リーグ優勝を支えた柱の存在

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 セガサミー野球部は社会人野球日本選手権大会関東代表決定戦2回戦で鷺宮製作所に2-4で敗れ、本大会出場を逃しました。都市対抗野球に続き、勝負所で勝ち切れなかった。8回表終了時までは2-1とリードしていましたが、その裏に3点を奪われ逆転負け。5回途中から登板させていた2番手の荘司宏太を引っ張り過ぎてしまった、この日の私の采配を含め反省点の多いシーズンとなりました。

 

 都市対抗予選を終えてから選手たちの状態は良かっただけに、一発勝負の中で結果を残せないもどかしさがあります。打つべきところで打てなかったり、抑えるべきところで打たれたり……。この反省を踏まえ、今後に生かしていきたいと思います。関東選抜リーグ戦でBブロック2位に入り、7日からのJABA関東選手権大会への出場が決まりました。大会前には社会人日本代表との対戦も予定しています。代表にはセガサミーから荘司が選出。荘司は今月のNPBのドラフト会議で指名される可能性もありますので、セガサミーともども引き続き応援をお願いいたします!


 さてプロ野球はセ・パ両リーグの覇者が決まりました。巨人と福岡ソフトバンクはいずれも4年ぶりのリーグ優勝です。関係者の皆さん、おめでとうございます!

 

 まずセ・リーグを制した巨人は阿部慎之助監督。実績のある原辰徳監督から引き継いでの1年目は大変なことも多かったでしょう。阿部監督はキャッチャー出身ですから、相手の嫌がる戦略を取っているように見えました。勝負どころでのスクイズ然り、状況によってキャッチャーを使い分けているようでした。


 今季はエースの菅野智之投手を中心にピッチャー陣が踏ん張りました。特に菅野投手は小林誠司捕手とのコンビで復活を果たし、ここ2年勝ち頭だった戸郷翔征投手の負担も軽減されました。若手の井上温大投手も育ってきており、先発投手陣も豊富でした。菅野投手が柱となりリーグトップ(9月30日現在)のチーム防御率を支えました。


 また打線は吉川尚輝を3番に起用するなど阿部監督のやり繰りが光りました。途中加入でチームに勢いづけたエリエ・ヘルナンデス選手のケガは痛かったものの、高卒2年目の浅野翔吾選手が成長を見せました。そして何より堅い守備で僅差の試合をモノにしてきたのが大きかったと思います。ケガ人で思うようなシーズンを過ごせなかったチームもありましたが、ジャイアンツは戦力面を含め地力のあるところを見せました。

 

PSでの大谷に期待

 パ・リーグ優勝のソフトバンクも小久保裕紀監督が1年目でペナントを奪還しました。小久保監督は2軍監督を経験しながら育成出身の選手をチェックしてきた。今季は8人が育成契約から支配下に登録し、若手の起用も目立ちました。昨季までセットアッパーだったリバン・モイネロ投手を先発にコンバートし、カーター・スチュワート・ジュニア投手が成長した。ジャイアンツ同様、先発投手のコマが揃ったことも大きいでしょう。

 

 打線は柳田悠岐選手や近藤健介選手ら主力が途中ケガをしましたが、周東右京選手をはじめとしたバランスのいい選手たちがその穴を埋めました。何より山川穂高選手の獲得によって、打線に軸ができたが大きかった。小久保監督は不調に陥っても4番から変えませんでした。多少波のある選手ですが、一発があるのが魅力です。それに4番は30本塁打以上打って打点を稼いでくれれば、打率2割5分でも十分です。あとは前を打つバッターが出塁率さえ高ければ、得点に繋がる可能性は高いですから。

 

 昔は3割が一流打者の証と言われ、4番打者にも率(打率&出塁率)を求められていたかもしれませんが、4番に対するイメージは変わってきているように感じます。王貞治さんや落合博満さんは打率も残せるスラッガーが4番に座っていて、その座はある種の“聖域”のようなところもありました。ただ考え方によっては4番目の打者と見ることもできる。私も広島カープで4番を務めたシーズンもありましたが、そのような考えで臨んでいました。今の選手は4番に対するこだわりが強くない気がします。古巣カープでも今季は4番にホームランバッターではなくアベレージヒッターや中距離打者を置いていますしね。


 一方、MLBでは大谷翔平選手がレギュラーシーズンを終え、打率3割1分、54本塁打、130打点、59盗塁というキャリアハイの成績を残しました。先月号で50-50への期待について触れましたが、あっという間に超えていきましたね。ホームランの飛距離を含め、ファンが求める高い期待に応えてくれる。唯一無二の存在です。今季の好調ぶりは、やはりDHとしてバッティングに集中できていることも大きいでしょう。バッターとしてのルーティンやピッチャーの研究に時間を割ける。初対戦のピッチャーに対しても第3打席目の成績がいいと聞きます。今は一発で仕留めにいくバッティングスタイルがハマッているという面もあるかもしれませんね。

 

 今季は大谷選手にとってMLBで初のポストシーズンが控えており、どのような活躍をしてくれるか楽しみです。当然、相手チームから徹底マークを受けるでしょうが、松井秀喜選手のようなポストシーズンでの勝負強さも見せてほしい。ワールドシリーズ制覇に向けて、これからも目が離せません。それでは来月は日米のポストシーズン、NPBドラフト会議について話せたらと思っています。

 

<このコーナーは毎月1日更新です>

 

西田真二(にしだ・しんじ)プロフィール>
1960年8月3日、和歌山県出身。小学3年で野球を始める。PL学園高、法政大学を経て、83年にドラフト1位で広島カープに入団。高校時代は78年夏にエース&4番として甲子園優勝に貢献した。大学時代は5度のベストナインに輝くなど、3度のリーグ優勝に導いた。プロ入り後は左投げ左打ちの外野手として、91年のセ・リーグ優勝に貢献するなどカープ一筋13年で現役を終えた。現役引退後は野球解説者を経て、カープ、四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)の愛媛、香川などで後進を育成。20年よりセガサミー野球部の監督を務める。

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