E-1選手権メンバー発表。注目株は相乗効果を呼ぶ「柔」と「剛」、2人のスコアラー

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 国内組で臨む東アジアE-1選手権(7月7日開幕、韓国)のメンバーが発表され、26人中12人が初招集というフレッシュな顔ぶれとなった。

 

 日本開催だった前回の2022年大会はライバルの韓国代表に3-0と勝利して優勝を果たし、谷口彰悟、山根視来、相馬勇紀、町野修斗の4人がカタールワールドカップのメンバーに食い込んだ。海外組を呼べない大会だとは言えど、活躍すれば来年に控える北中米ワールドカップに向けて今後日本代表に定着していく可能性がある。

 

 名を上げるのは一体、誰か――。

 

 初招集組のなかでは空中戦に滅法強く、ビルドアップにも長けるだけでなく最終ラインから一気に持ち出していく迫力もあるアビスパ福岡の安藤智哉、抜群のシュートストップと安定感、足もとの技術を誇る鹿島アントラーズの守護神、早川友基はA代表入りの期待値が高かっただけに注目度は高いと言える。

 

 個人的にはヴィッセル神戸の宮代大聖と川崎フロンターレの山田新、2人のスコアラーを楽しみにしている。

 

 宮代はここまでチームトップの7得点をマークし、卓越した技術、決定力、チャンスメイク力を持ち味に神戸をけん引する大黒柱に成長しつつある。5月6日のセレッソ大阪戦では右CKをファーで待ち受け、右足での的確なトラップから左足で射抜いた鮮やかな一発は月間ベストゴールに選ばれている。先日のサンフレッチェ広島戦ではゴール中央やや左から右サイドに流れた佐々木大樹に決定的なパスを送ってエリキの決勝点につなげており、まさに絶好調だ。インサイドハーフ、ウイングと複数のポジションをこなしながら、どこにいようとも得点に結びつけられる才がある。

 

 そしてもう一人、山田新は昨季J1で日本人トップタイの19得点を叩き出してブレイク。今季は2得点にとどまっているとはいえ、味方のゴールを呼び込む働きも目立つ。スピード、パワー、勝負強さを兼ねそろえており、右足、左足、頭とどこからでも、どんなパターンでもゴールを奪えるのが最大の魅力だ。

 

 宮代が「柔」なら、山田は「剛」。

 

 2人は川崎のアカデミー出身で、同じ2000年5月生まれ。宮代がサガン鳥栖から復帰し、山田が桐蔭横浜大から加入した2023年シーズンは一緒にプレーしている。仲のいい友であり、ライバル。昨年山田にインタビューした際、宮代についてこう語っていた。

 

「もちろん負けたくない気持ちもあるし、ライバルではあるんですけど、リスペクトも凄くしています。いい関係を築けているなとは思います。いつも(全体練習後の)シュート練習で、ゴールの数を競っていましたね。だからお互い、違うチームになってもずっとその感覚なんです」

 

 山田からすれば常に気になる存在であり、離れていてもライバルの活躍を意識してきた。それはきっと宮代とて一緒だろう。その2人が同じタイミングで初代表に名を連ねるのだから、これも縁というほかない。

 

 2人が川崎でともに先発の舞台に立った2023年7月8日、等々力での横浜FC戦を思い出す。登里享平のクロスに飛び込んで山田が先制ゴールを挙げると、負けじと宮代も自ら得たPKを決めて追加点を挙げた。印象深かったのは、どちらかが点を奪えば、どちらかが真っ先に駆け寄って祝福していたこと。両者の強い結びつきが垣間見えたシーンでもあった。

 

 宮代も、山田も中堅どころの25歳。フットボーラーとして脂の乗っている時期でもある。今季はACLエリートで試合を重ねており、「対アジア」は臨むところだろう。

 

 日本代表は7月8日に香港代表、12日に中国代表、そしてホーム開催となる韓国代表とは15日の最終戦で対戦する。

 

 負けたくない気持ちと、リスペクトと。剛と柔の競演による相乗効果で2人のスコアラーが爆発すれば、2大会連続の優勝に近づくに違いない。

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