スピアーズ、今季えどりく最終戦を白星で飾る　～リーグワン～

「NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25」ディビジョン１第16節が各地で行われた。東京・スピアーズえどりくフィールドでの試合はクボタスピアーズ船橋・東京ベイが三重ホンダヒートを39－20で破った。えどりくでの今季最終戦を白星で飾り、同会場の連勝記録を24に伸ばした。

（写真：試合後にファンサービスをするこの日が26歳の誕生日だった紙森＜左端＞とPOMに輝いた根塚＜左から３番目＞）

　スピアーズは前半を10－13で終えた。一時は後半に逆転するパターンが多かったとはいえ、ここ４試合は前半をリードでハーフタイムを迎えていた。10分、ラインアウトを起点にSOバーナード・フォーリーがトライを挙げ、17分にはスクラムで相手の反則を誘ってスコアに繋げたが、ビハインドを負った。「自分たちのペースにはなっていなかった」とはスピアーズキャプテンのNo.8ファウルア・マキシ。ハーフタイムに「規律のところ。前半はペナルティーが多かった」点の修正を図ったという。

（写真：マークスのパスを受け、逆転トライを挙げる藤原。持ち前の素早いパス出しでアタックをリードした）

　相手より先にピッチに帰ってきたスピアーズ。ファイティングポーズを先に取っていたというわけではないかもしれないが、ピッチの15人から前半との切り替えができているように映った。最初にスコアしたのもスピアーズだった。３分、最後は藤原がトライエリア（インゴール）左隅にボールを置いた。15－13で逆転に成功した。

　スピアーズのラッシュは続く。９分、敵陣深くのラインアウトからサインプレー。HOマルコム・マークスがショートサイドにボールを入れ、PR紙森陽太がリターンパス。相手の隙を突き、マークスがトライエリア左隅に飛び込んだ。13分にはラインアウトモールで再びマークスがトライを挙げた。スピアーズのセットプレーの要が２トライ。紙森も「全てがすごい。ブレイクダウンまわりのジャッカル、タックル、ボールキャリー。練習に対する姿勢もディテールを意識している。常にプレーが高い水準で一貫性がある」と称えた。

（写真：兄・聖冴のタックルを受けながらもトライを奪う根塚洸雅。この日は両親、妹と根塚ファミリーが観戦に訪れた）

　16分、WTB根塚洸雅がトライエリア左隅に力強くグラウンディング。32－13と点差を広げた。右サイドでCTBリカス・プレトリアス、WTBハラトア・ヴァイレアの突破力を生かし、大きくゲイン。そこから左へ展開し、マキシからパスを受けるとSO呉洸太、SH根塚聖冴のプレッシャーを跳ねのけた。「ルアさん（マキシ）の内側におったんですが外で勝負できると思ったので、外に回りました」と根塚。呉は大学の先輩、聖冴は２歳上の兄だ。外に押し出そうとする相手の狙いを察知し、ボールを持つと内側に踏み込んでトライを挙げた。

　24分に１トライ１ゴールを返されたものの、34分にはヴァイレアがトライエリア右隅にボールを運んだ。フォーリーのコンバージョンキックが決まり、39－20。このままノーサイドとなった。３トライ差以上によるボーナスポイントを加えた勝ち点５を獲得。これでスピアーズは６連勝となった。次節は５月３日、首位の埼玉パナソニックワイルドナイツと東京・秩父宮ラグビー場で対戦する。

（写真：「いいアタックとディフェンスでチャンスをつくり、勝利に繋がった」とルディケHC。次戦は天王山だ）

　次戦がホストゲーム最終戦となるが、この日が今季えどりくの最終戦。今季は６戦全勝、19年からの連勝記録も継続した。スピアーズのフラン・ルディケHCが「えどりくはファンのサポートを感じ、いいパフォーマンスに繋がる」と話すと、マキシも「特別な会場。たくさんのオレンジアーミーの皆さんが応援してくれて、力になりました」と語った。スピアーズのホスト運営が「あったかいスタジアム」を掲げているように、ビジターチームに圧を掛けるような雰囲気はない。それでもスピアーズは負け知らずだ。

　田邉淳ACに聞くと「僕もパナソニック（現・ワイルドナイツ）時代は太田（群馬・太田市運動公園陸上競技場）では全然負けなかった。それに近い感覚が選手にはあるのかもしれません」と答えた。この日、FBでフル出場した押川敦治は「オレンジアーミーの声援があって、プレーしていて、どこかホッとする。オレンジに染まる同じ景色。安心感のある中でプレーできています」と語った。ホストというよりホームという言葉がしっくりくる。前川泰慶GMによれば、来季もえどりくをメインのホストスタジアムとして使用する方向で進めているという。“不敗神話”はどこまで続くのか。

（文・写真／杉浦泰介）