大会史上2度目の関西勢対決は神戸が制す ~第104回サッカー天皇杯決勝~
第104回サッカー天皇杯決勝戦のガンバ大阪対ヴィッセル神戸の一戦が23日、東京・国立競技場で行なわれ、1対0で神戸が勝利し、5大会ぶり2度目の天皇杯王者に輝いた。試合は後半19分に神戸のFW宮代大聖がゴール前の混戦を右足で押し込み先制。神戸はこの1点を守り抜いた。
途中出場の佐々木が起点(国立)
ガンバ大阪 0-1 ヴィッセル神戸
【得点】
[ヴ] 宮代大聖(64分)
歴史ある天皇杯では史上2度目となった関西勢対決。聖地・国立競技場には5万6824人の観客が集まった。
G大阪のメインシステムは4-2-3-1。神戸は4-3-3。システム上、お互いのかみ合わせがよく、前半は武骨な1対1の場面が多かった。とくにG大阪にとっては、リーグ戦でも創造性溢れるプレーを見せ、上り調子だったFW宇佐美貴史の戦線離脱は痛手だっただろう。宇佐美は21日のトレーニングで右太もも肉離れのアクシデントに見舞われ、スタンド観戦を余儀なくされた。
前半の9分。G大阪が左サイドのローリリングからチャンスを演出した。左サイドハーフの倉田秋がスペースを空けるように中へと入ると、空いたスペースに左サイドバックの黒川圭介が走り込んだ。黒川がマイナスに戻し、MF山田康太がゴール前へクロスを送ると、これにMFダワンが頭で合わせるものの、神戸のGK前川黛也がセーブした。
神戸の吉田孝行監督が「前半はお互い硬いゲームだった」と語れば、G大阪のダニエル・ポヤトス監督も「前半は倉田を中に入れて、2対1の状況をつくれたが、後半はズレをつくれなかった」と唇を噛んだ。両者のコメントのように、以降は硬い試合展開となった。
後半14分、神戸の吉田監督が動いた。MF井手口陽介に代えて、MF佐々木大樹を投入し、システムを3-4-3に変更した。これがわずか5分後に奏功した。
19分、GKの前川のロングフィードをペナルティーアーク付近で佐々木が相手DFと競り合いつぶれたところを、FW大迫勇也が回収し、左サイドへ展開する。ペナルティーエリア左サイドでボールを受けたFW武藤嘉紀が中央へ折り返す。このボールは相手DFに阻まれるが、こぼれ球を宮代が右足で押し込み、神戸が先制した。
吉田監督が「試合の締め方も共有できていた」と語るように、1対1のフィジカルコンタクトで神戸の選手は競り勝ち、終盤にはセーフティーに時計の針を進めた。
虎の子の1点を守り抜き、神戸が5大会ぶり2度目となる天皇杯制覇を達成した。
(文/大木雄貴)