B-Boy haruto&B-Girl Cocoa、初のWorld Final出場に近付く優勝 〜Red Bull BC One Cypher Japan〜

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 今年11月9日に東京・両国国技館で開催されるブレイキンの1on1バトル世界大会「Red Bull BC One World Final」(World Final)の予選を兼ねる「Red Bull BC One Cypher Japan」(Cypher Japan)が16日、神奈川・大さん橋ホールで行われた。B-Boy harutoとB-Girl Cocoaが優勝し、World Final出場権を獲得へ一歩前進した。2人はWorld Finalへの最終予選となる「Red Bull BC One Last Chance Cypher Tokyo 2025」(11月7日、東京)へとコマを進めた。

 全国各地の予選を勝ち抜いた男女各7人に加え、招待選手9人による各16人のB-Boy、B-Girlが横浜に集結した。32人の熱いバトルが約800人が詰め掛けた観客を沸かせた。

 

 B-Boy決勝はNORIvs.harutoという昨年と同一カードとなった。茨城県出身のNORIは昨年のCypher Japanを含む3度の優勝を誇り、World Final出場経験のある38歳だ。対する石川県出身のharutoは昨年決勝で涙をのんだ20歳。初のWorld Final出場を狙う。

 

 音楽が流れると先に仕掛けたのはharuto。ステップワークで魅せながら、スピン、パワームーブを披露して沸かせた。後攻となったNORIも力強いムーブで対抗。3人のジャッジに委ねられた勝敗は、harutoに軍配が上がった。昨年のリベンジを果たしたharutoは「昨年、悔しい思いをして1年間本気でこれに合わせてきた。僕1人じゃ成し遂げられなかった道。仲間、家族に心から感謝しています」と関係者に頭を下げた。「今まで先輩たちが作り上げてきてくれた日本を、僕の代で崩したくない。僕が日本代表だと言えるよう頑張りたい」

 

 B-Girl決勝はYasminにCocoaが挑んだ。兵庫県出身の28歳Yasminは2023年のCypher Japan優勝者で、昨年のWorld Finalは日本勢トップのベスト8に入った実力者。東京都出身の18歳Cocoaは、日本ダンススポーツ連盟によるブレイキンの2025年度強化選手(ユース部門)にも選出されているホープである。

 

 先に踊り出したのはYasumin。グルーヴィーなダンスで相手を挑発するように踊る。Cocoaはパワームーブを披露し、エネルギッシュに魅せた。判定はCocoaの勝利。優勝が決まると、Cocoaは「ここに立てるだけでも幸せなのに、目標を達成することができた。応援してくれる仲間にも恵まれて、本当に幸せです」と涙ながらに喜びを語った。「ちゃんと日本を背負う思いを忘れず、自分をレペゼンする気持ちで挑戦したいです」

 

 World Finalに向け、harutoは「ダンスを始めた時から目指しているくらい夢の舞台。僕の師匠であるKAZUKIさん(KAZUKI ROCK)やチームメイトのISSINくん、地元の石川県の友達Hiro10(ひろと)も出場してきた。自分だけその切符を手にしていないことが悔しかった。でも諦めきれなかった。まだ道の途中ですが、大きなチャンスを手にしたので、精一杯やります」と決意表明。Cocoaは「World Finalはブレイキンを始めたばかりの頃から映像で観ていた。まさか自分が挑戦できるとは思っていなかったし、夢のステージ。今回はそこに自分も向かっていけるようにと取り組んできた。挑戦するチャンスを得たので、今できることをやっていきたい」と意気込んだ。

 

 2人より一足先に、World Finalの出場権を獲得したのがB-Girl AYUだ。6月30日、招待選手として自身初出場が決まった。
「大きな目標にしてきた大会。ここをずっと目指してジャパンサイファーに出ていた。日本開催の大会でワイルドカードに選ばれ、うれしいです。目指してきた舞台ではあるがここをゴールとしたくない。この舞台が新しいスタートになればいい。ここまで来れたのは家族やチームメイトのおかげ。みんなに感謝の気持ちを込めて、踊りたい。自分が楽しんでいる姿を見せたい」

 

 AYUの妹でWorld Finalを2度(18、23年)制し、パリオリンピックブレイキン女子金メダリストのB-Girl Amiもこの日、囲み取材に応じた。BC ONE World Finalの魅力についてはこう述べた。
「パリオリンピックが始まる前までは、ブレイキンというと背中や頭でクルクル回るものをイメージされる人が多かった。オリンピックを見たことで、それだけじゃないことにも気付いてくれた方もたくさん増えた。それらの魅力がギュッと詰まった大会がBC ONE。日本で見られることが楽しみ」

 

 報道陣からは姉へのエールを求められた。
「Amiが、いつも挑戦する時、家族からは『頑張って』よりも『楽しんで』と言ってくれる。それで“よし楽しんでいこう”と思える。AYUが楽しめればそれでいい。その時にAYUのスタイルが出る。だから私は楽しんでほしいというのが一番」
 続けて、自身が2023年大会決勝の舞台で、姉がステージから見える位置で手を振ってくれたことで緊張がほぐれたというエピソードを踏まえ、「もしAYUが緊張していたら、今度はAmiがステージ越しに手を振ろうかなと思います」と“サポート”を誓った。

 

 2人は日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE」の24-25シーズンに参戦。多様なダンスジャンルやルーツを持つメンバーが創り出す独自の世界観は、リーグでも異彩を放つLIFULL ALT-RHYTHM(ライフル アルトリズム)に加わり、1シーズン戦った。
「私たちからすればすごく新しい挑戦。だから挑戦するかどうかも悩みました。アルトリに参加させてもらったらメンバーもスタッフも温かく受け入れてくれた。(ダンサーは)それぞれ違うジャンルではあるものの私が大事にしている“十人十色”という考えを表現しているチーム。入ったことで刺激をたくさんもらえたし、私たちも少しでも刺激を与えられたらいいと思っていました」(Ami)
「ブレイキンは自分の踊りで表現することにこだわりを持っていますが、表情や目線を人に魅せるというところまでこだわっていた。練習に参加していても、その目に引き込まれる力や強さが伝わってきた。いろいろな経験をさせてもらって、新しい学びになりました」(AYU)

 

 フットワークを武器とするAYU。彼女が世界の猛者たちに挑むのかも注目だ。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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