クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、「回帰」のシーズンで王座奪還へ ~リーグワン~

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「NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25」ディビジョン1は第11節を消化した。1位から順に埼玉パナソニックワイルナイツ、東芝ブレイブルーパス東京、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ。優勝経験のあるチームがトップ3に付けている。

 

 8勝2敗1分けで勝ち点38。首位のワイルドナイツとは7差、2位のブレイブルーパスとは4差である。CTB立川理道は、ここまでの歩みを振り返る。
「大きな波なく戦えている。昨季は惜しい試合を逃し、今季は勝ち切れている。パナソニック、東芝には惜しくも敗れましたが、その中でも日々成長を感じている。そこは優勝したシーズンと似ている気がします」
 2つの黒星はそれぞれワイルナイツ、ブレイブルーパスに付けられたものだ。第2節のワイルドナイツ戦は24-26、第10節のブレイブルーパス戦も27-31。いずれも次節は勝利し、連敗は免れている。

 

 守備面での安定感が戻ってきた。1試合平均22.3失点はリーグ最少。優勝した22-23シーズン(21.25点)に近い数字だ。
「今季はディフェンスのシステムが変わりました。トライ&エラーをしながら対応できている。チームの良さとも融合できていると思います」
 立川によれば「前に出るディフェンスから包み込むようなディフェンスに変わった」という。前者は高いラインを保ち、相手にプレッシャーを掛けられるが、裏を狙われるリスクも併せ持つ。後者はボールと相手を見ながら調整し、数的優位をつくっていく。こちらも連係を外されれば、ピンチを招く可能性があり、どちらも一長一短はあるものの、今のところうまくハマッていると言っていいだろう。

 

 守備の安定感をもたらした新システム変更は、この人の働きが大きい。ニュージーランド代表DFコーチの経験を持つスコット・マクラウドACである。立川のマクラウドACへの印象はこうだ。
「自分の答えを持っていて、こちらの疑問に答えてくれる。厳しいことを言ってくれますし、チームのバランスも取ってくれている。細かいところまで詰めなければいけないものか、自分たちでアジャストできるものかどうかは、きっちり見てくれている。自分の答えを持っているので、どうすべきかが明快。こちらはやりやすいですね」


 22日の第12節、東京・スピアーズえどりくフィールドで6位の横浜キヤノンイーグルスと対戦する。この試合はスピアーズ創部(同好会時代)当時のジャージーをイメージしてデザインされたサードジャージーを着用する。白と黒のボーダー柄はバーバリアンズのジャージーを模したものだという。1984年入社で、このジャージーを着用したこともある荻窪宏樹アドバイザーは笑顔を見せる。

「私の1年目の時のデザインで、香港遠征にも行った思い出のジャージーです。スピアーズの元ラグビー部長で当時は同好会のメンバーだった松木(弘志)さんがバーバリアンズが好きで、このデザインになったそうです。今季はスピアーズが“原点回帰”を掲げているので、このデザインをサードジャージーに採用しました。週末の試合にはOBもなるべく来させるようにしますよ」

 

 立川もチームの“原点回帰”への試みを歓迎している。
「スピアーズの歴史をOBの人たちがつくり上げてきた。そのリスペクトを込め、運営が取り組んでくれたことに感謝しています。OBの方が来てくれるので選手たちとの交流もあると思います。それはひとつの文化をつくっていく上で重要なこと。スーパーラグビーなどでも、こういう(復刻)ジャージーを着て試合を行うケースもあります。クボタからリーグワンの他のチームにも広がったらいいなと思います」

 

 プレーオフの枠は今季から6に増えたとはいえ、レギュラーシーズン3位以下なら最大3試合、上位2チームは準決勝から出場する。2季ぶりの王座奪還へ、まずは少しでも上の順位でフィニッシュしたいところだろう。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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