ジャパン、今季国内最終戦でオールブラックスに完敗 ~リポビタンDチャレンジカップ~
26日、ラグビー日本代表(ジャパン)の国内テストマッチ今季最終戦「リポビタンDチャレンジカップ2024」が神奈川・日産スタジアムで行われ、世界ランキング14位のジャパンが同3位のニュージーランド代表(オールブラックス)に19-64で敗れた。
秋のテストマッチシリーズ初戦は過去7戦全敗のオールブラックス。エディー・ジョーンズHCが「日本のベンチマークとなる試合」という現在地を測る一戦は力の差を見せつけられたかたちとなった。
曇天の空の下、日産スタジアムには6万人を超える観客が集まった。両国の国歌斉唱後、オールブラックスがハカを披露。ゲームキャプテンのLOパトリック・トゥイプロトゥによれば「集中力を高め、対戦相手に立ち向かう気持ちを表す聖なるパフォーマンス。私たちが戦士になる瞬間」という。今回は「カマテ」だった。
先制はジャパンだ。5分、SH藤原忍のパスで抜け出したWTBジョネ・ナイカブラが相手のタックルを受けながらも反転してインゴール左中間に叩き込んだ。藤原によれば「サインプレー」、ラックで球出し役となったナイカブラが藤原にパスし、リターンを受け取ったことで相手の守備網を破った。コンバージョンキックをSO立川理道が決めて7点を先取した。
ジャパンは自陣に攻め込まれる場面もあったが9分にナイカブラと立川のダブルタックルで相手のノックオンを誘い、11分にはプレッシャーをかけてパスを乱れさせた。
12分と16分にトライとゴールを決められ7-14と逆転を許したものの、19分にはラインアウトからのアタックでインゴールに迫り、藤原のパスからNo.8ファウルア・マキシが飛び込み、2点差に迫った。
22分にはハーフウェイライン付近でマキシがSOダミアン・マッケンジーにタックル。こぼれたボールをLOワーナー・ディアンズが蹴り前方に出し、追いかける。2m超の巨体を揺らし、誰よりも速くキャッチするとインゴール左中間にトライ。ジャパンの再逆転に日産スタジアムは沸いた。
ところがTMOにより、マキシがタックルする際、ボールに当たっており、ノックオンの判定に。トライキャンセルとなった。直後のスクラムからトライを奪われると、ここから瓦解するように連続トライを喫した。試合後、ジョーンズHCが「感情面で落ち、エフォートが下がった」と振り返ったように5トライ29失点。12-43とリードを許してハーフタイムを迎えた。
後半28分、途中出場で初キャップを刻んだPRオペティ・ヘルがスペースを抜け出し、SOダミアン・マッケンジーを軽やかなステップでかわしてトライを挙げたが、反撃もそれまで。終了間際に2トライ2ゴールを奪われ、19-64と大差で敗れた。
「これだけいい準備をしてきたのに、この点差で負け、力の差を見せられた。まだまだ世界のトップに届かないと感じました」
チーム最年少20歳、FB矢崎由高は肩を落とした。自身は26分にトライチャンスをマッケンジーに阻まれた。「あそこで取り切れないのが自分の現状だと痛感しました」。ヨーロッパ遠征は不参加となり、早稲田大学に戻って秋のリーグ戦に臨む。「このスタンダードを下げずに、こういう舞台で通用するためのことを日々意識して半年間過ごしていきたい」と前を見据えた。
ジャパンはヨーロッパ遠征に向かい、フランス代表、ウルグアイ代表、イングランド代表と戦う。「今までやってきたことを選手は信じている。しっかり勝つことだけを考えて頑張っていきたい」と藤原。強豪国相手の腕試しが続く。
(文・写真/杉浦泰介)