ローリー・マキロイ(北アイルランド)、22歳。石川遼、20歳。男子ゴルフ界の若きスターが日本で激突する。BSスカパー!で年末年始の3日間にわたって放送される「ローリー・マキロイ×石川遼 〜New World Order〜」。9ホールによるマッチプレーはもちろん、2人のスペシャル対談もあり、ゴルフファン、スポーツファンには見逃せない番組となっている。

 スターの証明

 マキロイと石川がスターとしての輝きを放っている理由はどこにあるのか。まずは見た目のスマートさがあげられるだろう。2人とも端正な顔立ちで、観る者にさわやかな印象を与える。もちろん、実力も申し分ない。マキロイは20歳の若さで世界ラインキングのトップ10入りを果たし、2011年は6月の全米オープンで通算16アンダーと他を圧倒し、メジャー初制覇を成し遂げた。石川もまだ高校1年生だった07年のマンシングウェアオープンKSBカップでツアー最年少優勝を収めると、プロ転向2年目の09年には最年少賞金王に輝いた。

 スターにはつきものの“ドラマ”にも事欠かない。マキロイは11年のマスターズで4月のマスターズで3日目まで首位。大会を盛り上げたが最終日にスコアを大きく崩し、優勝を逃した。「厳しい敗戦でショックを受けた」と本人も明かすが、「メジャーで勝つ準備が整っていなかった」と敗因を分析し、全米オープンで圧勝した。石川の場合も10年の中日クラウン最終日にツアー新記録となる「58」をたたき出し、大逆転優勝を収めたことがある。首位に6打差からスタートして、終わってみれば5打差をつけた。列車で例えると、各駅停車と特急ほど勢いの差は歴然としていた。

「記録よりも記憶」という言葉がスポーツの世界ではよく用いられる。残した記録以上に、印象深いシーンを演じたプレーヤーへの称賛の思いが、この言葉には詰まっているといっていいだろう。超一流のアスリートとなると、単に記憶に残るというレベルを超越した衝撃的なパフォーマンスでファンの心をわしづかみにする。つまり「記録よりも記憶、記憶よりも衝撃」なのだ。そんな“衝撃”を与えられるところに2人のスターたるゆえんがある。

 そして、もうひとつ付け加えるとすれば、豪快なドライバーも観る者をひきつける大きな要因になっているのではないか。人間は誰しも、速く走りたい、高く跳びたい、遠くへ飛ばしたいという願望を持っている。これはスポーツの原点といえるものだ。勝敗やスコアとは別の次元で、これらを体現できる選手がファンの支持を得るのは、人間の本能に訴えかけるものがあるからかもしれない。

 尾崎将司にしてもタイガー・ウッズにしても、人並みはずれた飛距離があったからこそ、ゴルフブームの牽引役になりえたことは間違いない。もし彼らがこぢんまりしたゴルフをしていたならば、いくら勝利を積み重ねてもあれほどの人気は出なかっただろう。
「放物線を描くのは天賦の才」
 あるプロ野球の長距離打者から、そう聞いたことがある。ホームランもドライバーショットもきれいな放物線を描いて彼方へと飛んでいく。それができる人間には生まれながらの才能、スター性が宿っているというわけだ。

 人はなぜ放物線にあこがれを抱くのか、考えを巡らせたことがあった。ハッと脳裏に浮かんだのが空にかかる虹である。人は白球が描く放物線に、夢や希望の架け橋である虹を重ね合わせているのではないだろうか。少々、ロマンチィックな考え方ではあるが、あながち的外れではないと思う。

 経験が強くする

 ラウンド後、石川は「マキロイは一足先に大舞台で大活躍している。自分も早く、そこへ行きたい」と語った。間近でプレーしてマキロイのショットの素晴らしさに感心させられたという。
「スイングスピードが速くて距離が出る。ドライバーでも10ヤードくらい離されている。コマみたいなスイングで毎ショット見入ってしまいました」
 対するマキロイは石川の技術を賞賛した。
「パッティングストロークが素晴らしい。4番で林の中に曲げてからナイスリカバリーして、距離があるパーパットを沈めた。このプレーが今日、一番の印象に残っている」

 マキロイ、石川とも世界最高峰の舞台、マスターズでの優勝を目標に掲げている。しかし、現状の2人の立ち位置は異なる。マキロイがマスターズ制覇まであと一歩のところまで来ているのに対し、石川は11年のマスターズで初めて予選を突破した。世界での実績は言うまでもなくマキロイのほうが上だ。「追いつくにはもう少し時間が必要。まだまだと思うことが多い」と石川も、その差を認めている。

 では、マキロイに追いつき、追い越すには何が必要か。マキロイはプレー後の会見で「経験」という言葉を何度も口にした。2012シーズン、彼は米ツアーでの試合数を増やす考えを明らかにしている。その理由を次のように語った。
「米ツアーは選手層が厚く、高いレベルの選手がたくさんいる。最高のプレーをしないと上位には入れない。米国に行ったからといってうまくなるわけではないが、経験を積んでいけば強くなれる」

 このマキロイの発言には説得力がある。全米オープンでの優勝はマスターズ最終日の大失速を糧にしたことは本人も認めるところだが、それ以前にも彼はメジャー大会で3位を3度経験している。上位争いの経験なくして一足飛びに頂点に立つことはなかなか難しい。石川に求められるのはまずメジャーの最終日を最終組で回ること。しびれるような緊張感を知って初めてマスターズの優勝にも現実味が帯びてくるのではないだろうか。

「これまではタイガー・ウッズがゴルフ界を変えてきたが、2人には今のゴルフ界を変えてくれるんじゃないかという期待感がある」
 2人のプレーを見守った解説の青木功はそう目を細めた。マキロイ、ウッズともまだ20代に突入したばかり。5年後、10年後、両者がメジャーの大舞台でマッチプレーを演じる日を想像しながら番組を楽しみたい。
 
 6月の全米オープンにてメジャー初優勝を果たし、その実力を証明したローリー・マキロイ選手と、彼と同世代で日本人初のメジャー制覇を目指す石川遼選手がついに日本で激突!

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<放送概要>
◆出演者
ローリー・マキロイ、石川遼
◆放送日時
プレー第1部:12/30(金)18:00〜他
プレー第2部:12/31(土)18:00〜他
対談:2012年1/1(日)18:00〜他
◆放送チャンネル
BSスカパー!:BS-241ch(スカパー!e2)
スカチャン5:ch.185(スカパー!)、ch.195(スカパー!HD)
◆視聴条件
スカパーe2:16日間無料体験を申し込みされた方、またはご契約の方(BSスカパー!を2012年9月30日まで無料でご覧いただけます)
スカパー!、スカパー!HD:いずれかチャンネルまたはパック・セット等のご契約をされた方は無料でお楽しみいただけます。

※このコーナーではスカパー!の数多くのスポーツコンテンツの中から、二宮清純が定期的にオススメをナビゲート。ならではの“見方”で、スポーツをより楽しみたい皆さんの“味方”になります。
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