第305回 井上尚弥が口にしたアフマダリエフ戦への決意─『9・14名古屋IGアリーナ』

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 4団体(WBA、WBC、IBF、WBO)統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(大橋)の次戦が7月10日の記者会見で正式発表された。

 かねてから報じられていた通り、日時は9月14日、場所は名古屋に新設されたIGアリーナ、対戦相手はWBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)。井上にとってはWBC、WBO王座6度目、WBA、IBF王座5度目の防衛戦である。

 

 これまでの試合は、常に「井上尚弥が圧倒的優位」との前評判だったが今回は雰囲気が幾らか異なる。それは、会見での井上の発言にも表れていた。

 

「アフダリエフのすべてのボクシングスキルに注意を払いながら、ボクシングしていきたい。その中で細かい技術、フィジカル、テクニックが詰まった選手なので、警戒値を高めてトレーニングを積んでいく」

 

「12月のサウジアラビア興行、この先の中谷潤人選手との対戦もぼんやりと描かれているが、それとは関係なく、アフマダリエフに勝つ、そういうボクシングをしっかりと組み立てていきたいと思う。先のことは頭から消して、しっかりとこの試合に臨んでいきたい」

 

「今回は判定決着でもいいんじゃないかと思っている。しっかりと勝ち星を取りにいく強い気持ちで、まずは12ラウンドをフルに闘う組み立てで挑みます」

 

 2年前の4月、アフマダリエフはマーロン・タパレス(フィリピン)に敗れている。そのタパレスに井上は同年12月にKO完勝した。だからと言って、相手を甘く見るつもりはまったくない。

 これまでファンは常に「KO勝ち」を求め、井上もそれに応える闘い方をしてきた。そのために不意の一撃を喰らいダウンを喫したこともあった。だが今回のアフマダリエフ戦は「魅せる」ではなく「勝ちに徹する」闘いにシフトする。

「モンスターの本気」が観られるというわけだ。

 

 相手のアフマダリエフも自信を宿して向かってくる。策も練られていよう。

「井上尚弥優位」の予想は変わらないが、これまでの試合とは緊張の度合いが異なっている点が興味深い。

 

 なお同イベントでは、WBO世界バンタム級タイトルマッチ、武居由樹(王者/大橋)vs.クリスチャン・メディナ(1位/メキシコ)、WBA世界ミニマム級王座決定戦、高田勇仁(1位/ライオンズ)vs.松本流星(2位/帝拳)も行われ、トリプル世界戦の模様はNTTドコモの映像配信サービス「Lemino」で独占無料生配信される。

 

 

<直近の注目格闘技イベント>

▶7月13日(日)、マリンメッセ福岡B館/「K-1 DONTAKU」ヘビー級タイトルマッチ、ロエル・マナートvs.K-Jeeほか

▶7月13日(日)、北海道・札幌PODアリーナ/「PFC.37」GRAPPLINGバンタム級タイトルマッチ、渡部修斗vs.ジミー西将希ほか

▶7月20日(日)、東京・後楽園ホール/「KNOCK OUT.55」REDスーパーライト級タイトルマッチ、デンサヤーム・ウィラサクレックvs.エイ・マムリンプートングほか

▶7月21日(日)、東京・後楽園ホール/「PROFESSIONAL SHOOTO 2025 Vol.6」女子ストロー級タイトルマッチ、藤野恵実vs.パク・ボヒョンほか

▶7月25日(金)、東京・後楽園ホール/「RISE 190」南原健太vs.ジョン・ソンジクほか

▶7月26日(土)、東京・後楽園ホール/「Krush.178」ミドル級タイトルマッチ、ブハリ亜輝留vs.デング・シウバほか

▶7月27日(日)、さいたまスーパーアリーナ『超RIZIN.4 真夏の喧嘩祭り』クレベル・コイケvs.朝倉未来ほか

▶7月27日(日)、愛知・ホテルプラザ勝川/「SHOOTBOXING 2025 YOUNG CAESER CUP CENTRAL #37」川上叶vs. 内藤凌太ほか

▶7月27日(日)、東京・立川ステージガーデン/「PANCRASE 355」フライ級王座決定戦、濱田巧vs.大塚智貴ほか

▶7月30日(水)、神奈川・横浜BUNTAI/プロボクシングWBA&WBC世界フライ級タイトルマッチ、寺地拳四朗vs.リカルド・ラファエル・サンドバルほか

 

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)プロフィール>

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)

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