第221回 いつかの日かの大野的構想「スイーパーシステム」
猛暑の日々が続いていましたが、9月になり少しずつ涼しさを感じます。サッカー日本代表は今月、米国遠征を行ないました。7日にメキシコ代表(0対0)、10日に米国代表(0対2)と親善試合を行ないました。
米国遠征は0勝1分
FIFAランキング17位の日本にとって、13位のメキシコはやや格上の相手でした。現状のベストメンバーで臨んだ森保ジャパンはスコアレスドローに終わりました。ワールドカップ優勝を目標に据える日本は、メキシコ相手に好機を作ったものの、物にできなかった。“オレたちは、まだまだなんだ”と痛感する試合となったと思います。ここに所属チームで復帰を果たしたMF守田英正(スポルティング)らが加わり、どう変化するのかが見物です。
中2日で迎えた米国(FIFAランキング15位)戦は、先発11人を総入れ替え。そして、0対2の敗戦を喫しました。これまで格下相手にメンバーを入れ替え、普段出場機会に恵まれない選手たちにチャンスを与えていました。ほぼ同等の相手との対戦で、敗れたことは、出場した選手たちにとってはショックだったと察します。この失敗の経験から「自分はどうすればよかったのか」などを考え、危機感を糧にして成長してくれれば、戦力になってくれるのではないか、と期待しています。
この米国遠征を通じて森保監督は、もう少しメンバーをシャッフルしたい様子でした。シャッフルするのは、この9月、10月がラストチャンス。加えて、この時期のシャッフルは悪くないなと個人的に考えています。早期からメンバーやシステムを固定しても良い例がありません。2014年ブラジルワールドカップのザックジャパンがその典型でしょう。早めにチームを成熟させることは、相手に分析する時間と材料を与えてしまうことと背中合わせです。
システムといえば近年、「可変システム」という言葉をよく見聞きします。サッカーは生き物のように互いに形を変えて攻め、守るスポーツ。そりゃ、そうだよなと思います。
攻撃的CBを1枚
僕らの世代がサッカーをやり始めた頃、スイーパーによるDFシステムが全盛でした。2センターバック+1人カバーリング(スイーパー)や、僕がサッカーを始めた時代は、スイーパーの前にDFを3枚並べることもしばしばありました。WMシステムなんて響きも懐かしいものです。
スイーパーが後ろで構えていて、左右から来るボールにワイパーのように動いて対応するシステムです。これ、うまく現代でも使えないかな……と、ふと思うことがあります。いつか自分がシニアサッカーやパパさん&ママさんチームの監督や、子どもを指導する時などにトライしてみたいなぁなどと、策を温めています。
特に3枚+スイーパーの4バックについて思うことがあります。センターバックにしろ、スイーパーに入る選手にしろ、どちらか1枚を攻撃色の強い選手を入れたら面白いだろうな、と。攻撃時(ボール保持時)には、その選手が1列あがれば中盤に厚みを増せます。さらに、3バックのサイドの選手も攻撃のサポートに加われば、サイドの厚みも増すと思うんだよなぁ。
サイドバック(もしくはウイングバック)の上下動による4枚から3枚、3枚から4枚という可変の意識ではなく、センターバックが1列上がるか下がるかによる可変も見てみたいなと思う、次第です。まあ、結局はサイドが上がって可変するか、中央が上がって可変するかの違いだけですが、相手を混乱させられるかもしれないと想像するとワクワクします。
●大野俊三(おおの・しゅんぞう)
<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。24年1月、長く務めた鹿島ハイツスポーツプラザを退職。新たな夢の実現のため、日々奮闘中。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。
*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。