日立、強力打線と先発三本柱で日本一へ ~JD.LEAGUE~
女子ソフトボールリーグの『ニトリJD.LEAGUE2024』では16日から、リーグ女王の座を賭けたダイヤモンドシリーズ(DS)が始まる。東・西地区優勝チームとプレーオフを勝ち上がった計4チームによる覇権争いで、注目は東地区初優勝を果たした日立サンディーバだ。愛知・パロマ瑞穂野球場でプレーオフを勝ち上がってきたビックカメラ高崎ビークイーン(東地区2位)とセミファイナルで対戦する。
日立は今季、主力打者の坂本結愛と山口みどりが戸田中央メディックス埼玉に移籍。昨季の勝ち頭だった左腕のテイラー・マクイリンなどもチームを去り、大幅な戦力ダウンが予想された。だが本塁打数こそ昨季と比べて減ったものの、チーム打率(2割6分1厘→2割8分5厘)、総得点数(134点→146点)、総盗塁数(34個→42個)はアップした。
これまで日立と言えば、打のチームの印象が強かったが、今季は守りも安定した。坂本実桜、田内愛絵理、長谷川鈴夏の3本柱を中心にチーム防御率は2点台(2.30)から1点台(1.87)へ。22勝6敗1分けで地区優勝を果たした。ビックカメラ高崎の東地区連覇を止め、DS進出を決めた。
指揮を執って4季目を迎えた村山修次監督は「今年はやりたいソフトボールと、達成した目標に向かってひとつになれている。やることが明確になっている」と手応えを口にした。好調の投手陣については役割分担を明確にしたことが大きかったという。
「ここ数年は継投が多かったのですが、今年になってピッチャーには『完投をできるように準備してくれ』と話をしました。投手陣がそのための準備をしてくれたことが、そのままリーグに表れた。元々、彼女たちの持っている能力は高かった。今年は特にマウンドで自信を持って投げているように感じます」
エース格の坂本は東地区2位の防御率(1.53)と勝利数(9=2位タイ)を挙げる活躍を見せた。規定投球回数には足りなかったものの、田内は防御率1.71で7勝、長谷川は防御率2.20で6勝をマークした。坂本は「ピッチャー全員、仲が良い。自分がマウンドに立っていない時、自分が投げている時以上に、力が入る」と語った。
「明るく、楽しく、元気よく」
ここからはDSに向け、投打のキープレーヤーを紹介しよう。投はキャプテンの坂本だ。ライズボールを得意球とする高卒6年目の右腕。今季2度のノーヒットノーランを達成した。「自分的にあまり変えたつもりはありません」とは本人。あくまで自分らしさを貫いた結果だというのだ。続けて、こうも。
「自分が笑っていると、みんなも表情を明るくしてくれる。自分が先頭に立って、みんなを引っ張る気持ちで毎試合臨んでいます」
坂本のトレードマークは笑顔である。リーグ戦最終節の円陣では、チームメイトにこう声を掛けた。
「今日は誰よりも笑顔でいく気満々なんで。もし(試合中)、“やばいな”“うーん”と思ったら自分の方を見てください!」
マウンドを降りても笑顔を絶やさない。その理由について、彼女は「意識している部分もありますが、心から楽しいと思えるチームメイト、会社の人たち、応援してくださるファンがいる。基本的には心の底からソフトボールを楽しめているのだと思います」と述べた。
打では大卒3年目の藤森捺未を挙げたい。走攻守、三拍子揃った外野手はレギュラーシーズン全29試合に出場し、主にトップバッターとして4割7分6厘(東地区1位)、7本塁打(同4位)、20打点(同3位タイ)、13盗塁(同2位)とキャリアハイの成績を叩き出した。
これについて藤森は「去年まで試合にずっと出続けられる選手ではなかった。今年はたくさんの方が抜け、チームの中心としてやらなければいけなくなった」と主軸としての責任感を理由に挙げた。
キャプテンの坂本のみならず、このチームの特長は明るいことだ。藤森は「オンとオフははっきりしていますが、常にみんなが会話を広げ、言いたいことを言い合えている。どんな状況であっても笑顔でソフトボールをし、最後まで諦めずに戦えていると思います」と語った。
DS準決勝で対戦するビックカメラ高崎との今季対戦成績は1勝1敗1分けの五分だ。直近の試合(10月6日)では田内(7回)と坂本(2回)が上野由岐子と投げ合い、延長9回までもつれ、1対1で引き分けた。村上監督はDSでも「明るく、楽しく、元気よく」戦いたいと意気込んでいる。
(取材・文・写真/杉浦泰介)
BS11では「JDリーグ2024 ダイヤモンドシリーズ」の模様を、11月16日(土)、17日(日)の2夜連続で放送します。16日20時はセミファイナルの日立サンディーバvs.ビックカメラ高崎ビークイーン戦を、17日19時はその勝者と、トヨタレッドテリアーズvs.ホンダリヴェルタ戦の勝者が対戦するファイナルを放送予定です。是非ご視聴ください。
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