第300回 那須川天心は前世界王者モロニーに勝てるのか?『2・24有明アリーナ』

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 今年最初の『Prime Video Boxing』が間近に迫っている。

 2月24日、東京・有明アリーナで開催される同イベント第11弾。主要対戦カードは次の通りだ。

 

▶WBC世界バンタム級タイトルマッチ

中谷潤人(王者/M.T、27歳)vs.ダビド・クエジャル(6位/メキシコ、23歳)

▶WBA世界バンタム級タイトルマッチ

堤聖也(王者/角海老宝石、29歳)vs.比嘉大吾(4位/志成、29歳)

▶バンタム級10回戦

那須川天心(WBO AP同級王者/帝拳、26歳)vs.ジェイソン・モロニー(前WBO世界同級王者/オーストラリア、34歳)

 

(写真:2月12日、公開練習直前の那須川天心。2・24有明アリーナ決戦の模様は「Prime Video」で独占生配信される)

 バンタム級の好カードが揃った。

 2つの世界戦の勝者は、次戦で王座統一戦を行う可能性もあり見逃せない一戦。そして注目の那須川はデビュー6戦目で前世界王者に挑む。

 そんな彼は決戦12日前の2月12日、帝拳ジム(東京新宿区)で公開練習を行った。メデイアに公開したのはシャドーボクシング、3ラウンドのスパーリング、ミット打ち。スパーリングではヘッドギア着用ながら激しく打ち合い、仕上がりの良さが感じられた。

 

 練習を公開する前に、那須川は次のように話していた。

「ここまでは順調、体調は抜群(に良い)。相手がどうこうではなく、自分のできないところをできるようにするトレーニングをやってきた。どういう状況になっても大丈夫。(モロニーが)攻めてきても大丈夫だし、攻めてこなかったら自分から攻める。何が起きても大丈夫だと思える練習をやってきた」

 

「(モロニーは)僕よりも何倍もボクシングの経験値がある。フェイント、駆け引きなど得意なところはたくさんあると思う。でも僕だからこそできるフェイントもある。ボクシングではあまり見ない動きができるのが那須川天心なので。そこを存分にお客さんに見せたい」

 

「中間距離の闘いになると思う。そこを制した方が自分の距離を取れる。遠距離、近距離の2択で見ている人が多いと思うが、その間(の中間距離)が一番大事。そこで、どう崩していくか。相当、頭を使う試合になる。僕のIQは高いですから、負ける気はしない」

 

注目は那須川天心の闘い方

 

 自信をうかがわせる発言をした那須川だが、それはここまでの調整が順調である証だろう。そして、覚悟ある言葉も口にした。

「この試合は大勝負。この試合の結果で、すべてを失うこともあるし、すべてを持っていくこともできる」

 

(写真:帝拳ジムでの公開練習には多くのメディアが集まった。浜田剛史代表、粟生隆寛トレーナー同席の下、記者からの質問に答える那須川天心)

 そう、モロニーに勝てば世界挑戦はグッと近づくが、もし負けるようなことになれば一からのやり直しになるのだ。前戦以上に緊張感が漂う。「自信がある」発言で自らを奮い立たせているようにも感じられた。

 

 果たして那須川は前チャンピオンに勝てるのか?

 持ち前のスピードを利してポイントアウトに徹すれば、那須川が判定で勝つ可能性が高いように思う。テクニックのあるモロニーだが、那須川と比してスピードでは劣る。

 だが、那須川は判定ではなくKOを狙うだろう。同じキックボクシング出身の武居由樹(大橋)はモロニーに判定で勝ちWBO世界バンタム級王座を獲得した。

 この一戦で、武居と比較されることを那須川は強く意識しているからだ。

 

 そうなると互角の展開になるのではないか。

 モロニーの長所は12ラウンドを通して同じ動きができること。さらに後半にギアを上げることもできる。スタミナ十分なのだ。接近戦が多くなるようだとモロニーが技術力で展開を支配する可能性も十分にある。

 私の予想は「那須川の判定勝ち」だが果たして――。

 

 

 

<直近の注目格闘技イベント>

▶2月23日(日)、東京・後楽園ホール/「RISE186」数島大陸vs.松本天志ほか

▶2月24日(月・祝)、東京・後楽園ホール/「Krush.171」ライト級GPトーナメント1回戦ほか

▶2月26日(水)、開場非公開/「Breakthrough Combat 03」神龍誠vs.エリック・メネギンほか。

 

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)プロフィール>

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)

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