08年の北京五輪を目指す野球の日本代表・星野仙一監督が7日、11月に台湾で行われるアジア地区予選の代表候補選手60名を発表した。内訳は投手29名、野手31名。最多はセ・リーグの首位を走る巨人で10名。最小は両リーグの最下位の東京ヤクルトとオリックスで2名ずつだった。ルーキーでは東北楽天・田中将大、巨人・金刃憲人の2投手が選ばれた。
(写真:「このメンバーで充分戦える自信はある」と力強く語る星野監督)
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「この中にはケガ人は入っていない」
「現時点での調子のよさを重点的に選んだ」
 星野代表監督は今回の選考基準をこう説明した。アトランタ、シドニー、アテネと3大会連続で五輪を経験している松中信彦(福岡ソフトバンク)や、アテネ五輪とWBCでキャンプテンシーを発揮した宮本慎也(東京ヤクルト)ら実績のあるベテランに加え、田中や金刃、青山浩二(東北楽天)、梵英心(広島)ら若手も数多く選出された。

「フレッシュな選手がほしいと思っていたら、フレッシュさをアピールして、この中に入れても恥ずかしくない選手が出てきてくれた」と星野監督はルーキーの2選手を高く評価。最年少(18歳)での選出となった田中については「甲子園を騒がせただけでなく、(2日には)強いソフトバンク打線を抑えた。これで選ばなかったら(ファンから)怒られる」とその実力を認めた。
 
 一方で故障中のWBC代表・川崎宗則(福岡ソフトバンク)や、今季未勝利のアテネ五輪、WBC代表・清水直行(千葉ロッテ)などはメンバーから外された。またメジャーリーグ所属の選手は除外され、アマチュア選手も「今後も代表入りは考えていない」(大野豊投手コーチ)と1人も選ばれなかった。

 投手陣は「いろんな投手を入れたい」(星野監督)との意見もあり、当初の予定の25名から4名増員された。開幕からの調子に加え、「横のゆさぶり、縦の変化が使える国際大会で通用する投手を選んだ」と大野コーチが選考理由を明らかにした。

 野手陣の選考は守備力と足を重視。「(予選が行われる)台湾の会場はグラウンドが広い。引っ張らないで広角に打てる技術と2塁打、3塁打を狙える足が必要だ。本塁打は二の次に考えている」と田淵幸一ヘッド兼打撃コーチ(写真)は“スピード野球”をテーマに掲げた。

「赤星(憲広)や川崎のように走って打てて守れる選手も(メンバー外には)いる。実績通りやってくれれば、また新たに加わる可能性もある」と星野監督はあくまでも現時点での選考結果であることを強調した。「まだシーズンは長い。もっと幅広く選んで絞っていきたい」と指揮官が語るように今回の候補の中だけで、メンバーを絞り込むわけではない。

 また、今回の候補には巨人から10選手が選ばれるなど、各チーム間に偏りがあることも事実だ。オフに行われる予選はまだしも、本選はペナントレース中。「現場の意見もある。最終的にはチーム間のバランスを考える必要は出てくるだろう」と会見後に大野コーチ(写真)がもらしたように、チームづくりには紆余曲折が予想される。

 それでも、この時期に候補選手を発表したのは、「選手たちに世界大会、オリンピックを十二分に意識してもらう」(星野監督)ためだ。「(次回の)ロンドン五輪からは野球がなくなる。野球を五輪に取り返すために、我々がいいものを残すという使命感を持ってやらなくてはいけない。プロ野球、五輪を盛り上げるためにも、早くから日の丸を意識してくれることを期待したい」と候補選手たちに自覚を促した。

「なんで選んでくれないんだと思うヤツは2次、3次の選考で入るように、我々を見返すつもりでやってほしい」とメンバー漏れ選手たちにもエールを送った闘将。「日本野球は人材が豊富だと思った。メジャーでも通用する人間がゴロゴロおるんじゃないか」「戦える自信はある。皆さんに喜んでいただける結果になるだろう」などと選考を通じての手ごたえを口にした。

 今後は8月のプレ五輪(プロ2軍とアマチュア選手で編成予定)をはさみ、最終メンバー24名に絞込む作業が待っている。
「ツライよ。ユニホームを着ずに野球だけ見ているのは。試合は時間がある限り、全部見ている。こんなに野球を見ている年はないな(笑)」と星野監督は選考の苦労を笑って話した。はたして燃える男のハートに火をつける選手がこれからのペナントレースで何人出てくるのか。悲願の金メダルに向けた戦いの火ぶたは早くも切って落とされた。

野球日本代表 第一次候補選手

【投手】 29名
<パ・リーグ>
 ダルビッシュ有、武田久、八木智哉、MICHEAL(以上、北海道日本ハム)、西口文也、小野寺力、涌井秀章(以上、西武)、馬原孝浩、新垣渚、和田毅、杉内俊哉(以上、福岡ソフトバンク)、藪田安彦、渡辺俊介、小林宏之(以上、千葉ロッテ)、田中将大、青山浩二(以上、東北楽天)
<セ・リーグ>
 川上憲伸、岡本真也、岩瀬仁紀(以上、中日)、藤川球児(阪神)、林昌範、上原浩治、高橋尚成、内海哲也、金刃憲人(以上、巨人)、黒田博樹、大竹寛(以上、広島)、那須野巧、木塚敦志(以上、横浜)

【捕手】 5名
<パ・リーグ>
 里崎智也(千葉ロッテ)
<セ・リーグ>
 谷繁元信(中日)、矢野輝弘(阪神)、阿部慎之助(巨人)、相川亮二(横浜)

【内野手】 15名
<パ・リーグ>
 中島裕之(西武)、松中信彦(福岡ソフトバンク)、TSUYOSHI、今江敏晃(以上、千葉ロッテ)、北川博敏(オリックス)
<セ・リーグ>
 荒木雅博、井端弘和(以上、中日)、鳥谷敬、今岡誠(以上、阪神)、宮本慎也(東京ヤクルト)、小笠原道大、二岡智宏(以上、巨人)、梵英心、新井貴浩(以上、広島)、村田修一(横浜)

【外野手】 11名
<パ・リーグ>
 稲葉篤紀(北海道日本ハム)、和田一浩(西武)、多村仁、大村直之(以上、福岡ソフトバンク)、村松有人(オリックス)、礒部公一、鉄平(以上、東北楽天)
<セ・リーグ>
 福留孝介(中日)、青木宣親(東京ヤクルト)、谷佳知、高橋由伸(以上、巨人)


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 星野ジャパンの抑えは上原か!?
「ケガで出遅れた巨人の上原がすでに2セーブをあげています。しばらくは先発からクローザーとして原監督は起用する方針のようです……」<続きは携帯で>

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