首位DREAMS、5連勝! Legit&ALT-RHYTHMは3連勝 ~D.LEAGUE~
23日、日本発プロダンスリーグの「第一生命 D.LEAGUE 24-25 REGULAR SEASON ROUND.7」が東京ガーデンシアターで行われた。首位のKADOKAWA DREAMS(カドカワ ドリームズ)は14位のFULLCAST RAISERZ(フルキャスト レイザーズ)を5対1で破り、5連勝。3位のCyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)は9位のDYM MESSENGERS(ディーワイエム メッセンジャーズ)を4対2、8位のLIFULL ALT-RHYTHM(ライフルアル トリズム)はList::X(リスト エクス)をSWEEP(6対0)で下した。いずれも3連勝でLegitが2位、ALT-RHYTHMが5位に浮上した。12位のSEGA SAMMY LUX(セガサミー ルクス)は13位のBenefit one MONOLIZ(ベネフィット・ワン モノリス)に5対1で今季2勝目を挙げた。MVD(Most Valuable Dancer)はLUXのTAKIが選ばれた。
2位のValuence INFINITIES(バリュエンス インフィニティーズ)は4位のSEPTENI RAPTURES(セプテーニラプチャーズ)と、5位のdip BATTLES(ディップ バトルズ)は11位のMedical Concierge I'moon(メディカル・コンシェルジュ アイムーン)と、6位のKOSÉ 8ROCKS(コーセーエイトロックス)は10位のavex ROYALBRATS(エイベックス ロイヤルブラッツ)と引き分けた。
シーズンの折り返し地点となるROUND.7。リーグ2連覇中のDREAMS、レギュラーシーズン2連覇中のLegitに加え、ALT-RHYTHMが連勝を繋いだ。
DREAMSは今季白星に恵まれないRAISERZと対戦した。エースパフォーマンス今季3度目となるKELO。過去2戦はMVDを獲得している。またSPダンサーには2連覇を支えたMINAMIを起用。今季はレギュラーダンサーから外れ、ディレクションなどでチームを支えたMINAMIがプレーヤーとして戻ってきた。2人の存在感は抜群だった。作品テーマは「MODERN」。楽曲はHINATA.MのラップでヒップホップをベースにKELOと颯希がアニメーションでアクセント加える。時にコミカルな動きも散りばめ、いつもより明るい成分を含んだショーで魅せた。
後攻のRAISERZはクランプとクラシックに由来した造語「KRASSIC」をテーマに力強いクランプを披露した。初期メンバーのBaby Twiggz"SHUN"、Soulja Twiggz"SHOOT"をSP起用。チームの課題となっているシンクロパフォーマンスではキャップを使うオリジナリティを見せたが、ジャッジはDREAMSを支持した。
勝利したDREAMSのDaichiは「ヒップホップ×KELOさんと颯希くんのアニメーションをミックスしたニュースタイル。オーディエンス票は取れなかったですけど、他の項目を取れたことは素直にうれしいです。フルキャストさんがめちゃめちゃいいパフォーマンスだったので、いい試合ができて良かったです」と喜び、今回の勝因をこう語った。
「ヒップホップのマインドを込めつつ、テーマであるMODERNの通り、新しいモノを追求した。コメディーにも挑戦したのがポイントだったと思います」
楽曲のラップも担当したHINATA.Mは歌詞に込めた思いを説明。「今回の(楽曲の)歌詞に『二度あることは三度ある』とありますが、オレたちは絶対3連覇を成し遂げします。これからも応援をよろしくお願いします」と力強く宣言した。
首位DREAMSを追いかけるLegitはMESSENGERSと対戦した。作品テーマは「Electro Hop」。リーダーのTAKUMIによれば「ポップ(ポッピン)とヒップホップを融合させた作品」だ。
「スキルを織り交ぜながら僕らにしかできない演出、表現方法を追求しました」
そうTAKUMIが振り返ったように、電流が流れる音に合わせて8体のダンスマシーンが起動。Legitらしいエレクトロの音楽に乗り、一糸乱れぬフォーメーション、シンクロパフォーマンスを披露してみせた。ピンスポットライトに照らされたATOがステージ中央へと移動。ここでエースパフォーマンスかと思わせたが、一旦暗闇の中へ移る。そこからメンバーをかき分けながら、センターポジションに舞い戻る。ATOは止め、決めを駆使して自身の高いダンススキルを披露した。
後攻のMESSENGERSは「PLANET JAZZ」を作品テーマに8人が惑星のように舞った。ジャッジの結果は4対2でLegit。「オーディエンス」「エースパフォーマンス」こそ取られたが、「テクニック」「ステージング」「コレオグラフィー」「シンクロパフォーマンス」を取った。「DYMさんはここまでずっとテクニック項目を取り続けていた。そこで僕たちがテクニックを取り、勝ちに繋げられたことは大きいと思います」とTAKUMI。ハイレベルなダンステクニックで会場を常に沸かせるMESSENGERSから「テクニック」項目を奪えたことは、この先の自信にも繋がるはずだ。
