第220回 スタッフも含め動線確認に大事な米国遠征
もう間もなく9月になろうとしているのにもかかわらず、暑い日が続いております。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。サッカーの日本代表は、E-1選手権以来、9月から動き始めます。アメリカ遠征に出向き、メキシコ代表、アメリカ代表と親善試合を行ないます。今月は、これらについて語りましょう。
9月7日にメキシコ代表戦、10日にアメリカ代表戦を控える日本代表。両国ともにFIFAランキングでいうところの上位国に値します。本番まで1年を切っている時期に強国と対戦できるのは良い機会です。なかなかヨーロッパ諸国と試合が組みにくい中、日本サッカー協会の技術委員会のマッチメイク担当者は素晴らしい仕事をしたと思います。
来年に控えるワールドカップは北中米開催。アメリカ国内だけでも時差が生じます。W杯の抽選会は今年の12月ですが、それでも事前に開催国で遠征ができるとは、とても良い機会です。
選手のコンディション維持のため、たとえば調理担当のシェフたちをどれくらい前に移動させなくてはならないのか? といったテストもかねていると聞きます。
こういったところにこだわるのも森保一監督らしいなと思います。
森保監督と僕も、ドーハの悲劇組です。実はあの時も、協会はとてもコンディション維持のために尽力してくれていました。あの時は某ホテルの総料理長が遠征に帯同してくれました。僕たちのために、あの当時でもお米を日本から持ってきて、日本食を提供してくれました。
あの時は、事前の打ち合わせでは宿舎として利用していたホテルの厨房を借りて調理ができる予定だったらしいのです。ところが、フタを開けてみると「そんな話は聞いていない」と現地スタッフ。海外遠征だと、そんなことはあると言えばあるのですが……。
僕らに帯同してくれたシェフたちは必死に交渉し、厨房の外で1つか2つ、わずか10~20分だけコンロを使うことを許されました。そして、ホテルの自室で野菜などをカットし、そこで火を使って調理をしてくれたものです。
森保監督も、そんな現場を自分の目で見ているものですから、そういった細部の確認は大事にしたのだろうなぁと思います。
さて、今回の遠征のメンバーについて。海外組のセンターバックに故障者が出ていることもあるでしょう。E-1選手権でアピールに成功したDF荒木隼人(サンフレッチェ広島)、DF安藤智哉(アビスパ福岡)らがメンバー入りを果たしました。
彼らはJリーグで素晴らしいパフォーマンスを披露し続けています。代表の強化は、やっぱりJリーグが充実してこそなんだなぁと改めて思った人選でした。二人にはFIFAランキング上位国との対戦で、存分に個性をアピールしてもらいたいものです。
●大野俊三(おおの・しゅんぞう)
<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。24年1月、長く務めた鹿島ハイツスポーツプラザを退職。新たな夢の実現のため、日々奮闘中。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。
*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。