前橋育英、96回大会以来2度目のV! ~第103回全国高校サッカー選手権大会~
第103回全国高校サッカー選手権大会決勝戦、前橋育英高校(群馬)対流通経済大学付属柏高校(千葉)の一戦が13日、東京・国立競技場で行なわれた。試合は延長戦を終えても1対1と両者譲らずPK戦の末に、前橋育英が第96回大会以来2度目の優勝を果たした。
前橋育英・藤原、好セーブで貢献(国立)
前橋育英 1-1流通経済大柏
(PK戦 9-8)
【得点】
[流] 亀田歩夢(12分)
[前] 柴野快仁(31分)
聖地・国立競技場には5万8347人の観客が詰め掛けた。高校サッカーの最多動員記録を更新したメモリアルなゲームとなった。
均衡が破れたのは前半12分だった。流経大柏の14番、MF飯浜空風が敵陣中央で9番のFW山野春太とワンツーを成功させる。ボールはこぼれたが8番のMF亀田歩夢が拾い左サイドからペナルティーエリア内に切れ込み、右足を一閃。シュートはゴール左に吸い込まれ、流経柏が先制した。今季J2に参戦するカターレ富山に内定している亀田。幼少期からフットサルで鍛えたテクニックを披露し、相手守備網を切り裂いて見せた。
流経大柏は27分にも、右CKから好機を迎えたが、FW粕谷悠のヘディングシュートは惜しくもバーの上を通過した。
31分、今度は前橋育英が右サイドから活路を見出した。MF黒沢佑晟が右サイドゴールライン際に追い込まれた。しかし、切れ味鋭いクライフターンで、DFを置き去りにして、ペナルティーエリア中央へふわりとしたクロスを上げた。これを2年生ボランチ・柴野快仁が難なく頭で合わせて、スコアをタイに戻した。相手の一瞬の隙を突き、右サイドを突破した黒沢のフェイントには、5万8347人の観客は度肝を抜かれた。
後半に入ると、流経大柏は鮮やかなパスワークで前橋育英ゴールに迫った。山野がペナルティーエリア手前右サイドで浮き球を受けるとダイレクトで亀田に落とした。亀田のラストパスを受けた粕谷は相手GK藤原優希と1対1の場面に――。粕谷は右サイドを狙いすましたものの、これは藤原のファインセーブに阻まれた。ゲームを大きく分けたプレーといっても過言ではなかった。
このあとは両者譲らず、延長戦でも決着はつかなかった。
PK戦の先攻は流経柏、後攻が前橋育英。両チームとも7人目までキッカーがきっちり決めて、迎えた8人目。先攻・流経柏のキッカー、DF幸田爽良の右サイドを狙ったキックを前橋育英のGK藤原が見事セーブした。MF白井誠也が決めれば、前橋育英の勝利だったが、白井はキックをふかしてしまった。
雌雄が決したのは10人目だった。流経柏のFW安藤晃希の左サイドを狙ったキックはコースが甘く、またしても前橋育英の藤原に阻まれた。快野の右隅を狙ったシュートはGKの逆を突きゴールネットを揺らした。この瞬間、前橋育英の96回大会以来2度目の優勝が決めった。
試合を振り返ってみると、前橋育英は後半10分にGKの藤原がファインセーブを見せたのが大きかった。これで藤原が波に乗り、PK戦でも見事な読みを披露したと言ってもいい。
PK戦までもつれた高校生たちの戦いは、白熱したゲームとなった。
(文/大木雄貴)