ALT-RHYTHMは3連勝し、今季初めて白星が先行した。ROUND.5の豪華メンバーによるスペシャルな作品、ROUND.6はダンサーを宇宙人にさせる奇天烈なショー。この日の“アルトリ劇場”は「Dear」という愛の物語だった。SPディレクターに22−23シーズンを共に戦った井田亜彩実を起用し、「ハッピーでピースフル」(CHIHIRO)な作品を届けた。Karimとcalinを軸にしたラブストーリーは他の6人が盛り上げ、時には囃し立て、サポートした。高いダンススキルを散りばめながら物語は終盤へ。ハート型の風船を割ろうとして割れなかったシーンがあった。
CHIHIROは割ることを諦め、ハート型の風船を後方に送った。ゆっくりと上昇した風船は後方のリーグロゴマークのあたりでふわふわと停滞した。これがステージングの評価を左右したかは分からない。だが、ハートが割れないこと、ラストの老夫婦となったKarimとcalinがベンチに座り、肩を寄せ合うシーンで後方にあるハート型の風船が舞っていることはノイズになるというよりは絶妙なアクセントとなったように映った。
ALT-RHYTHMはXにSWEEP勝ち。勝因をリーダーのCHIHIROは「信頼関係だと思っています」と言い、こう続けた。
「今回はSPディレクターに井田亜彩実さんを呼びました。2年前のチャンピオンシップに進んだ時のメンバー。その時は初戦で惜しくも敗れてしまい、2戦目から出る予定だった亜彩実さんにバトンを繋げなかった。今回は亜彩実さんへのメンバーの想いもあり、いつもはハッピーな作品をやることが多いのですが、その中でもピースフルな作品を届けました。2連勝してチームの意識も高まり、信頼が上がっていたからこその勝利になったんじゃないかと思っています」
このラウンドのMVDは連勝チームからではなく、ROUND.2以来の白星となったLUXのリーダーTAKIが選ばれた。LUXのテーマは「SPEEDSTER」。入場シーンではTAKIが1人だけ枕を持ちパジャマ姿で登場。眠そうな表情でステージに到着すると、踊る7人を尻目に1人横になった。一度は袖に下がったが、ショーが始まってもTAKIは現れない。
「入場から演出をつくり込んだ。D.LEAGUEに似合う作品になった。あれが効いて、1分以上出てこなかった。演出を考えてくれたメンバーに感謝したい」
ステージに“遅れて”登場したTAKIは土下座して謝る。そのムーブをダンスに昇華してみせたのだ。TAKIが合流してからは8人での高速フットワークで観客を魅了。MONOLIZ相手に「テクニック」項目以外の「オーディエンス」「エースパフォーマンス」「ステージング」「コレオグラフィー」「シンクロパフォーマンス」を取って勝利した。ROUND.2以来の勝ち星。エースパフォーマンスで貢献したTAKIは「ここから全試合勝って、CS進出絶対にします。皆さん見ててください!」と宣言した。
LUXはここまで全ラウンドで「オーディエンス」項目を獲得してきた。同項目は、D.LEAGUEオフィシャルアプリ会員からの得票数で獲得チームが決まる。ざっくり言えば人気投票であり、LUXが人気チームである証左だ。TAKIはLUMEN(LUXファンの呼称)の存在について「本当にいつも支えられています」と胸の内を明かす。
「毎回オーディエンスを取らせていただいて、本当に感謝の気持ちしかない。負けが続いてしまって、自分たちの結果で返せないということが悔しかった。メンバーとも何度も話し合った。自分たちは勝ちでしか、返せないと思うので、チームで反省点などたくさん話しました。今回のステージングは、新しいエッセンスを入れつつ、LUXの強みを生かすことを大切にして挑んだ。結果として、まずひとつ返せた。これからも継続的に恩返しをしていかないといけないと思っています」
後半戦は2週間後、2月6日からスタートする。首位DREAMSのDaichiが「前半戦いい波に乗っている。途切れさせず、皆さんが予想できないことをもっとしたい。今回はオーディエンスを取れなかったので、次は取れるよう頑張りたいです」と意気込むと、2位LegitのTAKUMIは「首位の1ポイント差の2位に付けている。後半戦はぶち抜いて首位を狙いたいと思います」と続いた。
3連勝中のALT-RHYTHMのCHIHIROは「最下位の時もありましたが、今日のSWEEPを経て2つ順位を上げて、やっとCS圏内に入ることができた。このまま勝ちを目標に作品をつくることはもちろん、私たちが大切にしている、見ている方々にいい作品を届けて、笑顔になってもらうというテーマも忘れず続けていきたい」と話した。12位LUXのTAKIは「前半戦悔しい思いをして、しゃがんでいる状態だった。今日のラウンドをきっかけにちょっと宙に浮いた。勢いに乗れると思うので、ここから大ジャンプできるように、CSに繋げたいと思います」と誓った。
(文・写真/杉浦泰介)