通算セーブのプロ野球記録を持つ元東京ヤクルトの高津臣吾が独立リーグ・BCリーグの新潟アルビレックスに入団することが決まった。
 高津はNPBで286セーブ、メジャーリーグで27セーブ、韓国で8セーブ、台湾で26セーブと日米韓台の4カ国でセーブをあげている国際派のピッチャー。今年から新潟の監督を務める元ヤクルトの橋上秀樹から「若い選手に投げる姿勢を見せて欲しい」と“手本”の役割を求められている。

 もっとも本人はただの“手本”で終わるつもりもないようだ。独立リーグで実績をあげ、NPBへの復帰を見据えているのではないか。

 元メジャーリーガーの日本独立リーグ入りと聞いて思い出すのは一昨年の伊良部秀輝である。日米通算106勝(104敗)27セーブの伊良部の四国・九州アイランドリーグ、高知ファイティングドッグス入りは衝撃的だった。
 伊良部は独立リーグで健在ぶりを証明し、NPB復帰を視野に入れていたが、やはり4年のブランクは大きかった。右手親指を痛め、わずか2試合に登板しただけで退団してしまった。
 翻って高津の場合、昨シーズンも台湾の興農ブルズでクローザーとして活躍しており、肩やヒジに不安はないようだ。
 元来が“打たせて取る”タイプのだけに、スピードの衰えが致命傷になることもないだろう。

 現役続行を望みながら所属球団の決まっていない選手は少なくない。
 たとえば工藤公康。昨シーズン限りで埼玉西武を解雇されたが、47歳の今も彼は第一線でのプレーを熱望している。
 野手では中村紀洋がそうだ。昨シーズン限りで東北楽天から戦力外通告を受け、立場は宙に浮いたままだ。
 NPBは7月末まで支配下選手登録が可能だ。独立リーグで圧倒的なパフォーマンスを披露すれば、獲得に興味を示す球団も現れるのではないか。その意味で高津の挑戦は意義深い。

<この原稿は2011年2月14日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

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