「一選手として、胴上げをしてみたいと思わない人はいない」
 ここまで言うからには、もう腹は固まっているのだろう。
 横浜の主砲・村田修一が今オフ、FA権を行使することが確実となった。

 先の発言の背景には昨オフ、横浜から福岡ソフトバンクにFA移籍して優勝を果たした内川聖一のことがあるのだろう。
 昨オフ、FA権を行使せずに残留を決めた際には「自分のバットで(チームに)恩返しをしたい」と泣かせるセリフを口にした。
 それが、わずか1年後の心変わり。何があったのか。

「チームの不振も原因のひとつではあるが、それについては“選手にも責任はある”と村田は語っている。それ以上に身売りに関するゴタゴタに嫌気が差したのではないか。結局、親会社のTBSホールディングスはディー・エヌ・エー(DeNA)との間で球団譲渡をまとめたようだが、選手には交渉相手や交渉の経過も一切、知らされなかった。親分肌の村田はキャプテンとして、そのあたりのことにも心を痛めていたのではないか……」(球団関係者)

 では男・村田はどこへ行くのか。
 獲得に名乗りを上げそうな一番手は東北楽天である。昨オフに獲得した元メジャーリーガーの岩村明憲が期待はずれに終わり、サードは埋まっていない状況だ。
 監督の星野仙一は村田には好感を抱いている。北京五輪のアジア予選。五輪出場を決めた台湾戦で村田は背中に死球を受けるなり雄叫びを上げた。
「気持ちが出ていたなァ。あれは褒めてやりたいよ」と村田の闘志を絶賛したのが代表監督を務めていた星野だった。

 代表監督と言えば巨人監督の原辰徳も第2回WBC日本代表を率いた時は彼を買っていた。
 ケガをして米国から途中帰国した村田に、優勝メダルを直々に手渡したことでも、それは明らかだろう。巨人もサードは固定されていない。
 楽天か巨人か、それとも……。

<この原稿は2011年11月14日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

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