成9位 岡田晧一郎 大阪商業大 投手
育成10位 漁府輝羽 東北福祉大 外野手
育成11位 木下勇人 千葉経大付高 外野手
育成12位 熊谷太雅 東陵高 投手
育成13位 塩士暖 門前高 投手
――選択終了
◆日本ハム
1位 柴田獅子 福岡大大濠高 投手
2位 藤田琉生 東海大相模高 投手
3位 浅利太門 明治大 投手
4位 清水大暉 前橋商業高 投手
5位 山縣秀 早稲田大 内野手
6位 山城航太郎 法政大 投手
――選択終了
育成1位 川勝空人 生光学園高 投手
育成2位 渋谷純希 帯広農業高 投手
――選択終了
◆ロッテ
1位 西川史礁 青山学院大 外野手
2位 宮崎竜青 ヤマハ 内野手
3位 一條力真 東洋大 投手
4位 坂井遼 関東第一高 投手
5位 廣池康志郎 東海大九州キャンパス 投手
6位 立松由宇 日本生命 内野手
――選択終了
育成1位 谷村剛 和歌山東高 内野手
育成2位 茨木佑太 帝京長岡高 投手
育成3位 長島幸佑 富士大 投手
――選択終了
◆楽天
1位 宗山塁 明治大 内野手
2位 徳山一翔 環太平洋大 投手
3位 中込陽翔 徳島インディゴソックス 投手
4位 江原雅裕 日鉄ステンレス 投手
5位 吉納翼 早稲田大 外野手
6位 陽柏翔 茨城アストロプラネッツ 内野手
――選択終了
育成1位 岸本佑也 奈良大付高 内野手
――選択終了
◆オリックス
1位 麦谷祐介 富士大 外野手
2位 寺西成騎 日体大 投手
3位 山口廉王 仙台育英高 投手
4位 山中稜真 三菱重工East 捕/外野手
5位 東山玲士 ENEOS 投手
6位 片山楽生 NTT東日本 投手
――選択終了
育成1位 今坂幸暉 大阪学院大高 内野手
育成2位 清水武蔵 栃木ゴールデンブレーブス 内野手
育成3位 上原堆我 花咲徳栄高 投手
育成4位 寺本聖一 広島経済大 外野手
育成5位 田島光祐 信濃グランセローズ 捕手
育成6位 乾健斗 霞ヶ関高 投手
――選択終了
◆西武
1位 齋藤大翔 石川・金沢高 内野手
2位 渡部聖弥 大阪商業大 内/外野手
3位 狩生聖真 佐伯鶴城高 投手
4位 林冠臣 日本経済大 外野手
5位 篠原響 福井工大学福井高 投手
6位 龍山暖 エナジックスポーツ高 捕手
7位 古賀輝希 千曲川硬式野球クラブ 内野手
――選択終了
育成1位 冨士大和 大宮東高 投手
育成2位 佐藤太陽 神奈川大 内野手
育成3位 ラマルギービン ラタナヤケ 大阪桐蔭高 内野手
育成4位 佐藤爽 星槎道都大 投手
育成5位 澤田遥斗京都国際高 外野手
育成6位 福尾遥真 学法石川高 内野手
育成7位 ウメビンユオオケム明 外野手旭川志峯高 外野手
――選択終了