ビックカメラ高崎、戸田中央、日立の3強軸に激戦の東地区 ~女子ソフトボール~

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 女子ソフトボール「JD.LEAGUE」の4季目が4月12日に開幕する。レギュラーシーズンは、12チームが10月までにそれぞれ29試合を行う。ポストシーズン(プレーオフ、ダイヤモンドシリーズ)には、東西地区各3位までの6チームに、ワイルドカード(東西地区4位の勝率上位チーム)の1チームを加えた7チームが進出できる。

 

 今季激戦が予想されるのが東地区だ。その中心にいるのがビックカメラ高崎ビークイーン、戸田中央メディックス埼玉、日立サンディーバの3チーム。プレーオフ常連のビックカメラ高崎は、昨季ダイヤモンドシリーズ準決勝で日立に敗れ、今季は3年ぶりの王座奪還に燃えている。一時は引退したキャッチャーの我妻悠香と、内野手の市口侑果が現役復帰。昨季東地区最多盗塁の川村莉沙がデンソーブライトペガサスから加入した。

 

 4月2日に都内で行われたプレスカンファレンスに出席した上野由岐子は、こう抱負を語った。

「うちにとってはかなり大きい戦力だと考えています。去年勝てなかったチームの弱い部分を、彼女たちが支えてくれると思う。今年は新人、移籍含め、かなりいい補強ができている。今季は勝ちにこだわり戦うのがうちのチームの方針です」

 

 主にセカンドを守ることが予想される市口、キャッチャーの我妻は、昨季はコーチとして選手たちを指導してきた。東京五輪金メダルの主力で、ビックカメラ高崎のセンターラインを担ってきた2人に寄せられる期待は大きい。上野は「昨季は世代交代し、若いチームで戦っていた中で結果を出すことができなかった。今季は新たな戦力が加わり、日本一に近付けるチームになったと思っています。チーム一丸となって戦っていきたい」と意気込む。

 

 投手陣は昨季6勝の上野に加え、8勝の濱村ゆかり、5勝の勝股美咲とコマが揃っている。それでも42歳の鉄腕・上野の存在感は依然として絶大だ。昨季の防御率は0.53。抜群の安定感だ。自身25季目のシーズンを迎えるにあたり、彼女はこう語った。

「データ分析が長けてきている中、自分自身のデータも一新させないと打たれるのは時間の問題だと感じています。自分のピッチングスタイルのバリエーションを増やす。上野由岐子というピッチャーが5、6人いるようなイメージでスタイルを変化させていきたいです」

 モデルチェンジした上野のピッチングにも注目したい。

 

後藤、新天地でも輝けるか

 

 昨季東地区3位でJD.LEAGUE初、前身の日本リーグ時代を含めれば、21年ぶりのプレーオフ進出を果たしたのが戸田中央。今季はトヨタレッドテリアーズのエース後藤希友、SGホールディングスギャラクシースターズのスラッガー中川彩音という投打の日本代表を補強した。就任4季目の福田五志監督の下、昨季は全日本総合選手権大会優勝を果たした上り調子のチームが、初のリーグ優勝を狙う。

 

 昨季東地区最多勝&最優秀防御率を争ったジョージナ・コリック(9勝=2位タイ、1.28=1位)と増田侑希(10勝=1位、1.79=3位)に後藤が加わる3本柱は、リーグ屈指の投手陣だ。中でもサウスポーの後藤はトヨタ在籍の6シーズンでMVP3回(日本リーグ時代1回を含む)、最多勝3回(同)、最優秀防御率3回の実績を誇る。

 

 その後藤、「東地区のタイトルを全部取る気持ちで戦う」「全試合を通して失点0、被本塁打0で終えたい」と壮大な目標を口にした。

 

 戸田中央は開幕節2戦目(13日)で上野擁するビックカメラ高崎と対戦する。昨季はレギュラーシーズン3戦全敗。後藤は「私個人としても上さんと対戦するとなった時にこれ以上負けられないという思いがある。川村さんが加わり、我妻さんと市口さんが復帰されたビックカメラ高崎をどう抑えるかが楽しみですし、必ず勝ちたいです」と語気を強めた。

 

 この2チームを東地区王者として迎え撃つのが、日立だ。投手陣は坂本実桜、田内愛絵里、長谷川鈴夏とタレント揃い。打線には昨季の東地区MVPの藤森捺未、強打の山内早織、森山遥菜らが残る。昨季のチーム打率(2割8分1厘)と得点(146)は、いずれもリーグトップ。総合力はリーグ随一と言っていいだろう。

 

躍進に貢献した2人のエース

 

 日立のキープレーヤーには、キャプテンの坂本を挙げたい。昨季は藤森が「MVPは実桜だと思った」と言わしめるほどの活躍ぶり。ノーヒットノーランを2度達成するなど東地区2位タイの9勝、同2位の防御率1.53をマークした。

 

 笑顔がトレードマークの彼女は、明るいチームカラーで知られる日立の象徴的な存在と言えよう。その坂本は「今年でキャプテン3年目なんですけど、この2年で分かったことがあります。私自身、常にチームから見られているということを意識してきました。右も左も分からなかったキャプテン1年目を過ごし、どう振る舞うべきなのかを勉強できた2年だった。悩んだ時期もありましたが、“私らしくいよう”と。キャプテンとしてではなく、まず1人の人間として振る舞うことで、みんながついてくると思う。日頃の行いを、自分らしく1日1日を大切にしていこうと思う」と語っていた。

 

 ここまで東地区の注目チーム、選手を紹介してきた。最後に西地区のキープレーヤーを挙げよう。昨季西地区MVP&リーグ最多記録19勝(前身の日本リーグを含めるとタイ記録)を挙げた三輪さくら(SHIONOGIレインボーストークス)である。178cmの長身から繰り出す多彩な変化球で打者を手玉に取る。トヨタでは後藤やモニカ・アボットらの影に隠れていたが、昨季移籍したSHIONOGIでエースの重責を担うと、八面六臂の働きぶりを見せた。29試合中26試合に登板し、チームの勝利数(20)の9割以上を挙げ、SHIONOGIをプレーオフ進出に導いた。

 

 それでも三輪はこの数字に満足していないという。こう抱負を口にした。

「昨季は味方に打ってもらって勝ったとの印象を持っています。今季は投球内容にもこだわり、1点でも少なく失点を抑えたい。特に奪三振が、私は上位陣のピッチャー、好投手と比べて少ない。いいピッチャーはここぞの場面で三振が取れる。それがこのチームで優勝するために私がすべきことだと思っています」

 

 では今季のノルマは?

「チームでの20勝以上はマストです。例えば私が20勝し、他のピッチャーが4勝すれば、計24勝でダイヤモンドシリーズに進出できると思っています。私は長いイニングを投げられるのが強み。昨季の記録を更新するつもりで、1つずつ勝っていきたい」

 26歳の右腕は、大車輪の活躍を誓った。

 

 3年後のロサンゼルス五輪では、ソフトボールが2大会ぶりに復活する。「JD.LEAGUE」を知れば、ロスをより楽しむことができるだろう。

 

 BS11では「JD.LEAGUE」開幕戦、大垣ミナモvs.ビックカメラ高崎ビークイーン戦を放送します。オンエアは4月12日(土)19時~。是非ご視聴ください。

※放送内容は中止、または変更になる可能性がございます。

 

 

(文・写真/杉浦泰介)

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