日本の高校生がオールブラックスにハカ披露 マオリ伝統の遊びで異文化交流

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 25日、ニュージーランド航空主催「オールブラックス×日本の中高生交流イベント」が都内で行われ、26日のテストマッチ「リポビタンDチャレンジカップ2024」(神奈川・日産スタジアム)に出場するため、来日中のニュージーランド代表(オールブラックス)から3選手(LOパトリック・トゥイプロトゥ、LOジョシュ・ロード、ルースフォワードのウォレス・シティティ)が参加。中高生30人との交流を深めた。

 イベントでは冒頭に千葉・八千代松陰高校ラグビー部が約1カ月特訓したというハカ(ガパ・オ・パンゴ)を披露した。トゥイプロトゥが「集中力を高め、対戦相手に立ち向かう気持ちを表す聖なるパフォーマンス。私たちが戦士になる瞬間です」という特別な儀式を披露した高校生たちを温かい目で見守った。シティティは「非常に感銘を受けました。とても情熱を感じましたし、(コール)リーダーの方が特に上手かった」と感想を述べた。

 

 中高生から選手へ英語でインタビューするコーナーが設けられ、「オールブラックスになるために必要なものは?」などといった質問に選手たちが答えていった。トゥイプロトゥは「まずはニュージーランドに来ていただくことですね。オークランドにはいい学校があります」とニッコリ笑い、中高生たちの緊張をほぐした。ロードは「自分が立てた目標を達成するために一生懸命頑張ること。そしてその過程を楽しむことが大事です」、シティティは「とにかく楽しむこと。何を達成したいか自覚していることが必要」とアドバイスを送った。

 質問コーナーの後は、中高生たちがマオリ伝統の遊び「ファノファノ」を選手と一緒に体験した。まずは中高生同士が対決し、勝ち残り方式で3人に絞る。選手が審判役を務めるなど、無邪気に勝負を楽しむ中高生たちとの距離はグッと縮まったように映った。勝ち残った3人がそれぞれオールブラックスの3選手に挑んだ。3人は勝ち負けに関わらず、記念品(3選手のサイン入りサーモスボトル)を受け取った。

 

 イベントの最後に中高生にメッセージ。26日の日本代表戦で、ゲームキャプテンを務めるトゥイプロトゥは「長きに渡って、私たちオールブラックスの移動をサポートしてくれるニュージーランド航空に感謝します。日本に来ることができ、うれしく思う」と感謝を述べ、中高生には「皆さんがどんなこと将来をやるにしても、楽しんでやっていただきたい。そのプロセスを楽しんでほしい」とエールを送った。

 トゥイプロトゥ、ロード、シティティの3人は翌日の試合登録メンバーに名を連ね、試合が控える中、イベント後も即席のサイン会、記念撮影に応じるなど手厚いファンサービス。双方にとって貴重な機会となったと言えよう。「気持ちのこもったハカが見られて非常にうれしかった。今回の試合で得点を挙げたいと気合が入った。ニュージーランドに来ることがあったら案内しますので、お声がけください」とロード。シティティも「同じ空間を共有することでき、うれしかった。もしもどこかで私を見かけたら、ぜひ挨拶をしてください」と笑顔で話した。

 

 今回のイベントを主催したニュージーランド航空は、ニュージーランドラグビーの公式パートナー。約30年に渡り、オールブラックスの選手たちの移動をサポートしている。オールブラックスが来日する際には、今回のようなイベントを催し、国際交流を図っているという。2019年W杯日本大会の際には、高校生・大学生との交流会を東京・銀座で開催した。

 ニュージーランド航空のマーケティングエグゼクティブを務める広野桃氏は「ニュージーランドの魅力を伝える上で、ラグビーはひとつのストロングポイントです」と語り、こう続けた。

「こういったイベントでラグビーというスポーツを盛り上げ、ニュージーランドという国の魅力を知っていただく機会にしたいと思っています。ラグビーは多様性のスポーツ。学べることも多いので、教育マーケットにも響くところだと考えています」

 学生たちにとってもスター軍団でありながら、気取らないオールブラックスの人間性に触れることで、得られるものは大きいはずだ。

 

 ニュージーランド航空では公式YOUTUBEなどでもニュージーランド、オールブラックスの魅力を発信している。「映像コンテンツも増やしていきたいと思っています、また学生との交流はオールブラックスの選手たちも楽しんでくれている。今後も続けていきたいです」と広野氏。ラグビーを通じた異文化交流を通じ、両国の関係を深めていく。これも日本の外交活動で必要なことと言えるだろう。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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