山本化学工業ではバイオラバーなどの商品開発や販売のみならず、「ひとりでも運動を楽しむ人が増えるように」と市民参加型スポーツイベントの支援も行っている。20日に大阪城公園を発着点に開催される「大健康チャリティーウオーク」もそのひとつだ。昨年は2000人を超える参加者が5キロ、10キロ、15キロのコースをそれぞれ歩き、心地よい汗を流した。大会を協賛する狙いを前回に引き続き、山本富造社長に当HP編集長の二宮清純が訊いた。

 親指をまっすぐ、ヒザを上げる

二宮: 「チャリティーウオーク」の協賛はいつから?
山本: 一昨年からです。去年は大阪大学名誉教授の大山良徳先生にスタート前、歩き方の3つのコツを参加者にレクチャーしてもらいました。一昨年に協賛した際に歩き方を見ていて、正しい姿勢の人が少なかったんです。やはり、ただ歩くとはいえ、正しい方法を認識しておかないと転倒やヒザ、腰を痛めることにつながりますから。

二宮: 正しく歩くコツとは?
山本: まず真っすぐ足の親指を出して歩くことです。親指が最後に地面から離れる歩き方をすると、太ももの内側の筋肉を使うようになる。そうすることで自らの体重を内側から支えるようになるんです。

二宮: 内転筋はスポーツの世界でもパワーの源として重要視されます。ここを意識するわけですね。
山本: もともと日本人はO脚が多く、昔のように日常生活で和装になることも少ない。男性も女性も年齢を重ねると、O脚がひどくなる傾向にあります。よく高齢者は“背が縮む”と言われますが、それは腰が曲がることに加えて、両ヒザが外に出てくるからです。この姿勢で歩くと、体重が左右にブレ、ヒザに負担がかかる。腰やヒザを痛める原因になるんです。

二宮: それを防止するために、親指を真っすぐ出して歩くわけですね。2つ目のコツは?
山本: もうひとつは、ヒザを上げることです。スリッパを履いた時の足音を聞くとよく分かりますが、高齢者の多くはシャーシャーと地面を摺るような歩き方が多い。足を上げ、ペタペタと音を立てて歩いている人は少ないですね。思いっきり飛んだり跳ねたりできることからも理解できるように、人間のヒザは上下からの負荷に強い構造になっています。一方、柔道で足払いをされると、どんなに鍛えている選手でもバランスを崩してしまう。つまり、人間のヒザは横からの負荷にはあまり強くないんです。地面を摺って歩くと、ヒザに横から負荷がかけるかたちになってしまいます。

二宮: ヒザを上げない歩き方は負担をかけるだけでなく、ちょっとした段差につまづいたり、ケガの危険性も高まります。
山本: それにヒザを上げて歩くと、自然と歩幅が広くなる。歩くスピードも上がって、早く目的地に着くので疲労も少なくなります。年配の方が一生懸命歩いても時間がかかるのは、ヒザが上がっていない。歩幅が狭いのでなかなか前に進まないんです。

 腕を振れば、足も出る!

二宮: 最後のコツは?
山本: 腕をしっかり後ろに振ることです。普段、歩く際に腕まで意識している人はいないでしょうが、腕を後ろに振ると、体がバランスをとろうと勝手に腰が前に出てきます。そうすると足も前に出る。走る時に腕を振るのは、それで前への推進力を生みだそうとしているんです。ならば、歩く時も同じように腕を振ったほうがいい。

二宮: 足を前に出すために腕を振ると? おもしろい発想ですね。
山本: そうです。「足を前にだすために、腰を前に出せ」と指導されても、どうやって歩けばいいか分からない。意識しすぎて、逆に歩きがぎこちなくなってしまいますよ。だけど、腕を振ることなら誰でもできる。

二宮: 昨年、大山名誉教授のレクチャーを受けて、参加者の様子はいかがでしたか?
山本: 好評でしたね。「ちょっと教わっただけで歩きが変わった」との声をいただきました。この大会は報知新聞社の主催ということもあって、昨年は元阪神監督の安藤統男さん、掛布雅之さん、金村義明さんも参加していました。実は安藤さんは一昨年も歩いたのですが、途中でヘバってしまった。そこで「カッコ悪いから、ちょっと特訓してくれ」ということで、事前に大山先生からアドバイスを受けて歩きました。「もうバッチリや。一番で歩いてくる」と元気に歩いて戻ってきましたよ。もちろん、10分くらいのアドバイスで、親指を真っすぐ出したり、ヒザを上げる歩き方がすぐにマスターできるわけではありません。でも、この「チャリティーウオーク」で教わったポイントを日々の生活の中でちょっとでも意識して歩けば、徐々に正しい方法が身についてくるのではないでしょうか。

二宮: 当日、長い距離を歩く上で体の筋肉を動かしやすくする点で、バイオラバーも役に立つわけですね。
山本: そうですね。11月末だと気温もだいぶ下がってきます。今回は実際に高齢の方にバイオラバーを貸し出すことも考えているんです。たとえば前回紹介した「温熱バイオラバー」を渡し、スタート前に加熱したジェルパックを入れて、体を温めてもらう。そしてジェルパックだけ外してスタートする。正しい歩き方を身につけ、それをバイオラバーがサポートすることで、どのくらいラクに歩けるか。効果をひとりでも多くの方に体感していただきたいです。

(つづく)

 山本化学工業株式会社