S広島Rの近賀が語る“清らかで熱いWEリーグ” ~2024-25 ALL WE ACTION DAY~

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 WEリーグは1日、都内にあるJFAサッカー文化創造拠点「blue-ing!」で「女子サッカーにおける、“する”“見る”“関わる”機会を増やし、多様性の枠を広げる」をテーマとした「2024-25 ALL WE ACTION DAY」を開催した。

「WE ACTION DAY」とは、WEリーグの理念である「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する」ため、各クラブがアクションを起こす日である。

 

「ALL WE――」は、リーグの12クラブの代表選手が集まり、それぞれどのように「女子サッカーにおける“する”“みる”“かかわる”」機会を設け、実行に移したかを発表する場だ。

 

 サンフレッチェ広島レジーナ(S広島R)からは、2011年女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会の優勝メンバーである近賀ゆかりが出席した。

 

 S広島Rは、昨年12月24日に、ひとり親家庭の親子をエディオンピースウイング広島に招待し、クリスマスのリースやオーナメントづくりのイベントを開催し、イベント後には選手数名と親子が一緒に試合を観戦する機会を設けた。

 

 近賀は「私はこのイベントに参加できなかったのですが……」と恐縮しつつ、こう続けた。

「話を聞いた中では、忙しい日々の中、サッカーを見る時間がない。ましてや、スタジアム観戦に来ることもなかなかできない。そんな中で、イベントを通じて子どもたちと一緒にサッカーを観る機会を創れたのは、まさにスポーツの力の素晴らしさを実感しました。子どもたちが“女子サッカーっていいな”“スポーツっていいな”と思ってくれたイベントだったようです」

 

 近賀は、2014年にイングランドのアーセナルでプレーした経験豊富な選手だ。その時のエピソードを披露した。

 

「アーセナル在籍時、選手たちはクリスマスになると小児病棟に出向き、みんなでアーセナルのジャージを着て子どもたちと触れ合いました。子どもたちはニコニコしながらクラブのグッズを手に取ってくれた。笑顔を見てすごく意味のある活動だなと思ったと同時に、ご両親が喜んでいるのも見られて、こういうところにスポーツの力を感じた」

 

 帰国後、昨年に左膝の前十字靭帯を損傷し、入院を余儀なくされた。「ちょうどハロウィーンの時期だったので、お菓子を貰いに来る子どもに病院とクラブの協力を得て、サンフレッチェのグッズをプレゼントした」という。

 

 WEリーガーたちは、ピッチ内でも子どもたちのよき手本となっている。誰かが負傷し、ピッチにうずくまると敵味方関係なく選手数名が集まり、負傷者を心配そうに気遣うのだ。接触した選手は、心底丁寧に謝罪しているのが明らかにわかる。「こういった振る舞いは、意識的なのか、当たり前にやっているのか?」と問うと、近賀はこう語った。

 

「当たり前にやっていると思います。勝負のかかった試合ではいろんなシーンがありますが、勝敗は置いておいて、今起きていること(負傷者いるなど)に対して、自然と心配したり、謝ったりと、行動に出ていると思います。これは日本の女子サッカーの良い面だと思っています」

 

 WEリーグは教育課程にある子どもにも、堂々と観戦を勧められる。近賀は「そう言ってもらえるとすごく嬉しい。WEリーグを通じて、人が育っていかないといけない。人間力が育つリーグだ、と言ってもらえるようになったらいいなと思います」

 

 WEリーグでは、清らかさを保った中でも熱い戦いが繰り広げられている。この姿勢を見せることこそが、何よりの社会貢献と言っていいのではないか。

 

(文・写真/大木雄貴)

 

◆お知らせ◆

 

 近賀ゆかりが所属するサンフレッチェ広島レジーナは、エディオンピースウイング広島で行なわれる後期のホーム開幕戦の3/8(土)で『自由すぎる女王の大祭典 ~今こそ集まれ!1万人の仲間たちよ!~』と銘打ち、イベントを行う。大祭典限定イベントの第一弾として、選手がデザインを考案した「レジーナ大祭典ハッピ」を先着1万名にプレゼントするという。詳しくはこちらから。

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