第812回 阪神が「世界一」!? ドジャースも撃破

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 阪神世界一。

 

 

 このワードがSNSのトレンド1位になったのは3月16日、エキシビションゲーム(東京ドーム)で、阪神がドジャースを3対0で破った直後である。

 

 言うまでもなくドジャースは前年のMLB王者。大谷翔平、テオスカー・ヘルナンデス、フレディ・フリーマンらを擁するスーパースター軍団は、ワールドシリーズでヤンキースを下し、4年ぶり8度目の“世界一”に輝いた。

 

 そのドジャースに、エキシビジョンゲームとはいえ、完封勝ちしたのだから、虎党が舞い上がるのも無理はない。

 

 投げては、昨年13勝をあげた右腕の才木浩人が、5回を1安打無失点に封じた。「意識した」という大谷翔平に対しては、三振とセンターフライに仕留めた。

 

 今から2年前の3月、侍ジャパンの大谷はWBC本戦直前の強化試合で才木と対戦し、体勢を崩されて片ヒザを突きながら、京セラドームのバックスクリーンに特大の3ランを叩き込んだ。

 

 その大谷から、才木は第一打席で空振り三振を奪った。それも2年前に完璧に打たれたフォークボールで。2年越しのリベンジに成功したのである。

 

 打っては、この日、3番に起用された佐藤輝明。サイ・ヤング賞2度の実績を引っさげ、ジャイアンツから移籍してきた左腕ブレイク・スネルのストレートをライトスタンドに叩き込んだ。

 

 投げるべき人が投げ、打つべき人が打つ。MLB王者相手に、虎党にとっては堪えられないゲームとなった。

 

 前日のカブス戦でも、阪神は3対0で完封勝ちしていた。ドジャースとは比べられないにしても、カブスも昨季、ナ・リーグ中地区で4つの貯金をつくった強力なチームである。

 

 そのカブス相手に、5回まで“パーフェクト・ピッチ”を演じたのがNPB未勝利の20歳のサウスポー、門別啓人。MLB通算198本塁打の4番ジャスティン・ターナーをして「アメージング!」と言わしめた。

 

 カブス戦は門別、ニック・ネルソン、工藤泰成、石黒佑弥、岩崎優の5人による3安打完封リレー。翌日のドジャース戦は、才木、ハビー・ゲラ、岡留英貴、桐敷拓馬、石井大智の5人による3安打完封リレー。

 

 今季のセ・リーグは中日から“最強の守護神”ライデル・マルティネス、ソフトバンクから侍ジャパンの常連捕手・甲斐拓也を獲得した巨人の連覇が有力視されているが、「MLB王者を撃破した阪神」の存在感が、ここにきてにわかに大きくなってきた。春の椿事では終わらせない。

 

<この原稿は2025年4月18日号『週刊漫画ゴラク』に掲載されたものです>

 

 

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