20歳のDF高井、攻守で存在感を示す活躍 ~26年北中米W杯アジア最終予選~

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 サッカー26年北中米W杯アジア最終予選8戦の日本代表対サウジアラビア代表戦が25日、埼玉スタジアムで行なわれ、スコアレスドローに終わった。既に北中米W杯本戦出場を決めた日本は、バーレーン代表戦から6人、スタメンを入れ替えて臨んだ。中でも3バックの右を務めた20歳のDF高井幸大(川崎フロンターレ)は存在をアピールした。

 

 敵将は「0対0で満足」と守備的采配(埼玉)

日本代表 0-0 サウジアラビア代表

 サウジアラビアの指揮を執るエルベ・ルナール監督は、試合後にこう語った。

「美しい試合ではなく申し訳ないが、我々としては良い結果だった。日本は力がある。0対0は満足です」

 

 サウジアラビアは5-4-1(右サイドハーフが攻め残るときは変則気味な5-3-2)の布陣で臨んだ。守備的布陣ながら前半は最終ラインを高めるなど、攻める意思を見せていた。しかし後半になると、カウンターのチャンスでない限り、11人が自陣に張り付きゴールにカギをかけた。

 

 相手守備網を切り崩すのが難しい中、A代表初スタメンとなった高井のプレーが光った。

 

 まずは前半9分。ピッチ内の全員が相手陣地に入ったとき。高井は中央やや右でボールを受けると、360度敵に囲まれながらも一瞬フリーになったMF田中碧(リーズ)に縦パスを供給した。田中は左足でトラップして素早く前を向くとDFラインの裏へ柔らかなスルーパスを送った。これに追いついたFW前田大然(セルティック)がダイレクトで右足を振り抜いたものの、シュートは右ポストを叩いた。

 

 田中に供給したパスについて高井は「良いタッチでした。良いタイミグで縦パスが“刺せました”」と試合後に語った。ショートパス主体のサッカーを志向した川崎仕込みの“刺す”ような縦パスでビッグチャンスを演出した。

 

 ディフェンス面でも高井の落ち着きが日本を救った。後半40分、日本は途中出場組のMF伊東純也(ランス)とMF堂安律(フライブルク)がワンツーで右サイドを突破した。伊東がクロスを上げるものの、DFにクリアーされた。このセカンドボールをサウジアラビアが拾おうものなら一気にピンチを招いただろう。しかし、相手アタッカーの鼻先で高井がカット。インターセプトだけでなくこれをダイレクトでDF板倉滉(ボルシアMG)につなぎ、MF南野拓実(モナコ)のヘディングシュートの起点となった。高井がカットし、味方につないだ時、森保一監督は拍手を送っていた。

 

 試合終了直前、日本はまたしてもクロスからチャンスを作るが相手DFにクリアーされた。これを中盤でつながれそうになったが、右サイドのタッチライン際で高井が間一髪のパスカット。高井の裏には相手DFが快速を飛ばしてスペースを狙っていた。ぎりぎりのところでタッチラインに逃れ、カウンターを阻止。このプレーも森保監督は拍手でねぎらった。

 

 一連の守備について高井は「(ズルズルと)下がらずに守備ができて良かった」と淡々と振り返った。

 

 高井は192センチと高身長を生かした空中戦、足元の技術を大切にするクラブの下部組織で育った持ち前のパスセンスが武器だ。

 

 DF冨安健洋(アーセナル)は怪我が多く、DF谷口彰悟(シントトロイデン)はアキレス腱断裂のため長期離脱中だ。谷口離脱以降、なかなか人材が決まらなかった中、高井がアピールに成功したといえよう。

 

(文/大木雄貴)

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