日本代表、史上最速でW杯出場決定 ~26年北中米W杯アジア最終予選~
サッカー26年北中米W杯アジア最終予選第7戦の日本代表対バーレーン代表戦が20日、埼玉スタジアムで行なわれ、日本がバーレーンに2対0で勝利した。この結果、日本がC組の2位以内を確定させたため、8大会連続8度目となるW杯出場を決めた。最終予選3試合を残してのW杯出場決定は日本代表史上最速。
前半に課題も、後半挽回(埼玉)
日本代表 2-0 バーレーン代表
【得点】
[日] 鎌田大地(66分)、久保建英(87分)
前半はバーレーンの策にはまり0対0だった日本。その原因は後述する。まずはW杯行きを決めた日本のめでたい2ゴールを振り返ろう。
森保一監督は後半18分に動いた。MF南野拓実(モナコ)に代えてMF鎌田大地(クリスタルパレス)を、MF堂安律(フライブルク)に代えてMF伊東純也(ランス)を投入した。
この交代が3分後に奏功した。FW上田綺世(フェイエノールト)が最前線から中盤に落ちてボールを収めた。この間、上田が空けたスペースをMF久保建英(レアルソシエダ)と鎌田が狙っていた。上田は久保にパスを送ると、レフティーはワントラップ後、DFラインの裏を突いた鎌田へラストパス。鎌田はGKの動きを冷静に見極めてゴール左に流し込んだ。
試合を決定づけたのは所属クラブでも好調を維持している久保だった。42分、久保は左CKをショートでスタート。伊東とのワンツーで再びボールを受け、ペナルティーエリア左に侵入した。左利きの久保にとっては角度がないように思えたが、クロスを送るかのように中の状況を確認しつつ、GKのニアサイドを射抜くノールック気味なシュートでゴールネットを揺らした。この後、日本は危なげなく時計の針を進め、8大会連続8度目となるW杯出場を決めた。
後半は良い時間帯に点が取れた。その一方で、0得点に終わった前半の方が興味深かった。それもバーレーンのおかげで、である。前半は相手の術中にはまった感が強い。
バーレーンの基本システムは4-4-2。ここから可変して守備時には左サイドハーフがDFラインに入り5バックを形成した。そしてボール保持時には4-2-4と前線に4枚を並べた。
この4トップに日本は手を焼いた。日本の強みは三笘と堂安の攻撃的両ウイングバックだ。しかし、バーレーンは自陣の低い位置であろうがボールを持つと、両サイドハーフが高い位置を取り、4トップを形成した。これにより、三笘と堂安が日本のDFラインに吸収された。日本の強みである彼らが必然的に低い位置を取らざるを得なくなったのだ。
この現象を三笘はどう捉えていたのか。私は「特に前半、あなたと堂安を低い位置に“ピンどめ”するため、相手は前線に4枚を当ててきた。チーム間ではどういう話し合いが?」と水を向けた。
すると三笘は「相手がマンツーマン気味にくれば、後ろのところでボランチの選手が数的優位を作る状況にするのが良いとチームで話していたところはあります」と答え、続けて自身の見解も述べた。
「それでもやっぱり、相手の圧でポジショニングを取る時間がなかった。もっとスムーズに空いているスペースを使って動かないとなぁ、というところはありました。僕が下がるよりも、ボランチの選手が下がった方が良かったかな、と思います」
前半、日本はロングボールとカウンターが多かった。カウンターならば、スピードを生かした単独突破ができる三笘を、高い位置に残す術を検討しても良いのではないか。
アジアレベルなら後半に相手の体力が落ちプレスの強度も低下するが、レベルが上がればこうはいかない。そもそも相手のレベルが上がれば、日本の両ウイングバックが押し込まれることは十分、考えられる。
その解決策を近々に披露する必要はない。だが、本番までに策を練る必要はある。本番も3バックで臨むのであれば、三笘を高い位置に残すシステムを構築すべきだろう。はたまた本番でいきなり4バックに回帰し、情報戦で相手を揺さぶるか――。
バーレーンが早い段階で課題を突き付けてくれた。森保監督は、水面下で動いているに違いない。
(文/大木雄貴)