スピアーズ、アーリーエントリー選手会見 決め手は「高いレベルとファミリー感」 ~リーグワン~
「JAPAN RUGBY LEAGUEONE」(リーグワン)のクボタスピアーズ船橋・東京ベイに2025年度入団選手が発表された。20日にはアーリーエントリーで今季(24-25シーズン)から出場可能な3選手の記者会見がスピアーズのクラブハウス(千葉県船橋市)で行われた。
オレンジのファーストジャージーに身を包んだフレッシュな3選手が、フラン・ルディケHCと前川泰慶GMに挟まれ、会見に臨んだ。慶應義塾大学のLO浅井勇暉、天理大学のFL上ノ坊悠馬、東海大学のCTB近藤翔耶の3人がアーリーエントリーでチームに加わった。会見の冒頭、前川GMが挨拶した。
「いろいろな選択肢がある中、クボタスピアーズを選んでくれた。この3人と新しいスタッフの原(大雅)さんに感謝しています。これからの将来を一緒に築いていけることをすごく楽しみにしています。本当にこれから長くクボタスピアーズを支えてくれる人材に来てもらえた。皆さんも引き続き彼らのことを注目してもらえたらと思います」
3選手に対するルディケHCの評価は以下のようなものだ。
「浅井選手は足が速く、機動力がある。ジャンプスピードもあると思いました。大事なのは、LOとしてセットペースを重視しているところ。上ノ坊選手はブレイクダウンでの働きぶりを、チームのセッションでも見せてくれている。現状、フランカーはローテーションで回していて、練習時間がそんなに多くはない。それでも彼はワークレートの高さを示しているし、ずっと動き続け、常にチャンスを窺っています。近藤選手は、(入団前)練習に参加した時、リカス(・プレトリアス)選手を抜いたことを覚えています。リーグワンに出ている選手に対し、それだけできたことで、自信も付いたと思う。彼はラン、パス、キックもいい。あとはスペースを見つけるビジョンが優れている」
前川GMに3人を採用した理由を聞くと「少し長くなってしまうかもしれませんが」と前置きし、3選手を紹介した。
「浅井選手に関しては1年生の時、慶應大学の監督(当時)の栗原徹さん(現・浦安D-Rocksコーチングコーディネーター)に挨拶しに行ったら『すごく骨太な選手』と言われていて、『ぜひ注目して』話を受けていた。それでもAチームでプレーする機会がなかなかなかった。私が練習に行っても、Aチームにはいなかった。それでも4年生の時にチャンスを掴み、そこからずっとレギュラー。彼はLOとしてのタフさ、可能性を持っている。セットプレーの中心になってくれたらいい。
上ノ坊選手も4年生になるまではAチームにずっと続けるというよりは、行ったり来たりを繰り返していた。彼がすごいなと思うのは、Aだろうが下のチームだろうが、同じようなクオリティーでプレーできる選手。そこが一番の魅力。競争が激しく、なかなかチャンスが回ってこないポジションかもしれないけど、そのチャンスが回ってきた時に必ずそれを掴み、自分の実力を発揮して、チームを勝利に導く選手になれるんじゃないかな、と。
近藤選手に関しては彼が4年生の時に声を掛けさせてもらった。キャプテンになってから練習を見に行かしてもらったのですが、本当にコーチかと思うほど、ハドルの中の声掛け、練習中の声掛けが良かった。そういう視点を持った選手が、チームに多ければ多いほどいい。苦しい時とかしんどい時に、チームをいい方向に向かせてくれる選手だと思うので、これからチームを安定して勝たしてくれるような選手になってほしい」
3人のスピアーズ入団の決め手は、「高いレベルでプレーしたい」というプレーヤーとしての欲と、チームの空気感を理由に挙げる。
「自分は就職活動を進めていた中、ラグビーを続けるか、(辞めて)就職するかで、すごく悩んでいました。去年、クボタスピアーズに練習参加をさせていただいた時、皆さんが自分に対し、すごい優しく、家族のように指導してくださった。“自分がこの環境でもっとラグビー続けたら、上手くなれる。この先、ラグビーを通して、もっと自分を成長させていきたい”と思ったのと、クボタという会社にも魅力を感じました。(GMの)前川さんに何度も会社について説明していただき、社員としても、この会社に貢献していきたいと、入団を決めました」(浅井)
「僕はラグビーを続けるということは決めていましたが、高いレベルで続けるかどうかを悩みました。ただ、やるからには高いレベルでやりたい、と。スピアーズには練習参加させてもらった際、すごくチームの仲が良く、ファミリー感が強くていいなと思ったので、入団させていただきました」(上ノ坊)
「僕も高いレベルでラグビーをしたいと思っていた中、前川さんに声をかけていただいた。練習参加した時、アットホームなチームカラーで、“自分もこの一員になってラグビー続けていきたい”と思いました。今年は上位で戦っているチーム。試合に出られる出られないは関係なく、その場に自分の身を置いた方が、成長できると思い、決めさせていただきました」(近藤)
晴れて“オレンジアーミー”(スピアーズの選手、スタッフ、ファン・サポーター、関係者の愛称)の一員となった3人は、ファンへの印象をこう述べた。
「自分はすごく“家族のようなファンだな”と感じています。これはたぶん皆さんが言われていることだと思うんですが、この前、秩父宮でのD-Rocks戦(第11節)、ファンの方たちが出待ちしてくださっていた。(自分にも)声を掛けてくれる方もいらっしゃったので、選手を家族のように大切に見守ってくださっていると思いました。自分はまだ入って少ししか経っていませんが、そういう印象があります」(浅井)
「僕も同じで、出待ちしてくれているファンの方たちの熱さを感じました。“一緒に戦ってくれているんだな”と」(上ノ坊)
「僕もそのファミリー感を感じました。船橋でイベントがあった時に、オレンジアーミーの方たちが行き帰りの時でもチームウェア、オレンジのウェアを着ていました。それだけファンにロイヤリティーのようなものがあるチーム。(会場で着ていても)行き帰りには脱ぐ人だっている。でも、僕が観た時はイベントの行き帰りも着ていた。それだけスピアーズに対し、ファミリー感を持ち、(オレンジアーミーであることに)誇りを持っているのかなと感じました」(近藤)
23日の第12節、横浜キヤノンイーグルス戦では東京・スピアーズえどりくフィールドでファンに直接挨拶。浅井は「皆さんの前で一日も早くプレーできるよう頑張ります!」、上ノ坊は「レベルの高いチームでプレーできることに感謝し、成長に繋げたいと思います」、近藤は「精一杯頑張るので応援よろしくお願いします!」と誓った。
(文・写真/杉浦泰介)