3年ぶりのドラフト指名。ヤクルトドラ3・荘司への期待
さる10月24日、プロ野球のドラフト会議が行われ、セガサミー野球部からは2年目のピッチャー荘司宏太が東京ヤクルトに3位指名を受けました。セガサミーとしてはオリックスに入団した横山楓(2021年6位)以来、3年ぶりの指名です今年は都市対抗野球、社会人日本選手権と本選に進めなかったので、ようやく明るい話題を届けられたと思っています。
ドラフト会議当日は寮の食堂で、選手・スタッフたちと中継を観ていました。私自身、四国アイランドリーグ時代からプロ志望の選手が指名されず、肩を落とすシーンを何度も観てきました。調査票だって、1球団だけでも指名がかかることがあれば、11球団から届いても指名されないケースもあります。「選択終了」と聞く瞬間の空しさは堪りません。
ただ今回は選ばれる期待感は多少ありました。荘司に対し、数球団が熱心に興味を持ってくれていましたから。まぁ私の予想も3位か4位。ヤクルトが中継ぎを強化したいということで指名していただいた。とりあえずホッとひと安心でした。ニックネームはダルマ。ただでは転ばない男です。大学時代のケガを乗り越えてプロ入りの切符を掴みました。キャラクター的にもいじられキャラなので、ヤクルトでも可愛がられてもらいたい。
私と荘司との出会いは、彼が国士舘大学4年生の時。セガサミーが左ピッチャーを探していたところ、当時の監督・辻俊哉さん(現・マツゲン箕島硬式野球部投手コーチ)から「ちょっと練習を見てもらえないですか?」と言われたのがきっかけです。山梨・駿台甲府高を経て国士舘大に進んだものの、大学時代はケガがちで、あまり目立った存在ではありませんでした。それで練習生としてオープン戦に投げさせた。確か東海大学戦だったと思います。非常にいい球を放って、6者連続三振を奪う。球が強く、短いイニングなら面白いと、採用しました。
昨年は都市対抗本選でも投げましたが、若干波のあるピッチャーでした。いい時は強い球を放れるのですが、球速が落ち、打たれるケースも見受けられました。このオフから陶久亮太コーチと二人三脚でグラブの位置や出す角度を試行錯誤して、ボールの回転数を。彼の長所はホップする150km近いストレート。そして100km前後のチェンジアップです。角度をつけるフォームで腕がしっかり振れますから、バッターもスピードガン以上に差し込まれる。メンタル的には大崩れしないタイプで、マウンドでもあまり動じません。
セガサミー対決に期待
一番印象に残っているのは、今年の都市対抗東京都二次予選のHonda戦。1-3のビハインドの6回から登板し、3イニングで7者連続を含む8奪三振に切って取りました。9回に2点を取られはしたものの、今年の成長ぶりを遺憾なく発揮してくれました。都市対抗本選は補強選手として東京ガスに加わり、松田孝仁監督が2試合に起用してくれました。計4イニング無失点。東京ドームでの好投がスカウトの印象を良くしたと思っています。
荘司は左バッターのワンポイントとしても使えると思いますが、彼は右バッターも苦にしないタイプです。試合数を重ね、最終的には大事な場面で任されるようなピッチャーになって欲しいですね。1軍で50試合ぐらい投げるリリーフとして活躍して欲しいですね。あと本人は希望しているのが、セガサミーOBの宮﨑敏郎選手と対戦。同じセ・リーグのチームですから、NPBでの“セガサミー対決”実現に私も注目しています。
今回のドラフトではセガサミー加入の可能性のあった選手もいました。名前は言えませんが、上位縛りの学生でした。リリーフとして、ウチとしては荘司の抜けた穴を埋めて欲しかったので残念です。本人にとってはプロから上位指名されたわけですから良かったと思います。
社会人で言えば、NTT東日本の片山楽生投手が6位、ENEOSの東山玲士投手が5位、三菱重工eastの山中稜真選手が4位で、いずれもオリックスから指名されました。オリックスは社会人投手を下位指名で獲っていく。片山投手と東山投手にはプロ入り後の活躍も期待しています。山中選手は非常にバットコントロールが良く、面白い選手だと思います。
また独立リーグの選手も本指名で毎年指名されるようになってきました。独立リーグ全体が力を付けてきている印象ですが、一方で香川オリーブガイナーズのOBとしては、ガイナーズの選手にも少し頑張って欲しいなという気持ちもあるというのが正直なところです。
それでは、今月はこのへんで。
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<西田真二(にしだ・しんじ)プロフィール>
1960年8月3日、和歌山県出身。小学3年で野球を始める。PL学園高、法政大学を経て、83年にドラフト1位で広島カープに入団。高校時代は78年夏にエース&4番として甲子園優勝に貢献した。大学時代は5度のベストナインに輝くなど、3度のリーグ優勝に導いた。プロ入り後は左投げ左打ちの外野手として、91年のセ・リーグ優勝に貢献するなどカープ一筋13年で現役を終えた。現役引退後は野球解説者を経て、カープ、四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)の愛媛、香川などで後進を育成。20年よりセガサミー野球部の監督を務める。