新生ビックカメラ高崎、“らしさ”発揮で王座奪還へ ~JD.LEAGUE~

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 11月16日からの2日間、愛知・パロマ瑞穂野球場で行われる女子ソフトボールリーグの『ニトリJD.LEAGUE2024ダイヤモンドシリーズ(DS)』。東地区2位のビックカメラ高崎ビークイーンは同優勝の日立サンディーバとセミファイナルで対戦する。勝てば、もうひとつのセミファイナル、トヨタレッドテリアーズvs.ホンダリヴェルタの勝者と17日、リーグ優勝をかけて激突する。

 

(写真:先発復帰後、PO含め4試合完投とタフネスぶりを発揮する上野)

 今季のビックカメラ高崎は、キャッチャーの我妻悠香、セカンドの市口侑果という東京オリンピック金メダル獲得に貢献した主力が引退(いずれもコーチとしてチームに在籍)した。キャッチャーは移籍3年目の24歳・炭谷遥香と高卒ルーキーの19歳・井出久美が担い、セカンドは高卒2年目の19歳・遠藤愛実が主に守った。

 

 キャプテンは現日本代表の藤本麗が、東京オリンピック金メダリストの内藤実穂から引き継いだ。新キャプテンの藤本はコミュニケーションを重視したという。
「今まではでき上っていたチームだったんですが、今年はチームを一新しました。今までと同じやり方ではうまくいかないということは頭に入れていました。若い選手が多くなってきているので、監督、コーチや先輩たちが求めるものを下の子たちが対応できるように会話していくことを心掛けてきました」

 

 一方、岩渕有美監督は今季のチームについて、こう話す。

「今年は各々の仕事を100%した上での繋がりを大事にしてきました。二遊間は遠藤と工藤(環奈)では経験に差があり、それぞれのプレースタイルも違う。遠藤には体を張ってガムシャラさをどこまで出せるか。若手たちには『きれいなプレーはいらないよ』と伝えてきました」

 苦戦が予想されたシーズンで、東地区連覇こそストップされたものの、勝ち星は前年並み(22勝7敗→21勝1分け7敗)、チーム防御率は向上(1.66→1.48)した。

 

(写真:今季東地区トップの11本塁打をマークした藤田。打率は同6位の3割4分)

「今年は1戦1戦が経験。どう成長していくかがテーマでした。プレーオフは久々にビックらしい強さをすごく感じた試合でした」とリーグ最年長42歳の上野由岐子が振り返ったのがプレーオフセカンドステージの戸田中央メディックス埼玉戦だ。投げては上野が7回4安打1失点完投。打っては工藤、内藤、藤田倭といった主軸がバットできっちり結果を出した。5回表に貴重な追加点となるソロホームランを放った藤田は今季東地区のホームラン王。「自分はチームをひとつにするというタイプではないので、結果で見せていけるようにと思っています」と語った。

 

「生ける伝説」の投球術

 プレーオフセカンドステージで戦った戸田中央のキャプテン糟谷舞乃は2013年から20年まで8年間ビックカメラ高崎に在籍した。一新された古巣について、こう印象を述べた。

「メンバーが変わってもチームの伝統、徹底していることは変わらない。周りから落ちていると見られがちですが、そこは大舞台を経験している選手、指導者がいるので、若い子が多いからといって変わらない。ビックカメラらしい戦いをしてくる印象です。最後の最後まで諦めない。何が何でも打つ、抑える、勝つ。1人1人の執念が強いんです。そこは揺るがない強さを持っていると思います」

 

 ビックカメラ高崎の王座奪還のカギを握るのは上野だろう。今季はリリーフでスタートしたが、チームの勝ち頭(8勝)の濱村ゆかりがケガをしたこともあり、第11節から先発に復帰した。ベテランの力は健在で終盤戦2試合(第12節・戸田中央戦、第13節・大垣ミナモ戦)で完封勝利を挙げた。規定投球回数には足りなかったものの、防御率0.53と抜群の安定感を誇った。

 

(写真:本人は「老いを感じる」と言うがフィールディングの巧さは健在)

「生ける伝説」とも称される鉄腕。先述したプレーオフの戸田中央戦、会場の等々力球場は人工芝の上にマットを敷いた特設マウンドだったが、百戦錬磨の上野は、慣れないマウンドにもきっちりアジャストしてみせた。最速117キロをマークするなど力強いストレートを投げ込んでいたが、本人によれば「スピードを出さないようにしていた。ランナーを背負うとどうしてもスピードが出てしまう。そこは“気を付けなきゃな”という気持ちで投げていました」という。

 

 スピードを出し過ぎない――。その真意とは?

「自分の体が壊れてしまうからです。マットは反発がいいのでスピードが出過ぎてしまう。自分で自分をコントロール。気持ちよく投げても抑えられるわけではありません。ちゃんと7回を投げられる配分を自分の中で一番気を付けたことです」

 

 DSセミファイナルの相手は、東地区3連覇を阻まれた日立サンディーバだ。ビックカメラ高崎の岩渕監督は「一戦必勝。負ければ終わりなので、日立戦に向けて、やり残しのないように注意していきたい。日立さんは経験もありますし、投手陣が揃っている。自分たちは全力でぶつかっていきたい」と意気込む。日立今季の対戦成績は1勝1敗1分けの五分。上野は「相手は1位で通過したというプライドがあると思うし、ウチも負けられないプライドがある。どちらがいい準備をできたかが、勝敗に繋がると思っています」と言って、先を見据えた。

 

(取材・文・写真/杉浦泰介)

 

 BS11では「JDリーグ2024 ダイヤモンドシリーズ」の模様を、11月16日(土)、17日(日)の2夜連続で放送します。16日20時はセミファイナルの日立サンディーバvs.ビックカメラ高崎ビークイーン戦を、17日19時はその勝者と、トヨタレッドテリアーズvs.ホンダリヴェルタ戦の勝者が対戦するファイナルを放送予定です。是非ご視聴ください。

※放送内容は中止、または変更になる可能性がございます。

 

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